きょうのぶんの アイロンがけを どんどん かってに やりはじめます。

絵本

ーーー使い慣れたアイロン 

あらすじ

クリーニング屋さんのカイダさんは毎日沢山の洋服を洗濯して、何十年も使い慣れたアイロンでアイロンがけをします。そのアイロンが突然カイダさんの手から抜け出して、勝手に洋服のアイロンがけをし始めます。初めは喜んだカイダさん、しかしアイロンの行動がエスカレートしてしまい慌てます。

心に響いたこと、考えたこと

長年同じ仕事を淡々とこなし、人の役にたつ仕事をこなしているカイダさん、笑顔で楽しそうに仕事をこなしている、そんなカイダさんを眩しく感じられます。

何十年も続けられる仕事に巡る逢えた、何十年も他人が必要とする仕事を続けられること出来ること、その仕事内容を他人に必要とされ続けられるカイダさんを偉大だと感じます。

仕事道具のアイロンを何十年も使い続けられるように、丁寧に大切に使っていたのだろうということが推測でき、その様な部分も見習いたいと感じます。

何十年も使い続ける間にカイダさん自身も、様々な感情があったのでしょう。

気持ちが良い時も、落ち込む時も、時には苛立ちの感情が芽生えることも、あったのでしょう。

それでも、そのような感情がうまれようとも、アイロンに対して力を込めすぎてしまったり、雑に扱うこともなく過ごしてきた。

からこそ何十年もの間、仕事の相棒として使うことが出来た、使い続けられる事が出来たのではないかと想像を巡らせられました。

アイロンが自分勝手に動くという摩訶不思議な出来事は、そのような関係性で何十年も一緒に過ごしたからこそ起こったのではないか、そのような関係性ならば起こっても不思議ではないのかな、とも考えてしまいたくなります。

何十年も一緒に仕事をこなしてきたからこそ、アイロンは今やるべきことが、カイダさんが喜ぶことを見定めることができ、自分が今出来ることを、必要な仕事を行うことが出来たのだと考えました。

長い時間をともにして、相手が望むことを、相手が必要なことを分かり合える関係性が羨ましく感じられました。

私自身もそのように長い時間を共にしたい、共にして良かったと思われる存在になりたい、相手が必要としていることを慮った行動が出来るようになりたいと、感じられた心に響いた、感銘を受けた場面でした。

同時に物語のその後のアイロンの行き過ぎた行動を見て、いくら相手を思っての行動だとしても、相手に喜ばれようとしての行動だったとしても、本当に望まれること以上の事を行動はしないように心がけないといけない。

また相手本人以外は喜べないような結果を、引き起こす行動をしてしまうことは控えなければいけないとも感じられました。

それは相手本人にも、その周囲にも迷惑な行動でしかないということを、肝に銘じなければいけないと感じられました。

アイロンも最初はカイダさんの喜ぶ行動をしていたにも関わらずに、もっともっと行動をしてみたくなったのか、それとも動き出せたことが嬉しかったのかは分かりませんが、どんどんと行動がエスカレートしてしまいます。

そもそもカイダさんは関係なく、アイロンは始めから自分自身が行動したいことだけを行っていたのでしょうか?その結果に対して、初めのアイロンの行動の結果にはカイダさんは喜んで、その先のアイロンの行動の結果にはカイダさんは慌ててしまった、という、それだけのことなのでしょうか?

アイロンは、カイダさんが慌てているにも関わらすに、世界をどんどんと伸ばしていってしまい、おひさまが怒り出していても行動を止めません。

自分の行動がどの様な結果につながるのかを、考えなければ危険ですね。

私にはアイロンのように、ここまで世界に影響を与えられる様ができる能力は今のところ無いとは思いますが、影響の大小ではなく、他者に甚大な迷惑をかける行動をとっていないか?と時折自分の行動を省みること、思考することも大切ですね。

どの様な事に対して不快に思うのか、迷惑だと感じるのかは、人それぞれであり、また環境や状況や時代でも異なるので、全てに対して配慮することは困難ですが、せめて目の届く感じられる範囲での迷惑行動は、起こさないようにしたいです。

物語の流れ

商店街にあるカイダさんの店は、クリーニング店です。

毎日沢山の洋服を洗濯し、仕上げにアイロンを掛けてシワを伸ばします。

アイロンは何十年も使っており、カイダさんは使い慣れています。

今日もカイダさんは、アイロンを気持ちよくスイーッスイーッと滑らします。

その時、突然アイロンはカイダさんの手をするりと抜け出して

つんであった きょうのぶんの アイロンがけを

どんどん かってに やりはじめます。

くもにアイロン より引用

洋服はどれもシワが伸ばされて、ピーンとなりました。

カイダさんもこれには大喜びです。

しかしアイロンは洋服だけではなく、コーヒーカップも電気スタンドも伸ばしてしまいます。

カイダさんもこれには慌てて注意しますが、アイロンは窓から外に出ていってしまいます。

そして外の物をどんどんと伸ばして、ペラペラにしていって、しまいます。

郵便ポストも、犬小屋も、信号機も、花屋も、八百屋も、病院も、観覧車も、お城も、高層ビルも、さらには雲までも、ペラペラにしてしまいます。

おひさまは、呆れて見ていましたが、ついに怒り出します、ですがアイロンは気にしていません。

その後もどんどんと、様々な物をぺらぺらにしていってしまいます。

怒られても気にしないほどに、自分の行動に夢中になってしまう事は危険ですね。

良いこととして始めた行動だとしても、自分の行動が行き過ぎにならないか、行き過ぎていないかを、時には顧みないといけませんね。

アイロンの行動や、その後の様子が気になる場合や、直接アイロンとカイダさんの物語を読みたい場合は

くもにアイロン 文 おおぎやなぎちか 絵 山村浩二 福音館書店

こどものとも 2019年5月号 通巻758号

を是非読んでみて下さい。

皆様にはどの様な新しい響きがあるのか、楽しみです。

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