『記念日』という言葉に込められた、光と影
クラハドール(キャプテン・クロ)の言葉の真意とは?
言葉までの経緯
この言葉は、『ONE PIECE』第4巻・第28話「三日月」で登場する、クラハドール(キャプテン・クロ)のセリフです。一見すると何気ない言葉ですが、その背後には計り知れない恐怖と皮肉が込められています。
物語の舞台はシロップ村。ここで暮らすウソップは、村人や親しい屋敷の主カヤに向かって「海賊が襲ってくる!」「クラハドールは実は海賊で、カヤと屋敷を狙っている!」と警鐘を鳴らします。しかし、日頃から嘘ばかりついてきたウソップの言葉を信じる者はいません。カヤでさえも彼の言葉を否定してしまいます。それほどまでに、クラハドールは3年間もの間、完璧な執事としての信頼を築き上げていたのです。
しかし、その忠実な執事の仮面の裏で、彼は恐ろしい計画を進めていました。クラハドールの正体は、かつて「キャプテン・クロ」として名を馳せた海賊。3年もの間、慎重に計画を練り、ついにカヤの財産と命を手に入れる決行の日を迎えようとしていたのです。
「記念日」という言葉に秘められた皮肉
クラハドールが屋敷に戻ると、もう一人の執事・メリーが彼を出迎えます。メリーは、クラハドールがこの屋敷で仕えて3年が経つことを記念し、新しいメガネをプレゼントしようとします。
「記念日」という言葉を聞いた瞬間、クラハドールは真の姿であるキャプテン・クロとしての本性を現し、こう呟くのです。
『記念日 というなら
漫画 ONE PIECE 第4巻 第28話 〝三日月〟 より引用
確かに… 明日は 記念日だ』
でした。
その後
『プレゼントなら 受け取りますよ』
漫画 ONE PIECE 第4巻 第28話 〝三日月〟 より引用
『だが こんな物でなく…
この屋敷まるごとだ…!!』
と言う言葉も付け加えます。

心に響いたこと
ここで明らかになるのは、「記念日」の捉え方の決定的な違いです。
メリーにとって、記念日は「感謝の気持ちを伝える日」でした。クラハドールが3年間真面目に働いたことへの感謝を込め、彼が使うメガネを贈ろうとしたのです。しかし、クラハドールにとっての「記念日」とは「3年間計画を進め、ついに目的を達成する日」だったのです。
メリーやカヤが考える記念日は、「人との繋がりを大切にするもの」。一方、クラハドールの記念日は、「計画を成就させ、自分の欲望を叶えるもの」。
この圧倒的な価値観の違いに、読者はゾッとするのではないでしょうか。
考えたこと
記念日とは、本当に人それぞれなのか?
このシーンを振り返ると、「記念日」というものの本質について考えさせられます。
私たちは、誕生日や結婚記念日、仕事の節目などを「記念日」として祝います。それは、過去の努力を振り返り、未来への希望を込める日であることが多いでしょう。しかし、この物語では、「記念日」とは目的を達成する瞬間であり、他者の感情や想いは関係ないという考え方が示されています。
クロにとっての「記念日」は、計画を遂行し、望むものを手に入れる日です。そこには感謝も思い出もありません。ただ、目的達成のためのマイルストーンに過ぎないのです。
ここで問いたいのは、「記念日とは、誰のためのものなのか?」ということです。
本来、記念日とは誰かと喜びを分かち合うもの。しかし、クラハドールのように自己の欲望のためだけに記念日を設定することもできてしまうのです。
記念日は、相手と共有できるものなのか?
このエピソードを通して感じたのは、記念日は人それぞれだとしても、それを他者と共有できなければ、本当の意味で価値を持たないのではないかということです。
カヤやメリーのように「相手のため」を思って祝う記念日と、クロのように「自分の目的」を達成するための記念日。どちらも「記念日」ですが、その意味はまったく異なります。
他者との繋がりを大切にした記念日は、喜びを分かち合うことができます。しかし、自分の欲望のためだけにある記念日は、どこまでも孤独です。
クロのように記念日を「個人的な成功の日」と考えることは、果たして正しいのか?
皆さんにとっての記念日は、誰と、どのように過ごすものですか?
記念日は今までの積み重ねがあるから、その日を作ることが出来るともいえます、ただ無為に過ごしていくだけの日々では記念日には到達出来ないかも知れません、そのような意味では記念日を設定出来るのは目標を設定し、そこに達成出来たということでもあるかも知れませんね。
まとめ:記念日は、どのように作られるのか
『ONE PIECE』のこのシーンを通じて、「記念日」という言葉の持つ重みが改めて浮き彫りになりました。
記念日は、ただの「日付」ではなく、そこに至るまでの過程や想いによって価値が決まる。
記念日は、誰かと共有することで、より意味を持つ。
自分本位な記念日は、たとえ目的を達成しても、空虚なものになる。
この物語を読んだことで、あなたの「記念日」に対する考え方が少しでも変わったなら幸いです。
あなたにとっての「記念日」とは何でしょうか?
もし、
今回のシーンを改めて読んでみたい方は、
📖 漫画 ONE PIECE 尾田栄一郎 ジャンプ・コミックス 集英社
第4巻 第28話 〝三日月〟
をぜひ手に取ってみてください。
皆様には、
どの様な新しい響きがあるのか、
楽しみです。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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