『母=ぱぱ?』のモヤモヤが20秒でほどける。発音の歴史から日本語の“例外”がつながる話
『母(はは)』は昔『ぱぱ』だった?本当です。理由は“ハ行の発音変化”でした

代表例
「母(はは)が昔“ぱぱ”だった」って聞いて混乱したこと、ありませんか?
友だちに急にこう言われます。
「ねえ、母(はは)って昔は“ぱぱ”って発音してたらしいよ」
……いやいや。
パパって“お父さん”じゃないの?
って、頭の中がいったん停止しますよね。

この“モヤッ”の正体、ちゃんと説明できます。
まずは、結論だけ先に置きます。
次は20秒で答えがわかります。
20秒でわかる結論
本当です(ただし“意味”ではなく“発音の歴史”の話)。
昔の日本語では、今の「ハ行(は・ひ・ふ・へ・ほ)」が、パ行(ぱ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ)に近い音だったと説明されています。
そのため「はは(母)」は、昔の発音では**“ぱぱ”のように聞こえる時代があった**、ということです。
次は、小学生でもスッキリ腑に落ちる言い方にします。
小学生にもわかる結論(やさしく噛み砕き)
むかしの日本語は、いまの「は」の音が、もっと**「ぱ」みたいな音**でした。
だから、
- いま:はは(母)
- むかし:ぱぱ(みたいに聞こえる)
ということが起きたんです。
でもこれは、「お母さん=パパ(お父さん)」になったって意味じゃありません。
音(発音)が変わっただけなんです。

ではここから、あなたの「あるある」に刺さる形で整理していきます。
1. 今回の現象とは?
どうしてこんなことが?と思う“あるある”状況
こんな瞬間、ありませんか?
- 「母が昔パパだった」って聞いて、意味が逆転したみたいで混乱する
- 「助詞の『は』、書くのは“は”なのに読むのは“わ”」で、毎回ひっかかる
- 「1匹=いっぴき / 2匹=にひき」みたいに、ひ・び・ぴが混ざって不思議になる
これらは別々の変な暗記じゃなくて、根っこがつながっています。
鍵は、ハ行の音が昔と今で違うという、日本語の“音の歴史”です。
キャッチフレーズ風:よくある疑問を一言で
- 「『母(はは)』は、なぜ昔“ぱぱ”だったの?」(今回の謎)
- 「『は』が『わ』になるの、どうして?」(つながる謎)
- 「ひき・びき・ぴき、なんで増えるの?」(つながる謎)
この現象には、まとめて呼べる名前があります。
ハ行子音(はぎょうしいん)の歴史的変化
※「子音(しいん)」=“は”の最初の息の部分みたいな音のこと
国際交流基金の解説でも、現在のハ行が昔はパ行だったことが示され、擬音語(ピヨピヨ、パタパタ等)に痕跡が残る例が紹介されています。
この記事を読むメリット
- 「母=ぱぱ?」のモヤモヤが、一瞬で“なるほど”に変わる
- 「は=わ」などの“例外暗記”が減って、言葉がスッと頭に入る
- 友だちとの会話で、感じよく説明できる雑談ネタになる
次は、その疑問が生まれる“日常の物語”に入ります。
(ここで共感が深いほど、あとが気持ちよく理解できます。)
2. 疑問が浮かんだ物語
土曜の夜。家でのんびりしていたとき、スマホで流れてきた短い動画に目が止まりました。
「昔の“母(はは)”は、パパだった」
……え? どういうこと?
パパって、お父さんのことじゃないの?
私は頭の中で、言葉の引き出しをバタバタ開け閉めしました。
「母=はは」
「父=ちち」
ここは知ってる。なのに「ぱぱ」が出てくると、急に世界がズレる。
しかも、ズレるだけじゃないんです。
なんだか悔しい。
“知ってる日本語”なのに、知らない顔をされる感じがして、モヤモヤする。
「ねえ、これ本当? もし本当なら、なんで?」
気づけば私は、検索窓に打ち込んでいました。
- 母 昔 ぱぱ 本当
- はは 語源
- は わ なぜ

…そう。
この謎って、いったん気になると、放っておけないタイプなんです。
でも安心してください。
次の段落で、答えをハッキリ出します。
そして、読み進めるほど深い“音の歴史”にも入っていけます。
次は「すぐにわかる結論」です。
3. すぐにわかる結論
お答えします。
「母(はは)が昔“ぱぱ”だった」は、本当です。
ただしこれは、意味(お父さん・お母さん)が入れ替わった話ではありません。
発音(音)の歴史として、そう説明できる、ということです。

国立国語研究所(ことば研究館)の解説では、ハ行音が昔は「パピプペポ」のように発音されていたこと、そして例として**「母(はは)は昔パパと発音されていました」**と具体的に示されています。
さらに国際交流基金の解説でも、現在のハ行が昔はパ行だったこと、その痕跡が「ピヨピヨ」「パタパタ」などに残ることが説明されています。
この段階での“超かんたん説明”
ポイントはこれだけです。
- 昔:ハ行の音が パ行に近かった
- だから:「はは」が “ぱぱ”っぽく聞こえることがあった
- でも:意味が逆になったわけじゃない(音だけの話)
そしてここから先が、いちばん面白いところです。
実はハ行は、ただ「パ→ハ」になっただけじゃなくて、途中で**“ファっぽい音”**を通った、という説明もあります。
たとえば JapanKnowledge の解説では、「はは」が papa → ΦaΦa(ファファのような音)→ Φawa → hawa と変化した、という説が紹介されています。
(※この Φ(ファイ) は、唇で息をこするような音=両唇摩擦音(りょうしんまさつおん) を表す記号です)
気になった方は、この先の段落で一緒に学びましょう。
“母がパパに聞こえた理由”が、音の変化としてスッと一本につながります。
Q. 「1匹=いっぴき / 3匹=さんびき / 2匹=にひき」って、なんで増えるの?
A. 基本は「ひき」ですが、前の音の影響で変わります。
- **「っ」が入ると「ぴき」**になりやすい
例:いっぴき/ろっぴき/はっぴき/じゅっぴき
→ 発音しやすい形に寄る、と説明されています。 - **「ん」の後ろは「びき」**になりやすい
例:さんびき/なんびき
→ 濁りやすさ(連濁と同系統の考え方)として説明されています。 - 例外っぽい「よんひき」
4は「し」を避けて「よん」を使う流れがあり、「よんひき」が一般的になった、という説明があります。
これも「音の歴史」と「話しやすさ」が作った“言葉のクセ”です。
3.5. 先に疑問を解決!母(はは)と発音の歴史FAQ
ここまでで「母(はは)が昔“ぱぱ”っぽく聞こえた理由」はつかめたはずです。
ただ、ここで多くの人が「じゃあこれは?」「ここがよく分からない…」となります。
そこでこの章では、つまずきやすいポイントをQ&Aで一気に解消します。
気になるところだけ読んでもOKです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「母(はは)が昔ぱぱ」は、“本当に”本当なんですか?
A. はい、意味ではなく発音の歴史として説明できます。
昔のハ行がパ行に近い音だった、という説明にもとづく話です。
「母=父」になったわけではありません。
Q2. じゃあ昔の日本では「パパ=お母さん」だったの?
A. いいえ。ここで言う「ぱぱ」は “音が似て聞こえる” という話です。
現代の「パパ(父)」という呼び方の意味と混ぜないのがポイントです。
Q3. いつ頃「ぱぱ」っぽい発音だったの?年号で言える?
A. “ピンポイントの1年”で断定するのは難しいです。
音の変化は、地域差や世代差を含みながら段階的に広がることが多いからです。
記事内のように「パ寄り→ファ寄り→ハ寄り」という“流れ”で捉えるのが安全です。
Q4. 「子音」って結局なんですか?(かさたな、じゃないの?)
A. 「か・さ・た・な」は 子音+母音のセットです。
子音はもっと小さい部品で、たとえば
「か=k+a」「は=h+a」みたいに、最初のスタート音の部分です。
Q5. 記事に出てくる「Φ(ファイ)」って何?
A. 発音を説明するときに使う音の記号の一つです。
ざっくり言うと「唇で息をこすって出す“ファっぽい音”」を表すために使われます。
(記号は難しければ“ファっぽい段階があった”と理解すればOKです)
Q6. 「ファっぽい音」って、今の日本語にも残っているの?
A. 近い感覚は残っています。
たとえば「ふ」は、英語のfとは少し違い、唇を使う息の音に近いと言われます。
ここから「昔はファっぽい段階があった」という説明がイメージしやすくなります。
Q7. 「助詞(じょし)」って何ですか?
A. 「は・が・を・に・へ」など、言葉にくっついて
文の意味を助ける“くっつき言葉”です。
例:私は/学校へ/りんごを
Q8. 「は」を「わ」と読むのは、結局どういうこと?
A. ざっくり言うと、昔の音の変化で 発音が“わ”寄りになった一方、
助詞だけはルールとして 書き方(は)を残した、ということです。
だから「私は(わたし“わ”)」のように、読むときと書くときがズレます。
Q9. じゃあ「こんにちは」は「こんにちわ」でも良くない?
A. よくある迷いですが、表記としては こんにちは が一般的です。
もともと「今日は〜」の形から来た挨拶、と説明されることが多く、
助詞の「は」を「は」と書くルールとも相性が良い考え方です。
Q10. 「かわ」は昔「かは」って書いたの?どうして?
A. はい、古い表記で「かは」が見られます。
発音が「かわ」寄りに変化していき、現代は発音に合わせて「かわ」と書くのが普通になりました。
※助詞の「は」と違い、一般の語は表記が発音に寄って整理されることが多いです。
Q11. 「1匹=いっぴき / 2匹=にひき」みたいな変化も同じ仲間?
A. 仲間です。どれも「話しやすさ」や「音のつながり」で音が変わるタイプの現象です。
ただ、こちらは“ハ行の歴史変化”とは別に、音が並んだときの変化(促音・濁音など)も関わるので、深掘りは別枠で考えると理解しやすいです。
Q12. 「国立国語研究所」「国際交流基金」「JapanKnowledge」って何?
A. ざっくり言うとこうです。
国立国語研究所:日本語を研究する公的研究機関
国際交流基金:海外での日本語教育などを支える機関
JapanKnowledge:辞書・事典などを横断検索できる知識データベース
記事内で引用するなら「どんな立場の情報か」が読者に伝わるので信頼度が上がります。
Q13. 子どもに一言で説明するなら、どう言う?
A. こんな言い方が分かりやすいです。
「昔の『は』は、いまより『ぱ』に近い音だったんだって。だから『はは』が『ぱぱ』っぽく聞こえたことがあるんだよ」
Q14. この話、研究が進んだら変わることもある?
A. あります。
音の変化は、資料の読み直しや新資料の発見で、説明がより精密になることがあります。
だからこそ「断言しすぎず、根拠を添える」書き方が強いです。
ここまでで「気になるところ」はだいぶ解消したはずです。
次は、今回のキーワード 「ハ行子音の歴史的変化」を、図が浮かぶ形で整理していきます。
次は、今回の現象の名前と仕組みを、図が浮かぶように整理していきます。
4. 『ハ行子音の歴史的変化』とは?(定義と概要)
まず結論:この名前の意味
ハ行子音(はぎょうしいん)の歴史的変化とは、ひとことで言うと、
「は・ひ・ふ・へ・ほ」の“最初の音(スタート部分)”が、昔と今で変わった現象
という意味です。
「子音(しいん)」は、“かさたな”ではなく、もっと小さい音の部品です(k、s、t、h…のような部分)。

ミニ辞典(ここでつまずかないために)
- 母音(ぼいん):あ・い・う・え・お
- 子音(しいん):音のはじまりの“スタート部分”(息や口の形)
- ハ行:は・ひ・ふ・へ・ほ
- IPA(アイピーエー):発音を世界共通で書く記号(音声記号)
- Φ(ファイ):唇で息をこする音を表す記号として使われることがある(後述)
(※「Φは両唇摩擦音」などの説明は辞書系にも見えます。)
具体例で見ると一発です
例1:「か」
- 「か」= k(子音) + a(母音)
- 最初の k のところで、舌の奥が一瞬“壁”を作って息をせき止めます
→ それが「子音」です
例2:「ぱ」
- 「ぱ」= p(子音) + a(母音)
- 最初に唇を閉じて、ポンッと開いて息を出します
→ この最初の p が「子音」です
「は」の子音は何?
「は」は、
- 「は」= h(子音) + a(母音)
この h は、声というより 息だけが先に出る感じです。
「はーっ」と、ため息っぽく言うと分かりやすいです。
この「最初の息の部分」が、子音です。
✅ 「子音」=その音を言うときに、いちばん最初に出る“息の形(息の出し方)”
(唇で止めるのか、舌で止めるのか、息をこするのか…みたいな部分)
じゃあ、何がどう変わったの?
辞書・事典系の解説では、ハ行の音はざっくりこう整理されます。
- 古い時代:[pa]に近い(パ行寄り)
- その後:[Φa]のような音(ファっぽい)
- さらに後:[ha](今のハ)
「は」については、奈良時代以前には[pa]だったかもしれない、
室町時代末までは[Φa]、江戸時代に[ha]へ、という説明がまとめられています。
そして重要なのがもう1つ。
語の途中では「は」が「わ」に寄った、という話です。
(助詞の「は」を「わ」と読む理由にもつながります。)
ここまでを、**母(はは)**に当てはめるとこうなります。
母(はは)の発音イメージ(代表的整理)
- papa → ΦaΦa(ファファっぽい)→ Φawa(ファワっぽい)→ hawa
という説が紹介されています。
さらに「母」は、平安中期以降〜近世にかけて、
「はわ」と発音・表記した時期があったという補説も辞書にあります。
※注意:ここは「1本の線でスパッと変わった」というより、
地域や時代でゆらぎながら、少しずつ一般化したと考えるのが安全です(後で注意点で整理します)。
次は、「じゃあそれ、何を根拠に言えるの?」を“証拠”で見ます。
ここが分かると、記事の信頼性が一段上がります。
5. なぜ注目されるのか?
この話が面白いのは、ただの雑学じゃなくて、
「こうだったはず」と言える理由(証拠)が複数あるからです。
根拠①:国の研究機関も“母は昔パパ”と明言している
国立国語研究所の「ことば研究館」の解説(助数詞「匹」の質問)では、
ハ行が昔「パピプペポ」だったことに触れた上で、
**「母(はは)は昔パパと発音されていました」**と具体例で説明しています。
根拠②:キリシタン資料(ローマ字表記)で「F音」が見える
戦国〜近世の資料として有名なのが、宣教師たちのローマ字表記資料です。
国立国語研究所は2019年、英国図書館蔵の天草版(平家物語・伊曽保物語など)画像を公開しており、
こうした資料は当時の発音推定に役立つと説明されています。
新聞報道でも、ローマ字表記の例から
ハ行が「F」の音で発音されていた可能性が読み取れる、と紹介されています。
また研究論文でも、当時のキリシタン文書ローマ字表記で
ハ行が「Fa, Fi, Fu, Fe, Fo」と記される点が述べられています。
根拠③:方言・古い研究でも「p」系の痕跡が語られてきた
古い研究(橋本進吉の文章)でも、
万葉仮名の字音や方言などからハ行の古い音を論じる記述があります。

ついでに:なぜ「ピヨピヨ」「パタパタ」なの?
国際交流基金の解説では、
ハ行が昔パ行だった証拠の例として、
「ひよこ→ピヨピヨ」「旗→パタパタ」など(オノマトペ)に痕跡が残る、という説明があります。
【出典の信頼性】国際交流基金・国語研・JapanKnowledgeって何?
- 国立国語研究所(国語研/NINJAL)
1948年創設の、日本語とことばを科学的に研究し成果を社会へ提供する研究機関です。 - 国際交流基金(JF)
世界で日本語を学ぶ機会を広げるため、日本語教育の環境整備や支援を行う団体です。 - JapanKnowledge(ジャパンナレッジ)
百科事典・辞書・雑誌などを一括検索できるオンライン知識データベースです。
ここまでで「本当っぽい」ではなく、
「根拠が積み上がっている」話だと見えてきます。
次は、日常でどう役立つか(使い方)に落とし込みます。
6. 実生活への応用例(使い方・活かし方・メリデメ)
使い方①:1分で説明できる雑談テンプレ
こう言えると、話が上手くまとまります。
「“母がパパ”は意味じゃなくて発音の歴史。
昔のハ行がパ行寄り→途中でファっぽい音→今のハ、って変化した。
だから“はは”が“ぱぱ”っぽく聞こえた時期があるんだよ。」
このテンプレの芯は「国語研の説明+辞書の変化整理」です。
使い方②:「は=わ」もセットで理解して暗記を減らす
「私は」を読むとき、声に出すと「わたしわ」になりますよね。
これは単なる“例外暗記”ではなく、日本語の音の歴史とつながっています。
助詞(じょし)って?
助詞は「は・が・を・に・へ」など、言葉にくっついて
文の意味を助ける“くっつき言葉”です。
(例:私は、学校へ行く)
転呼(てんこ)って?
転呼は、昔の日本語で
書き方(かな)と発音がズレていく現象のことです。
たとえば「かは(川)」が発音では「かわ」に近づいていく、というような変化です。
つまり「は=わ」はどういうこと?
昔、語中・語尾のハ行(…は… / …ひ… など)が
発音でだんだんワ行(わ)寄りになっていきました。
これが「ハ行転呼音(はぎょうてんこおん)」と呼ばれる変化です。
その結果、発音としては「は」が「わ」っぽくなりました。
でも現在のルールでは、助詞の「は」は“は”と書く(表記は残す)と決まっています。
だから、
- 書く:私は
- 読む:わたしわ
になるんです。
このつながりが分かると、「は=わ」は例外ではなく、
音の変化の名残として覚えられるようになります。

使い方③:親族呼称の“言い方”も整理できる
「母(はは)」は、現代では
自分側の家族を外で言うときに使いやすい語の一つです。
文化庁の敬語解説でも、
「ウチ扱いの人物」は「父・母」などで言う、という説明があります。
7. 注意点や誤解されがちな点
誤解①:「昔の日本では母親を“パパ(父)”と呼んでいた」
違います。
意味(指す相手)が父母で入れ替わった話ではなく、発音の歴史です。
国語研の説明も、あくまで“発音”として説明しています。
✅「意味ではなく発音」
誤解②:「昔の発音は絶対に“パパ→ファファ→…”と全員が同じだった」
変化は一般に“ゆらぎ”があります。
辞書系でも「[pa]であったかともいわれる」など、断定を避ける書き方があります。
✅「代表的整理」「説として紹介」。
誤解③:クリック狙いの“悪用”
SNSなどで
「日本では昔、母=パパだった(ドヤ)」
と“意味”の話にすり替えると、誤情報になりやすいです。
✅「音(発音)」の話と明記・参照元(国語研/JF/辞書)を貼る
これだけで悪用されにくくなります。
次は、少し息抜きしつつ深掘りできる“コラム”に入ります。
8. おまけコラム
(脳・神経+「はは」の変化年表+「お母さん」普及)
はじめに大事な注意
先にハッキリさせておきます。
「脳が進化したから発音が変わった」という話ではありません。
言葉の音は、主に 世代をまたいだ“まね”や“言い方のクセ” が積み重なって、ゆっくり変わると考えられます。
ただし、人が音をどう聞いて、どう話すかは、当然ながら脳の仕組みと関係します。
次は、その“関係のしかた”を、根拠のある範囲で見ていきます。
脳は「聞こえた音」をどうやって“発音”に変えている?
2つの通り道
① 音 → 意味につなぐ道(腹側:ふくそく/ベンソル ventral)
人が話した音を聞いたときに、
「いま何と言った?」「それはどういう意味?」と 意味がわかる ための道です。
たとえば「はは」と聞いて、
「あ、お母さんのことだ」と 理解できる のは、こちらの働きです。
※「腹側」という名前は、脳の中で お腹側に近い位置 にある道、という区別のしかたから来ています。
でも大事なのは名前より、“意味がわかる道” という役割です。
② 音 → 発音(口の動き)につなぐ道(背側:はいそく/ドーサル dorsal)
聞いた音をまねして、
自分の口で同じように言えるようにする 発音の道 です。
たとえば「はは」と聞いて、
「自分も『はは』って言ってみよう」と口を動かせるのは、こちらの働きです。
※「背側」は、脳の中で 背中側に近い位置 にある道、という意味です。
こちらも名前より、“言えるようにする道” と覚えると分かりやすいです。
特に「背側」が大事な理由(今回の話につながるポイント)
背側(はいそく/ドーサル)の役割は、ひとことで言うと、
聞こえた音を、口の動かし方(発音の計画)に変えること
です。
だから私たちは、
周りの人の発音を聞いて、それを口でまねしながら言葉を覚えます。
この「音→口の動き」への変換は、毎回まったく同じコピーになるとは限りません。
小さなズレが、長い時間と世代を超えて積み重なると、
発音が少しずつ変化していくことがある――という説明につながります。

じゃあ、これが“発音のズレ”とどうつながるの?
私たちは、子どもの頃から
- 周りの大人の音を聞いて
- 自分の口でまねして
- 少しずつ「それっぽい音」に近づける
という学習をしています。
この「聞いた音→口の動き」変換は、完全にコピー機みたいに同一にならず、
わずかなズレが起こり得ます。
その小さなズレが、長い時間・世代の積み重ねで広がると、
言葉の発音が少しずつ変化していく…という説明は自然です。
(※ただし、これは“考え方の一つ”で、要因は他にもあります)
ここから先は、実際に「はは」がどう変わったと整理されているかを見ます。
「はは」は時代でどう変わった?(わかる範囲の“変化年表”)
まず大枠として、ハ行の子音(音のスタート部分)は、
- [p](パ行寄り)→ [Φ](ファっぽい)→ [h](今のハ)
のように変化してきた、という整理があります。
この整理を「はは」に当てはめると、JapanKnowledge(辞書・事典系の解説)では、
- papa → ΦaΦa(ファファのような音)→ Φawa(ファワのような音)→ hawa
という説が紹介されています。
さらに同じシリーズ記事で、
- 室町時代成立のなぞなぞ集『後奈良院御撰何曾』(1516年)に
「母には二たびあひたれども…(答え:唇)」が載っている
という具体的な文献例も挙げられています。
「ハハ」ではなく「ハワ」だった時代も?
JapanKnowledgeでは、12世紀頃から「ハハ」ではなく「ハワ」という表記が見られることが述べられ、
「ハワと言っていた時代もあった」とされています。
まとめると
- 「はは」はずっと固定ではなく
- 発音や表記が揺れながら移ってきた
という見え方になります(※一気に全国一律で変わった、と断言しないのが安全です)。

漢字「母」が使われた古い事例(万葉集)
「母(はは)」という呼称は古く、万葉集にも例がある、と辞書系で説明されています。
そして一次資料として実際に、万葉百科(奈良県立万葉文化館)のデータベースには、
- 漢字本文:「垂乳根乃母之命…」(=「たらちねの母の命…」)
のように、**漢字「母」**が本文に出る歌が掲載されています。
「母」という字は、少なくとも古い文献の世界で、
母親を指す表記として使われていたことが確認できます。
「お母さん」はいつ広まった?(時代と“決定打”)
「おかあさん」は、「母(はは)」よりかなり新しい呼称だと説明されています。
JapanKnowledgeの解説では、
- 「おかあさん」は近世の生活語として成立し、
「オカカサマ→オカアサマ(またはオカカサン)→オカアサン」と変化した - 江戸後期には上方で使われるようになった(『守貞漫稿』1837〜53年を根拠に紹介)
と書かれています。
そして普及の“決定打”として、
- 1903年(明治36年)の第一期国定読本に「オカアサン」が載った
- 当時は全国の小学生が同じ教科書で学ぶ仕組みだったため、急速に広まった
という流れが明示されています。
つまり「お母さん」は、自然発生でじわじわ…だけでなく、
学校教育(国定教科書)という強い拡散装置が作用したことで、標準的な呼称として定着していった、という見方ができます。
このコラムの結論
「母(はは)」は、古い文献に姿を残しつつ、
発音や表記を少しずつ変えながら、今の形に落ち着いてきました。
そして「お母さん」は、比較的新しい呼称として生まれ、
教科書をきっかけに一気に広まりました。
言葉って、ただの暗記じゃなくて、
昔の人の息づかいが、いまの私たちの口に残っているものなんですね。
次は、記事全体を締める「まとめ・考察」に入ります。
ここで、今回の話を“自分の言葉”として持ち帰れる形に整えます。
9. まとめ・考察
まとめ(要点だけ)
- 「母(はは)が昔ぱぱ」は、意味ではなく発音史として説明できる
- ハ行は、[pa]→[Φa]→[ha]のように整理されることがある
- 「は=わ」など、今の日本語の不思議にもつながる
- キリシタン資料など、当時の発音推定に役立つ資料もある
考察(高尚)
言葉は「正しい形」に向かって進むというより、
人の口が続けやすい方向へ、少しずつ流れていくのだと思います。
だから、例外に見えるものほど“歴史の痕跡”として美しい。
考察(ユニーク)
「母がパパだった」は、
日本語が未来の私たちに残した“ミステリー小説の伏線”みたいです。
一度気づくと、助詞の「は」や「かわ(かは)」まで、全部が伏線回収になります。
――この先は、興味に合わせて応用編へ。
「母(はは)が“ぱぱ”に聞こえた理由」を知ると、
「は=わ」みたいな“例外暗記”が、ただの暗記じゃなくなります。
ここからは、ハ行の発音変化や表記と発音のズレを味方にして、
日常の「ことばの不思議」を自分の言葉で語れる語彙を増やしていきましょう。
次は、つまずきやすい“仲間たち”を一気に整理します。
10. 応用編:同じタイプの「間違いやすい言葉」まとめ
ここでは「母=ぱぱ」と同じく、
**“発音はこうなのに、書くときはこう”**になりやすい言葉を集めます。
(覚え方は「理由で理解→例で確認」です。)
まず王道:「助詞(じょし)」の3兄弟(は・へ・を)
助詞ってなに?
助詞は「は・へ・を」みたいに、言葉にくっついて
**文の意味を助ける“くっつき言葉”**です。
何が間違いやすいの?
文化庁の「現代仮名遣い」では、次のように整理されています。
- 助詞の「は」は “は”と書く(例:今日は日曜です、ではさようなら、とはいえ…)
- 助詞の「を」は “を”と書く
- 助詞の「へ」も、発音が「え」でも “へ”と書く(本則)
✅つまり、発音が「わ・え・お」でも、助詞は表記が残る、というルールです。
母(はは)=ぱぱも、根っこは同じく「音の歴史」です。
次は、助詞が関わる“超有名な間違い”に行きます。
「こんにちわ」「こんばんわ」って、なぜ間違い?
結論:**正しくは「こんにちは」「こんばんは」**です。
理由はシンプルで、どちらも中身を分けると
- 「こんにちは」=「今日は(こんにち)は〜」の 助詞「は」
- 「こんばんは」=「今晩は(こんばん)は〜」の 助詞「は」
だから、発音は「わ」でも、書くときは助詞のルールで「は」を使います。
✅「こんにちわ」と書きたくなるのは自然ですが、
ここは助詞の特例を思い出すと迷いません。

次は、同じ“ズレ”でも、助詞ではないパターンを見ます。
「かわ(川)」は“発音に合わせて直された”仲間
古文で見る「かは(川)」が、今は「かわ」になる。
これは 書き方が発音に寄って整理された例としてよく説明されます。
ここが、助詞との大きな対比です。
- 多くの語:発音に合わせて表記も変わる(例:かは→かわ)
- 助詞:発音が変わっても表記が残る(例:私は=わたし“わ”だが「は」)
✅この「残る/変わる」の対比を知っているだけで、
“なんで?”が激減します。
次は、音が変わる現象のもう一つの大物を紹介します。
同じような現象:連濁(れんだく)も「音の都合」で起きる
連濁(れんだく)は、言葉がくっつくときに
後ろの言葉の頭が濁る現象です(例:青+空→青ぞら)。
国立国語研究所でも「連濁」に関する大きな研究プロジェクトが進められています。
これも、「母=ぱぱ」と同じく
**話しやすさ(発音しやすさ)**が関わるタイプの現象です。
次は、ここまでを“自分の言葉”にするための学び方へ進みます。
11. 更に学びたい人へ(おすすめ書籍)
「母(はは)が“ぱぱ”に聞こえた理由」を、もっと深く・楽しく理解したい方へ。
ここでは 3冊だけを厳選しました。
初学者におすすめ
『はじめて読む日本語の歴史』沖森卓也
日本語が「音・文字・語彙・文法」の面でどう移り変わってきたかを、時代の流れとして通してつかめる入門書です。今回の「発音の変化」も、全体像の中で迷子になりにくいのが強みです。
全体におすすめ(まず1冊ならこれ系)
『日本語の歴史』(岩波新書 新赤版 1018)山口仲美
日本語史を新書サイズで見渡せるタイプの一冊です。
「なぜ今の日本語はこうなったの?」を、広い視野で整理したい人に向きます。
中級者におすすめ(今回のテーマに直球)
『日本語の発音はどう変わってきたか――「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅』(中公新書 2740)釘貫亨
今回の核心である発音(音)の変化を主役にして、具体例からたどっていく本です。
「ハ行がどう変わったのか」を、根拠の見せ方も含めて深掘りしたい人にぴったりです。
12. 疑問が解決した物語
その夜、私は記事を読み終えて、スマホをそっと置きました。
「母(はは)が“ぱぱ”だった」は、意味が入れ替わった話じゃなくて、発音の歴史だったんだ。
昔の「は」の音がパ行に近くて、時代とともに少しずつ変わっていった――そう考えると、さっきまでのモヤモヤが、スッと整理されました。
翌日、私はあの友だちにメッセージを送りました。
「“母がパパ”は本当。ただし意味じゃなくて発音の話。昔のハ行がパ行寄りだったから『はは』が『ぱぱ』っぽく聞こえた時代があるんだって」
送信して数分後、「それなら納得!助詞の“は”が“わ”になるのも、同じ流れ?」と返ってきました。
私は、ちょっとだけ得意げに返します。
「そうそう。発音は変わっても、助詞は書き方が残るってルールがあるからね」
たったそれだけで、ただの雑学が“使える知識”に変わる感じがしました。
それ以来、知らない言葉に出会っても、私は少し考えるようになりました。
「変なのは言葉じゃなくて、私が“今の形だけ”を見ていただけかもしれない」って。
言葉は、昔の人の息づかいが残っている“痕跡”なんだと思うと、間違い探しみたいなストレスが減って、むしろ面白くなります。

教訓:
「例外」に見えるものほど、たいてい“歴史の理由”がある。
モヤッとしたら、暗記で押し切る前に、いったん由来を探してみる。
さて、あなたは最近、どんな言葉に「え、ナンデ?」と立ち止まりましたか?
もし一つでも思い当たるなら、次はそれを調べてみませんか。
きっと今回みたいに、“知ってる日本語”がもう一段、深く見えてきます。
13. 文章の締めとして
「母(はは)が昔“ぱぱ”だった」と聞くと、最初は冗談みたいに感じます。
でも調べてみると、そこには“言葉が生きてきた時間”がちゃんと残っていました。
私たちが普段何気なく口にする「はは」も、
遠い昔の息づかいを、ほんの少しだけ今に運んでくれる音なのかもしれません。
だから、次に誰かが「母って昔パパだったんだって」と言ったら、
あなたはきっと笑いながら、こう返せます。
「それ、意味じゃなくて“発音の歴史”の話だよ」って。
補足注意
本記事は、作者が個人で調べられる範囲で、信頼できる資料をもとにまとめた内容です。
ただし言語史には複数の整理の仕方があり、この説明が唯一の正解というわけではありません。
また研究が進むことで、新資料の発見や分析方法の更新により、説明がより精密になったり、見直されたりする可能性もあります。

🧭 本記事のスタンス
この記事は「これが唯一の正解」ではなく、
「読者が自分で興味を持ち、調べるための入り口」として書いています。
さまざまな立場からの視点も、ぜひ大切にしてください。
このブログで「なるほど」と思えたなら、ぜひ次は、
あなた自身の手で文献や資料をたどってみてください。
「母(はは)」の音が、昔は“ぱぱ”に聞こえたように、
言葉は、調べるほど別の顔を見せてくれます。
あなたの「はは」が、次はどんな発音の景色へつながるのか――
その続きは、ぜひ資料の中で確かめてみてください。
最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました。
それではまた、あなたの中の「はは」が、ふっと「なるほど」に変わる言葉に出会えますように。


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