自分の娘に才能が無いからあきらめろとは言えんだろう?

漫画

ーーー君島 元フルート奏者 

今回の言葉は、フルート奏者としてクインシーホテル・トーキョーで演奏をしている内海香音の父親である君島の言葉です。

今は離婚してしまい性が変わってしまった父親である君島が、香音が小さい頃に立派な演奏家になるよと褒められと事で続けているフルートでしたが、父親の気持ちはまったく違うものでした。

自分が、もしも自分の経験したことやある程度は知っている、分かっていいると自負している事柄に、自分の子供が目指そうとしていたら、その道に向かって努力をしていたとしたら。

今回の君島が言ったような気持ちで子供に接するのでしょうか?それとも止めておけと言うのでしょうか?それとも夢は無限大とばかりに、親ばかになって子供の実力を天才だと信じて疑わずに褒めちぎるのでしょうか?

子供が可愛いからこそ、実力が無いと感じつつも、褒めてしまう気持ち。

子供に苦労を感じさせたくないからこそ、その道を目指すことを諦めさせる気持ち。

夢を語った時点で成功したと考えてしまう気持ち。

どれも当てはまりそうですが、それぞれ対応にそれぞれの苦悶がありそうです。

褒めたはいいけれども、内心では逆の思いが湧き上がっていることへの葛藤、自分の子供の夢を素直に応援できずに自分の考えでのみ反対してしまうことへの葛藤、何もなし得ていないのにも関わらずに叶ったと誤解してしまうことへの葛藤。

そんな考えよりも、子供が目指していること、好きだと感じたことを、今精一杯努力している事、楽しめる事があることを一緒に喜んで認めてあげられるような心の状態でいたい、子供と接していたいと感じさせらた心に響いた感銘を受けた言葉でした。

才能を見抜ける力もないのに、否定したり、自分ができなかったからと言ってむやみに止めるのも違うとは思いますが、単純に褒め続けるだけでも成長しないかもしれないと考えると、同じ人間なのにどこまで子供にアドバイスや指摘をしていいのかが、分からなくなってしまいます。

子供と同じように喜んで、同じように楽しめる、同じように悩める事が出来る日々が送れればおれ椎です。

そのような気持ちが芽生えた今回の言葉が発せられた今回の物語は、勤務先の金を横領し逃走中である君島は離婚したために母親方の性になっている内海香音がフルート演者としてクインシーホテル・トーキョーで演奏していることをどこからか聞きつけた君島、そしてその君島を見かけたという確かなタレコミがあり、その場に張り込んでいる刑事らの登場で始まります。

ホテル側も長年の経験からコンシェルジュの最上拝は、たむろっている男達が刑事であるのでは?と推測し支配人の笠井信男と対策します。

いつの間にか内海と仲良くなったコンシェルジュの川口涼子、内海が幼い頃の父親(君島)にきっと立派な演奏家になるよと褒められたのが嬉しくてフルートを続けているという事を知ります。

君島は内海の自分の娘の演奏を聴きたいがために、ホテル内を動き回り次の演奏時間まで待とうとします、しかし警察はその君島を見つけて逮捕寸前まで追い詰め、支配人やコンシェルジュと共にホテル内の目立たぬ場所に隔離します。

警察が護送用の車を地下に手配する準備を終えたと告げると、君島は最後の頼みとして、娘の演奏を聴かせてほしいと願い出ます。

君島本人も昔はフルート演者であり音楽家を目指していたが、大成しなかったこと、そのせいもあり荒れてしまい家族と揉めてしまい離婚し、更には犯罪に手を染めてしまう今のような有様になった事を話します。

一目だけでも、演奏だけでもと願いますが、刑事はそのような君島を一喝します。

勝手な都合をほざくな!どの面下げて娘の前に出られるんだ!!

確かに辛い状況や悲しい出来事もあったでしょうが、その気持を家族に当たり尚且犯罪に手を染めている状態でそのような優遇を出来ないのも当たり前ですよね。

そんな事情でも少しは内海の音色を聴かせてあげたいと刑事相手に涼子は願い出ますが、君島は諦めたのか自虐なのか自暴自棄なのかは分かりかねますが、もういいと涼子を止めます。

自分の娘がどの程度の演奏をしているのかは、子供の頃の演奏で想像はつく、自分に輪をかけて才能に恵まれないのだからと、言います。

悲観した君島に、涼子は内海は子供の頃にお父さんに誉めてもらったその事が嬉しかったと言っていたと告げると、その言葉を聞いて君島は

自分の娘に才能が無いからあきらめろとは言えんだろう?

しょせん石ころは いくら磨いてもただの石ころでしかない

漫画 コンシェルジュ第2巻より引用

と悲しむような諦めたような顔で話します。

どんな演奏をしているか興味があっただけだと。

その言葉を聴いていた、最上は何やら仏頂面で手帳をめくり、連行されようとする君島にコンシェルジュとしてリクエストに答えると告げます。

そして連行される君島と刑事の集団を上手にコントロールし足を運ばせたのがホテルの中庭でした、そこではフルートの音色が聞こえてきます。

ホテルのロビーで演奏がない時間帯はいつもここで内海は練習、練習、夜遅くまで練習しているようでした、指を痛めながらも、一心不乱に演奏し続ける内海の演奏は、君島に安定感の音量、圧倒的表現力と言わしめます。

ここまでの力は…才能は無かった…と続けながらも、そのつぶやきに最上は彼女は磨き続けてきた、何年も毎日、小さな弱々しい才能であったも、どれだけの努力を積み重ねてきたのでしょうかと返します。

そして、しょせんは石ころと言った君島の言葉に対しての最上の少し怒ったような言葉は、なにかお間違えでは?私たちは石ころではありません!と一蹴します。

君島の考えを改めさせるためか、罪を償いやり直せ、やり直せるとつ告げようとするかのように。

その言葉と娘の成長し続けてきた姿を見て、演奏を聴いて泣き崩れる君島。

刑事もここで一服しってもいいだろうと部下に言い演奏を聴ける時間をつくるという粋な計らいをします。

自分で自分の才能を見限ってしまっては能力が伸びない、才能なんて簡単には分からない筈なのに、簡単に自分の子供とは言え、出来ない才能が無いだなんて無責任にはいえない、言ってはいけませんね。

その能力をどこまで伸ばせるかは、結局本人次第なのですから、例え報われなくとも自分で自分の意思で決められるのが理想なのかもしれませんね。

このような、出来事やどのような立場で今回の言葉を言ったのかを直接読みたい場は

コンシェルジュ Concierge 原作 いしぜきひでゆき 漫画 藤栄道彦

BUNCHCOMICS 新潮社

第2巻 第8話 音色の絆

を是非読んでみて下さい。

皆様にはどのような新しい響きがあるのか楽しみです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました