なんじゅうねんも まひにち やすまずに はたらひてくれたからね

絵本

ーーーうまきちじいさん 総入れ歯

言葉までのあらすじ

幼稚園の動物の皆は、歯医者さんで歯磨きの練習を行います。歯の治療を実際に見た時は怖がりながらも、自分の歯に合った歯ブラシで歯磨きの練習をします。動物によって、歯の生え変わり方が違うことを知った皆ですが、うまきちじいさんの入れ歯をみて、全ての歯が入れ替わるのか?と驚きます。

心に響いた言葉 考えたこと

総入れ歯になってしまったうまきちじいさんがくしゃみをしただけで入れ歯が抜けてしまうことに、私だったら嘆いてしまいます。

なぜ入れ歯になってしまったのか、もっと歯を大切にしていればよかったと後悔してしまいます。

入れ歯が簡単に抜けるような状態であることにも苛立ちを感じてしまうと思います。

もしかしたら、うまきちじいさんも同じような気持ちを少しは抱いているかもしれません。しかし、うまきちじいさんは長い間私に仕えてくれた歯に感謝し、大切に思っています。

当たり前のように存在し、毎日使っているものについては、その状態が当たり前と考えてしまいがちですが、それは考え方として誤りだと感じました。当たり前にあるものこそ、私たちの日常生活には不可欠であり、大切なものだということを心に留める必要がるのだと感じました。当たり前のものが失われると、生活がどれほど不便になるのかを深く考えるべきだと感じました。

たとえ自分自身の一部であるからといって、当たり前と思うのではなく、その一部が私のために働いてくれていること、存在してくれていることに感謝し、敬意を払い、これからも長く共にいられるよう大切にする必要があると感じました。

歯に限らず、私たちの身体の中には、自分の意思に関わらずに体調を整えてくれる存在があります。私たちが生きるために働き続けてくれる存在を意識することが重要だと改めて認識した、心に響いた、感銘を受けた言葉でした。

もちろん、身体だけでなく、私たちの生活や暮らしには、当たり前のように存在するもの、当たり前のように毎日使っているものがありますが、その当たり前を当たり前にしてくれている、見えていない誰が整備し、手配してくれているのだと言うことに思いを馳せる必要があり、そのような存在を継続するためにも、手配してくれた人々に感謝することが必要だと感じました。

物語の流れ

今日は歯磨きの練習の日なので、幼稚園の動物の皆は歯医者さんに向かいます。

待合室で幼稚園の皆が待っていると、診察室から音が聞こえてきます、シカ先生が歯の治療をしていたのです、その様子を見て幼稚園の皆は、痛そう、怖いと話します。

チンパンジーのちょちょまるくんはかなり不安そうです。

シカ先生が歯の治療が済んだ後に、幼稚園の皆は診察室へ向かい歯磨きの練習を始めます。それぞれの動物の歯にあった歯ブラシを披露します、皆の歯はそれぞれ違うので、その歯にあった別の歯ブラシを使うのだと、歯科衛生士のアリクイさんが教えてくれました。

アリクイさんの歌に合わせて、歯磨きを始める皆ですが、ちょちょまるくんは歯ブラシを咥えて口を閉じたままです。口を大きく開けて磨きましょう、とアリクイさんに注意されると、しかたなく歯ブラシを動かすちょちょまるくんでしたが、なんとちょちょまるくんの下の前歯が抜けてしまいます。

泣き出してしまうちょちょまるくん、他の皆も心配になって見に来ます。そこへシカ先生がやってきて、抜けたのは子供の歯でこれから大人の歯が生えてくるから大丈夫、おめでとう、とちょちょまるくんに説明してくれます。それを聴いたちょちょまるくんは笑顔になります。

最近歯がグラグラしていたのが、虫歯だと思って心配していた、とのことでした。だから、歯医者さんに来てからずっと不安そうな顔をしていたのですね。

それからシカ先生は、幼稚園の皆に動物の歯の事を教えてくれました。動物はそれぞれ歯の生え方も、歯の生え変わり方も違うということを学び、歯磨きの練習は終わります。

そして、皆が待合室に戻ると、その場に居たうまきちじいさんがくしゃみをします。そのいきおいで口から歯が飛び出しました、皆はビックリしてうまきちじいさんに、歯が抜けたの、いっぺんに歯が抜けたの、大人になっても歯が生えてくるの、と話しかけます。

うまきちじいさんは、これは入れ歯じゃと説明し

わしの はは ぜんぶ ぬけてしまひ、 もう はへてこなひんだよ。

なんじゅうねんも まひにち やすまずに はたらひてくれたからね。

シカのはいしゃさん より引用

と入れ歯のない口で、はなしてくれました。

シカ先生の入れ歯のお陰で、何でも食べられると教えてもらえ、皆は安心したのでした。

その後の動物たちの様子や、この物語を直接読みたい場合は

シカのはいしゃさん 宮島千夏 福音館書店

こどものとも 2019年6月号 通巻759号

を是非読んでみて下さい。

皆様にはどの様な新しい響きがあるのか、楽しみです。

動物の歯の違いが絵でわかるのも楽しいですし、シカと歯科が、かかっているのも面白いです。

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