このせん なんだろう?

絵本

ーーー一透明の線 

言葉までの流れ

表紙をめくり、タイトルと作者の間に書かれている灰色の線、タイトルと作者名を分かつ線?全体を構成している内の一部分?そもそも線だと気が付かないかも知れませんが、そのまま次のページを開くと鉛筆で引かれた線であることが分かります。なるほどそのような構成だなと思いページを捲ると…。

心に響いた場面 考えたこと

始めの線の正体は鉛筆で書かれた線だと認識して、次のページを開くと、見開きで薄暗い場所の写真があります。その写真の中央には白いような、透明のような線が見えます。この線は一体何なのか考えても分かりませんでした。次のページを開いて正解を見ると、その線は水鉄砲によって水が発射されたことで、できた線のように見えた状態だったのです。

水鉄砲によって出来た線もそうですし、次のページを捲って読んでいくことで分かったのは、線は書くだけでも描くだけでもなく、引かれる存在でもあるのだな、表示される存在でもあるのだな、区分けにも使われるのだな、線として認識してしまう状態もあるのだな、と考えさせられました。

最初に提示された鉛筆で引かれた線を見たことで、そして線という言葉を読んだことによって、書かれる存在だという思考を強く意識してしまい、『せん』という存在がもっと沢山のところで発見できる、使用されている、役立っているということを、気づくことができなくなっていました。

このように視野や思考が狭くなってしまうことは、物の使い方の可能性を狭めてしまうことはもちろん、自由な発想を妨げることや、固定概念にとらわれてしまうこと、新しいことに取り組もうとする意識、自分の考え以外にも様々な考え方があるということ、現状のこと以外を認められなくなる、という事に陥ってしまうという危険な状態だと言えるのかもしれません。

自分の中だけで考えるのではなく、様々な声や発想を吸収できれば、様々な考え方を認めることができれば可能性も広がり、楽しみ方や発想の範囲も無限に広がっていくのかもしれませんね。

一つのことに拘ることも大切ですが、時には視野を広めて一部分だけではなく全体を見ることを意識できたならば、より良い答えが出ることもあるのかもしれません。反対に全体だけではなく、一部分を注視することで、気付かなかった事柄を見つけられるのかもしれません。

一部だけでも全体だけでも、個人だけでも全員だけでもなく、万遍に思考できれば、自分自身を他者を助けられるのかも知れませんね、

けれども、今まで当たり前だと思っていた思考を変える事や、習慣化していた行為を変化させるのは、なかなかに難しいと感じてしまいます。

集中することも大切ですし、一休みして周りに目を向けることも大切です。その都度思い悩むことが考えるということなのでしょうか?

このような豊かな発想を表した本の場面が、心に響いた感銘を受けた場面でした。

透明のような線、すぐには気が付きませんでしたが、左側は鮮明に見えるのですが、右側に視線を移していくにつれて若干ボヤケて見えます。

このような写し方なのか?そもそもがそのような線なのか?意図して写したのか、結果的にそのような状態で写ってしまったのか?分かりませんでした。そもそも最初はそこまで気がまわりませんでした。

私は一体、どのような筆記用具で書かれた線なのだろうと考えましたが、正解が浮かびませんでした。正解どころか、近い状況になる筆記用具も、もしかしたらこのように書くことが可能なのかもしれないと思えるような筆記用具を考えることもできませんでした。

それもそのはず、この一見書かれたように見えた線の正体は水なのですから。

もっと広角から見えるようにした状態で写されたのは、左側から水鉄砲から発射された水でした。

左側は勢いがあるので鮮明な線に見え、右側に行くほど水は拡散されていくので若干ぼやけて見えていたのでした。なるほどと思いつつ、線は『せん』であるのだなと私の中で納得してしまいました。

物語の流れ

タイトルの書かれたページから、すでに灰色の線画横一線に引かれています。ここでは気付かなかったとしても、次の見開きをページを見てみると、鉛筆で書いた線だと分かります。

次のページはなんの線なのだろう、と思いつつページを進めると

このせん なんだろう?

せんのはっけん より引用

という言葉とともに、背景が薄暗い状態で、線が写っていました。

透明なような白いような、どうやってこの線を書いたのだろう、と思考しつつ次のページへ進むと、次のページには画角を広げた状態で写されており、水鉄砲から発射された水が、線のように見えたのだと、分かります。

なるほど、と思い次のページへ進むと、あらたな線、のように見える画像が見られます。

こは何なのだろう?と次のページに進むとコップの中の液体の表面を線のように見えていた状態でした。

このような様々な線や、その線に見える状態を、見せてくれる絵本を直接読みたい場合は

せんのはっけん 鈴木康博 福音館書店 かがくのとも

2019年2月号 通巻599号

を是非読んで見て下さい。

皆様にはどの様な新しい響きがあるのか、楽しみです。 

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