『こんにちは』はなぜ『は』?『こんにちわ』と迷う理由を助詞・現代仮名遣いで解決(由来つき)

考える

発音は「わ」でも書くとき「は」—助詞と「現代仮名遣い」、由来から使い分けまで一気に解決

『こんにちは』はなぜ『こんにちわ』じゃない?最後が『は』の理由と由来を深掘り解説

代表例

スマホで「こんにちわ」と打ったら、変換候補にそのまま出てきて、つい送ってしまいそうになった。
でも…あとで見返すと、なんだか不安。
**「あれ、これって間違い?」**と、手が止まったことはありませんか。

30秒で分かる結論

「こんにちは」「は」と書くのは、最後の“は”が助詞(じょし)の「は」だからです。
国の表記基準「現代仮名遣い」でも、助詞の「は」は「は」と書き、例として「こんにちは」「こんばんは」が挙げられています。

つまりは、「こんにちは」の『は』は助詞で、発音は『わ』でも、書くときは慣習で『は』のままです(現代仮名遣いの例にもあります)。ということです。

小学生でもスッキリ分かる言い方(かみ砕き)

「こんにちは」の最後の「は」は、**“言葉の一部”というより“しるし”**みたいなものです。

たとえば、

  • きょうは あついね
  • きょうは いい天気だね

この 「は」 と同じ仲間です。
音は「わ」に聞こえるけど、**書くときは昔からの決まりで「は」**のまま残っているんです。

「こんにちは」の最後の「は」は、言葉の一部じゃなくて“しるし”です。
だから読むと「わ」でも、書くときは昔からの決まりで「は」と書きます。

→ ここから、あなたの「ナンデ?」を“気持ちよく”ほどいていきます。

1. 今回の現象とは?

「こんにちは」って、言うと こんにち“わ”【wa】
でも書くと こんにち“は”【ha】

このズレが、妙に気になるんですよね。

このようなことはありませんか?(あるある例)

  • 友だちへのLINEでは勢いで「こんにちわ!」と送ってしまう
  • 子どもの宿題に「こんにちわ」と書いてあって、どう直せばいいか迷う
  • ビジネスメールで「こんにちは」と書いたつもりが「こんにちわ」になっていて冷や汗
  • 「こんばんは」も同じで、「こんばんわ?」と一瞬迷う
  • 「発音が“わ”なのに、なんで“は”?」とモヤモヤが残る

よくある疑問をキャッチフレーズ風に言うと…

  • 「“わ”って読むのに、なぜ“は”?」(この法則とは?)
  • 「『こんにちは』の最後の文字、なぜ“わ”じゃないの?」(この法則とは?)
  • 「“こんにちわ”は本当に間違い?どこからがNG?」(この法則とは?)

この記事を読むメリット

  • 1分で説明できる:「なぜ“は”?」を、子どもにも言える言葉にできます
  • 失礼を回避できる:メールや仕事で“損しない表記”がわかります
  • 由来まで腑に落ちる:「省略された挨拶」説の“確かな部分”が理解できます(根拠つき)

→ 次は、もっと身近な場面で「なぜ?」が生まれる瞬間を物語にします。

2. 疑問が浮かんだ物語

昼休み。
机の端に置いたスマホをのぞき込みながら、取引先に送るお礼メールをサッと書いていました。
書き出しはいつもの挨拶――「こんにち…」まで打ったところで、親指がふっと止まります。

(あれ? これ、“は”だっけ? “わ”だっけ?)
声に出すと確実に「こんにち」なのに、画面に出る候補は「こんにちは」と「こんにちわ」。
どっちも“それっぽい顔”をして並んでいるのが、余計に迷わせます。

(もし「こんにちわ」で送ったら、相手はどう思うだろう)
(揚げ足を取られるほどのことじゃない…はず。でも、仕事だと小さな違いが妙に目立つ)
(逆に「こんにちは」が正しいなら、なんで“わ”って読めるのに“は”って書くんだろう?)

自分の中で、二つの気持ちがぶつかりはじめます。
**「普段から使っている言葉なのに、説明できない不安」**と、
「説明できないものを、そのまま送るのが怖い気持ち」

さらに困るのは、ここで一度つまずくと、文章全体がぎこちなくなることです。
挨拶ひとつに時間をかけている自分が、ちょっと情けない。
でも同時に、こうも思うのです。

(“知っている”と“わかっている”は違うのかもしれない)
(なんとなく覚えてきた日本語って、実は不思議な仕掛けだらけなんじゃないか)

スマホの小さな2文字が、急に大きな謎に見えてきました。
まるで、音と文字がすれ違っているみたいで、心の中に小さな引っかかりが残ります。

この引っかかりを、ちゃんと言葉にしてほどきたい。
それができれば、メールも気持ちよく送れるし、子どもに聞かれても胸を張って答えられる。
そう思った瞬間、ただの入力ミスの話じゃなくて、**「言葉の仕組みの謎解き」**になりました。

→ 大丈夫です。次で、答えをハッキリ言葉にします。

3. すぐに分かる結論

お答えします。

「こんにちは」を「は」と書くのは、最後の“は”が助詞(じょし)の「は」だからです。
助詞というのは、言葉と言葉をつなぐ“しるし”のようなもので、
「今日は(きょう)暑いね」の 「は」 と同じ仲間です。

つまり「こんにちは」は、もともと
「今日は(こんにちは**)……」**
のように、**文の途中にある「は」**が残って、挨拶として独立した形だと考えられています。

そして国の表記ルール(内閣告示「現代仮名遣い」)でも、
助詞の「は」は 「は」と書くとされ、例として 「こんにちは」「こんばんは」 が示されています。

噛み砕いていうなら

  • 音は「わ」に聞こえる
  • でも役割は「助詞の“は”」
  • だから書くときは「は」になる

ここまでで、「どっちで送るのが正しい?」の不安は解消できます。
でも、次の疑問が出てきませんか?

「じゃあ、省略された“後ろの言葉”って何だったの?」
「どうして私たちは“こんにちわ”と書きたくなるの?」

→ その“言葉の中身”を、次の章で一緒にほどいていきましょう。

4. 『こんにちは』の『は』問題の正体

定義と概要

結論の核:これは「助詞の仮名遣い(かなづかい)」です

「こんにちは」を「は」と書く理由はシンプルです。
最後の“は”が 助詞(じょし) だからです。

国の表記基準「現代仮名遣い」では、

  • 助詞の「を」は「を」と書く
  • 助詞の「は」は「は」と書く
  • 助詞の「へ」は「へ」と書く

という “表記の慣習による特例” が示され、用例として 「こんにちは」「こんばんは」 も挙げられています。

※ここで「助詞の“は”」「“は”と書く」と“は”が続くのは、
**「文法の種類」「文字の形」**を区別して説明しているからです。

「を」を「を」と書くのは当たり前じゃないの?

いま私たちが「当たり前」だと思っているのは、学校でそう習って定着しているからです。

でも、現代仮名遣いの大原則は「ふだんの発音(音)に合わせて書く」です。
その原則だけで考えると、助詞の「を」は多くの人が 「お」 と同じように発音するので、

  • もし音だけで書くなら → 「本お読む」 みたいになってしまう

でも実際は、国の基準ではそう書かず、

  • 正しくは → 「本を読む」

と書く、と“わざわざ明文化”しています。
それが「助詞の『を』は『を』と書く」という一文の役割です。

同じように、

  • 助詞の「は」:発音は「わ」寄りでも 「は」 と書く
  • 助詞の「へ」:発音は「え」寄りでも 「へ」 と書く

というのも、まとめて“慣習による特例”として示されています。

そもそも「助詞」ってなに?

**助詞(じょし)**は、超ざっくり言うと、

言葉と言葉の関係を示す“しるし(つなぎ役)”

です。
単独で意味を作る主役というより、文の中で「役割」を示す裏方です。

例(助詞を太字にします)

  •  学生です(話題のしるし)
  • りんご 食べる(食べられるもの=目的のしるし)
  • 学校 行く(向かう先のしるし)
  • 公園 遊ぶ(場所のしるし)
  • 友だち 話す(相手のしるし)

こういう「しるし」が助詞です。

つまりは
助詞の「は・へ・を」は、発音どおりに書かない“特別ルール”です。
「わ」「え」「お」と聞こえても、書くときは「は」「へ」「を」のまま。現代仮名遣いにも例が載っています。

「こんにちは」は、もともと“文の途中”だった?

由来としてよく言われるのが、

  • 「今日は……」の形で会話が始まり
  • 後ろの言葉が省略されて
  • 挨拶として独立していった

という流れです。

国立国語研究所(ことば研究館)は、古い日本語の残る狂言の台詞に
「コンニッタ」のような形が見られ、そこでは「今日は」で終わらずその後に文が続くことが多い、と説明しています。

→ 次は、「なぜこの話が今でも“注目され続けるのか”」を、背景から深掘りします。

5. なぜ注目される?

背景・重要性

背景1:「音」と「文字」がズレるのは日本語の特徴です

ことば研究館は、助詞の「は/へ/を」を発音通りに書かないのは、
発音変化と伝統的な正書法が一致しない現象=仮名遣いの問題だと整理しています。

つまり、

  • 耳:こんにち
  • 手:こんにち

このズレは、「こんにちは」だけの特別ルールではありません。

背景2:国の基準が“社会で使う表記”を整えた

戦後の国語施策では、当用漢字表などと並んで「現代かなづかい」が定められました。
そして現在の「現代仮名遣い」は 昭和61年(1986年)内閣告示第1号として位置付けられています。

この「社会の共通ルール」があるからこそ、
学校・仕事・公的文書で表記が統一できます。

背景3:SNS時代に「こんにちわ」が増えるのは自然

ことば研究館は、友達同士のメールなど“会話に近い書き言葉”では、
発音に引っぱられて「こんにちわ」が出やすい、と述べています。

ここが、まさにあなたの代表例(スマホ変換)とつながります。

脳のしくみから見ると、なぜ“音に引っぱられる”の?

ここは「こんにちは専用の研究」ではなく、読み書きの一般理論としての話です。

  • 仮名の読みは、文字を音に変換する処理(いわゆる音韻処理)を強く使うことが示唆されています。仮名の処理に左側の“背側路(はいそくろ:dorsal stream)”が関与するという報告があります。
  • 書く側でも、仮名の書字は音韻(おんいん:音の単位)経路で処理される可能性があり、角回(かくかい)・縁上回(えんじょうかい)などが関わるという報告があります。

ざっくり言うと、

「頭の中で“わ”と聞こえる」→「そのまま“わ”で打ちたくなる」

は、人間として自然なんです。

→ では、その“自然さ”を踏まえて、次は「どう使い分ければ損しないか」を実用に落とします。

6. 実生活への応用例

今日から使える・失礼を防ぐ

まず結論:仕事・学校・初対面は「こんにちは」が安全です

国の基準「現代仮名遣い」では、助詞の「は」は「は」と書き、
例に「こんにちは」「こんばんは」が示されています。

なので、

  • ビジネスメール
  • 学校の作文
  • 公式な文章

は迷わず 「こんにちは」 でOKです。

3秒で判定できる「迷ったときのルール」

ルールA:漢字にできたら強い

  • 「こんにちは」→「今日は」
  • 「こんばんは」→「今晩は」

こう書けるなら、最後は 助詞の“は” です。

ルールB:「わたしは」を思い出す

「わたし」を「わたし」と書かないのと同じです。

ルールC:迷ったら“相手にどう見えるか”で決める

  • 「正しいか」より
  • 「相手が読み返したときに引っかからないか」

これが、結局いちばん実用的です。

→ 次は「こんにちわは本当に間違い?どこからNG?」を、誤解ごと整理してスッキリさせます。

7. 注意点・誤解されがちな点

ここが“落とし穴”

誤解1:「省略された後ろの言葉」は“1つに決まっている”

よく「今日は良い天気ですね」などが例に出ますが、
安全な理解はこうです。

  • 「今日は…」は会話の入り口になりやすく
  • 実際、古い用例では「今日は」で終わらず後ろに文が続くことが多い

つまり、「後ろの文」は固定フレーズではなく、状況に応じて変わり得たと捉えるのが堅いです。

誤解2:「明治の教科書で広まった」は断定しづらい

ネットではよく聞きますが、研究では“明治期の学校教育で積極的に勧められた形跡は薄い”という指摘があります。
倉持(2012)は、明治期の教科書で日中の出会いの挨拶が別の形で示されている例などを挙げています。

なので本記事では、

  • 江戸後期〜明治にかけて広まり
  • のちに社会の標準化で定着した

くらいの言い方に留めます。

誤解3:「こんにちわ」は完全アウト?どこからNG?

結論から言うと、「絶対ダメ」と言い切れるものではなく、場面と相手で受け止めが変わります。
ただし、学校・仕事・公的な文章のように“標準的な表記”が期待される場では、誤解や評価のブレが起きやすいので、基本は 「こんにちは」 が安全です。

逆に、親しい相手とのやり取りでは、くだけた雰囲気を出す意図で「こんにちわ」が使われることもあります。
ただ、その“くだけ”が相手に伝わらないと、違和感や失礼につながることも。

「どこまでOK/どこからNG?」を3秒で判断できる早見ルールは、9の段落でまとめます。

→ ここまでで、「こんにちは」の表記が“音”ではなく、**文法(助詞)**のルールに支えられていることが見えてきました。
では次に、その助詞を昔から「てにをは」と呼んできた理由と、日本語が“音だけで決まらない”面白さを、少し寄り道してのぞいてみましょう。

8. おまけコラム:日本語は「音だけ」ではできていない

〜「てにをは」が“こんにちは”を守っている話〜

そもそも「てにをは」って何?

「てにをは(テニヲハ)」は、**日本語の助詞(ジョシ)**をまとめて呼ぶ言い方です。
もともとは漢文を読むときに補って読む語(助詞・助動詞など)を指す言葉でしたが、現代では「助詞」の意味で使われることが多いです。

ざっくり言うと、助詞は――
**言葉と言葉の関係を示す“しるし(つなぎ役)”**です。

「てにをは」が入るだけで、意味がガラッと変わる

助詞は短いのに、文章の意味を大きく動かします。

たとえば、同じ「犬が好き」でも――

  • 犬が好き:犬という存在そのものが好き(主語っぽく強い)
  • 犬は好き:犬は好き。でも猫は…?(比べる・話題にする感じ)

この「が/は」の違いだけで、ニュアンスが変わるんです。
だから昔から「てにをはが合わない=文章がちぐはぐ」という言い方が残りました。

ここが面白い:助詞は“発音どおりに書かない”ことがある

普通は「聞こえた音に近い文字」で書きたくなりますよね。
でも助詞の一部は、音よりも昔からの書き方(慣習)を優先します。

文化庁の「現代仮名遣い」では、表記の慣習による特例として、次を明示しています。

  • 助詞の「は」は 「は」 と書く(発音は「ワ」に近くても)
  • 助詞の「へ」は 「へ」 と書く(発音は「エ」に近くても)
  • 助詞の「を」は 「を」 と書く(発音は「オ」に近くても)

そして、この特例の用例として 「こんにちは」「こんばんは」 も載っています。

ここがポイントです。
「こんにちは」の“は”は、まさにこの“助詞の特例”のルールに乗っているんですね。

「こんにちは」の“は”は、文法のしるしが残った“化石”

国立国語研究所の解説では、「こんにちは」は本来続くはずの文言が省略されて、
挨拶として独立した言葉になったと考えられるので、文末の「わ(終助詞=シュウジョシ)」ではなく、**係助詞(カカリジョシ)の「は」**だと言える、と説明されています。

係助詞(カカリジョシ)は、簡単に言うと
話題を立てたり、比べたりする助詞です(例:「私は…」の「は」)。

つまり「こんにちは」は、
“音”だけでできた言葉じゃなく、文法のしるしが挨拶の形で残ったもの――
言ってみれば、助詞が残った“小さな化石”なんです。

そう思うと、「は」と書く理由が、ちょっと愛おしく見えてきませんか。

では、この「てにをは(助詞)のルール」を踏まえて、
**今日から迷わない“使い分け”と“NGになりやすい場面”**を、生活に落とし込んでまとめていきましょう。

9. 今日から迷わない!

「こんにちは/こんにちわ」の使い分け(NGになりやすい場面つき)

まず結論です。
迷ったら「こんにちは」にしておけば間違いません。

理由はシンプルで、
「こんにちは」の「は」は てにをは(助詞)の“は”
助詞は発音が「わ」に聞こえても、書くときは「は」を使う――
というルール(慣習)があるからです。

ここからは、「どこでOK/どこでNG?」を生活に落とし込みます。

「こんにちは」が安心な場面(NGを避けたい場面)

次の場面では、「こんにちは」一択がおすすめです。

  • 仕事のメール、社内チャット
  • 取引先、顧客への連絡
  • 学校の作文、レポート、提出物
  • 公的な文章、申請文、案内文
  • 初対面の人、目上の人へのメッセージ

なぜなら、ここでは文章が「話す言葉」ではなく
**“読み返される文章”**になるからです。

読み返されたときに
「こんにちわ」と書いてあると、内容より先に
「表記が気になる」人が一定数います。

損を避けるなら、最初から「こんにちは」。
これが一番コスパが良い選び方です。

「こんにちわ」はどこまで許される?(OKになりやすい場面)

一方で、次の場面では
「こんにちわ」が **“あえての崩し”**として使われることがあります。

  • 親しい友だちとのLINE
  • ゆるいSNS投稿
  • 自分のメモ、日記
  • キャラ作り(砕けた雰囲気)を狙う文章

ただし、ここにも落とし穴があります。

相手が
「ゆるいノリが好きな人」ならOKでも、
「言葉づかいに敏感な人」だと引っかかることがあります。

つまり「こんにちわ」は
相手と場の空気を読めるときだけ、が安全です。

迷ったときの3秒ルール(これだけ覚えればOK)

迷ったら、次の順番で判断してください。

① 仕事・学校・初対面? → はい →「こんにちは」
(ここで迷う必要はありません)

② 文章が残る?(スクショされる・転載される) → はい →「こんにちは」
(SNSは残るので、迷うならこちら)

③ 相手が“崩し表記”を嫌がりそう? → はい →「こんにちは」
(相手の好みが読めないなら、丁寧側へ)

結局、迷った時点で
「こんにちは」が最適解になりやすいです。

つい「こんにちわ」と書いてしまう人へ(やさしい対策)

「こんにちわ」と打ってしまうのは、悪いことではありません。
耳が“わ”と感じているからです。

対策はシンプルです。

  • 変換候補が出たら、一度だけ「こんにちは」を選ぶ
  • それでも迷うなら、**「今日は」**と漢字にして考える
    (「今日は…」の「は」だと気づきやすい)

この2つだけで、ミスは激減します。

章のまとめ(短く)

  • 安心なのは「こんにちは」
  • 「こんにちわ」は **親しい場面の“崩し”**としてはあり得る
  • 迷ったら「残る文章かどうか」で決めると失敗しない

ここまでで、場面ごとの「正解」はもう迷わなくなったはずです。
ただ、検索していると「じゃあこれは?」「ここは例外?」が次々に出てきますよね。
そこで、読者がつまずきやすい疑問だけをQ&Aで一気に回収します。

9.5 「こんにちは」の“は”問題、最後のモヤモヤを0にする

気になるところだけ、上から順に読んでください(全部読まなくてもOKです)。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「こんにちは」はなぜ「こんにちわ」じゃないの?

A. 最後の「は」は、文末の「わ」ではなく助詞(じょし)の「は」だからです。国の表記基準「現代仮名遣い」でも、助詞の「は」は「は」と書き、用例として「こんにちは」「こんばんは」が挙げられています。

Q2. 「こんばんは」も同じ理由で「は」なの?

A. はい。同じく最後の「は」は助詞の「は」なので、「こんばんは」と書きます。「現代仮名遣い」の用例にも挙げられています。

Q3. 助詞(じょし)って、結局なに?

A. 助詞は、言葉と言葉の関係を示す“しるし(つなぎ役)”です。たとえば「今日は暑いね」の「は」、「本を読む」の「を」などが助詞です。

Q4. 「助詞の『は』は『は』と書く」って、同じ言葉が2回で変じゃない?

A. 変ではありません。1回目の「は」は文法の種類(助詞)の話、2回目の「は」は文字としての表記の話です。「助詞として使う『は』は、書くとき『は』を用いる」という意味になります。

Q5. 「を」を「を」と書くのは当たり前じゃないの?

A. いま私たちが当たり前に感じるのは、学校でそう習い定着しているからです。発音は「お」に近く聞こえやすいので、音だけで書くと「本お読む」になりかねません。そこで「現代仮名遣い」は、助詞の「を」は「を」と書く、と特例として明示しています。

Q6. 「では/でわ」はどっちが正しいの?

A. 一般に「では」が標準的です。「では」は「で+は(助詞)」の形なので、発音が「デワ」に聞こえても、助詞としては「は」で書く、という考え方で理解できます。

Q7. 「こんにちわ」は完全に間違い?使っていい場面はある?

A. 学校・仕事・公的文章など、標準表記が求められる場面では「こんにちは」が安全です。一方、親しい人とのやり取りで“くだけた雰囲気”を意図して使われることもあります。ただ、相手がどう受け取るかで印象が割れるので、迷うなら「こんにちは」が無難です。

Q8. 「こんにちは」は本当は長い挨拶の省略?後ろの言葉は何?

A. 「今日は…」の形で会話が始まり、続く文言が省略されて挨拶として独立した、という説明がよくされます。国立国語研究所は、狂言などに残る古い形「コンニッタ」では、単独で終わらず後ろに文が続くことが多いと述べ、文末の「わ」ではなく係助詞の「は」だと説明しています。

Q9. 「現代仮名遣い」って何?いつ決まったの?

A. 一般の社会生活で現代の国語を書き表すための、仮名遣いのよりどころとして定められた国の基準です。現在の「現代仮名遣い」は昭和61年(1986年)内閣告示第1号として位置づけられています。

Q10. 子どもに一言で説明するなら?

A. 「こんにちは」の最後の「は」は、言葉の一部というより“つなぎのしるし(助詞)”。だから音は「わ」でも、書くときは「は」のままなんだよ――でOKです。

FAQで引っかかりが取れたら、最後は「なぜこのズレが残ったのか」をもう一段だけ俯瞰します。
次はまとめ・考察として、「こんにちは」の“は”が残したものを、もう一度きれいに回収します。

ここまでで「使い分け」は迷わなくなったはずです。
でも、もう一つだけ気になりませんか?

「そもそも“省略された後ろの言葉”って、何が入っていたの?」
次の章では、昔の用例や考え方をもとに、
この“省略の中身”をできるだけ丁寧に解き明かします。

10. まとめ・考察

「今日は…」の“続き”が決まっていないから、今も迷う

ここまでの話を、まず一言でまとめます。
「こんにちは」は、もともと“文の途中”にあった助詞の「は」が残った挨拶です。
だから発音は「わ」に聞こえても、表記は助詞として「は」を使います。
そして国の表記基準「現代仮名遣い」でも、助詞の「は」は「は」と書き、用例に「こんにちは」「こんばんは」が挙げられています。

では、9章で残した疑問に答えます。

「省略された後ろの言葉」って、何だったの?

結論から言うと、後ろの言葉は1つに固定されていなかった可能性が高いです。
国立国語研究所は、狂言などに残る古い形(「コンニッタ」)は、現代の「こんにちは」みたいにそれ単体で終わるより、挨拶の“冒頭”としてそこから文が続くことが多いと説明しています。

つまり昔の「今日は…」は、いわば会話を起動するスイッチ
その場に合わせて、たとえば――

  • 「今日は、いいお天気ですね」
  • 「今日は、どちらまで?」
  • 「今日は、お忙しいところ…」

みたいに、続きはいくつもあり得た
だから「後ろの言葉=これ!」と断定するより、
**“続きが可変の導入句だった”**と考える方が、いちばん安全で納得感があります。

どうして私たちは「こんにちわ」と書きたくなるの?

これは、かなり人間らしい反応です。
理由はシンプルで、耳で聞こえる音が「わ」だから

ただし、日本語の表記は“音だけ”で決めていない場面があります。
とくに助詞の「は/へ/を」は、発音に引っぱられずに慣習どおりに書く、という特例が「現代仮名遣い」に明示されています。

だから、私たちの中ではいつも小さな綱引きが起きます。

  • 耳:「わ」って聞こえるよ?
  • ルール:「でも助詞だから“は”だよ」

この綱引きがある限り、「こんにちわ」と書きたくなる人が出るのは自然です。
むしろ、その迷いは“言葉を丁寧に扱っている証拠”でもあります。

高尚な考察

挨拶は「意味」より先に「関係」を動かす言葉

挨拶って、実は情報を伝えるためというより、
人間関係の空気を整えるための言葉になりやすいんです。

研究でも、挨拶語が定型化し、場の共有意識や“ファティック(ファティック=関係づくりのためのやりとり)”の方向へ変化していく、という議論があります。

「今日は…」の“続き”が消えていったのも、
意味を削ったからではなく、
「会話を始める合図」だけが残れば目的が達するようになったから――
そう考えると筋が通ります。

そして、残ったのが助詞の「は」。
つまり「こんにちは」の「は」は、
日本語が“関係を動かす言葉”を磨いてきた歴史の痕跡とも言えます。

ユニークな考察

「こんにちは」は、実は“続きをあなたに渡す言葉”かもしれない

ここで、ちょっと遊び心のある見方をします。

「こんにちは」って、もしかすると――
「今日は……(さあ、あなたは何を話しますか?)」
という、会話のバトン渡しなのかもしれません。

昔は「今日は…」のあとに、天気でも用件でも続けていた。
でも今は、その“続きを言う自由”を残したまま、先頭だけが挨拶として固定された。

だから、試してみてほしいんです。

  • 「こんにちは。今日は寒いですね」
  • 「こんにちは。今日は助かりました」
  • 「こんにちは。今日はどんな一日でした?」

こうやって**“省略された続きを、今の自分の言葉で足す”**と、
挨拶が急に生き生きします。

すると不思議なことに、
「は/わ」のモヤモヤも、ちょっと愛おしくなる。
たった一文字の「は」が、
あなたの会話の入口を、ずっと支えてくれていたんだな……って。

ここまでで、
「こんにちは」が “音のとおりに書かない”例外ではなく、
助詞(てにをは)という文法のしるしから生まれた挨拶だと見えてきました。

――この先は、興味に合わせて応用編へ。
同じタイプの“迷いやすい表記”を集めて、
**自分の言葉で説明できる語彙(ごい)**を増やしていきましょう。

→ 次は「こんにちは」だけじゃない、“似たつまずき”を一気に整理します。

11. 応用編

似た現象で「語彙」を増やす(音と文字のズレ図鑑)

まず覚えると強い「助詞の三兄弟」:は/へ/を

文化庁の「現代仮名遣い」では、助詞(じょし)の表記として、

  • 助詞の「は」は と書く(発音が「ワ」に聞こえても)
  • 助詞の「へ」は と書く(発音が「エ」に聞こえても)
  • 助詞の「を」は と書く(発音が「オ」に聞こえても)

…という、慣習による特例が明示されています。

ここが大事です。
あなたが「『を』を『を』と書くのは当たり前では?」と感じたのは、すごく自然です。

でも実際は、多くの人が日常会話で「を」を 「オ」 に近く発音します。
その結果、子どもや学習者ほど「お」と書きたくなる。
だから国の基準は、あえて「助詞の“を”は“を”で書く」と、ルールとして言い切っているんですね。

→ 次は、この三兄弟が“文章の中”で混ざって起きる、超あるあるミスに行きます。

「では/でわ」問題は、“で+は”問題だった

「では」は、分解すると 「で」+助詞の「は」 の形です。
だから発音は「デワ」に聞こえても、表記は では が基本になります(助詞の「は」は「は」と書くため)。

例)

  • では、始めます。
  • それでは、また。

このタイプは「こんにちは」と同じで、
耳(わ)とルール(は)の綱引きが起きやすい代表例です。

→ 次は、さらに“似ているのに誤解されやすい”仲間も見ておきましょう。

「には/にわ」「とは/とわ」も、同じ落とし穴

助詞の「は」は、単体だけじゃなく、

  • には(発音は「ニワ」に聞こえがち)
  • とは(発音は「トワ」に聞こえがち)

のように、前の語とくっつくと、ますます「わ」で書きたくなります。

例(誤りになりやすい形)

  • × 私にわ無理だよ
  • ○ 私には無理だよ

ポイントは同じです。
助詞の「は」が入っているなら、基本は「は」表記です。

→ 次は、ここまでの語彙を“自分の言葉”にするためのミニ辞書を置いておきます。

今日から使える「説明用語彙」ミニ辞書(これだけで会話が強くなる)

  • 助詞(ジョシ):言葉と言葉の関係を示す“しるし”(てにをは)。
  • 係助詞(カカリジョシ):「は」など、話題を立てたり比べたりする助詞。国語研は「こんにちは」の「は」をこの立場で説明します。
  • 終助詞(シュウジョシ):文末につく「わ」(例:いいわ/嫌いだわ)のようなもの。※「こんにちは」はこれではない、というのが国語研の整理です。
  • 表記の慣習:発音どおりではなく、昔からの書き方を守る決まり(現代仮名遣いの「は/へ/を」)。

→ ここまで来たら、もう“調べて終わり”じゃなく、もっと楽しく深掘りできます。次は学びたい人向けの案内です。

12. さらに学びたい人へ

本で“自分の言葉”にする

「こんにちは=助詞の“は”】【発音は“わ”】【でも表記は“は”】【てにをはのルール】まで分かったら、次は “説明できる”から“使いこなせる”へ進むのが楽しいところです。
ここでは、4冊を、特徴おすすめ理由つきでまとめます。

① 小学生〜初学者におすすめ
『ドラえもんの国語おもしろ攻略 文法力がつく(ドラえもんの学習シリーズ)』(日能研 監修/藤子・F・不二雄プロ 監修)

特徴

  • ストーリー漫画で、文法を「基礎→応用」へ進める構成
  • 主語・述語・修飾語、品詞、かなづかい、敬語などを幅広く扱う

おすすめ理由

  • 「助詞=しるし」という感覚を、いちばん早く“体で理解”しやすいです
  • 「こんにちは」「では」みたいな **“音と文字のズレ”**も、文法の土台があると迷いにくくなります

② 初学者〜大人全般におすすめ(文章力も一緒に上がる)
『日本語練習帳(岩波新書)』(大野 晋)

特徴

  • 「どうすれば、よりよく読めて書けるか」を、練習問題を通して鍛えるタイプ
  • 単語の使い分けから入り、文の扱い方へ進む流れが示されています

おすすめ理由

  • 「は/が」など助詞の感覚も、“説明”ではなく“練習”で身につけたい人に向きます
  • 「こんにちわ」と書きたくなる“耳の感覚”と、標準表記の“ルール”を両立させる基礎体力がつきます

③ 全体におすすめ(由来・歴史で腑に落ちる)
『日本語の歴史(岩波新書)』(山口 仲美)

特徴

  • 現代の日本語がどう形づくられたかを、「話し言葉」と「書き言葉」のせめぎ合いから描く本
  • 漢字との出会い、日本語文の誕生、係り結び、江戸言葉、言文一致などのテーマが概説されています

おすすめ理由

  • 「今日は…」→「こんにちは」のような **“省略が定着して挨拶になる流れ”**が、歴史の見取り図の中で理解しやすいです
  • 「現代仮名遣い」など、表記が“整えられていく理由”も見えやすくなります

④ 中級者向け(学校文法にモヤる人へ)
『日本語のしくみがわかる本』(町田 健)

特徴

  • 教科書・参考書の文法説明を検証し、分かりにくさの原因を探りながら、筆者独自の視点も示す内容
  • 「日本語練習帳」などベストセラーの文法の扱いにも触れつつ議論する旨が、出版社情報として紹介されています

おすすめ理由

  • 「助詞って結局なに?」「“は”って何をしてるの?」を、一段深いレベルで言語化したい人に向きます
  • 「こんにちはの“は”は助詞」という話を、“説明の丸暗記”で終わらせず、文法の見え方から整理できます

どれから読む?(迷ったらこの順番)

  • 小学生/最短で感覚をつかむ → ドラえもん
  • 書く力も一緒に上げたい → 日本語練習帳
  • 由来を“歴史の流れ”で納得したい → 日本語の歴史
  • 文法そのものの見取り図を更新したい → 日本語のしくみがわかる本

13. 疑問が解決した物語

その日の夜。
昼休みに止まってしまった「こんにち…」の画面が、なんとなく頭に残っていて、私はブログ記事を最後まで読み切りました。
読み終わった瞬間、胸の中の“引っかかり”が、スッとほどける感じがしました。

(そうか。「こんにちは」の最後は“わ”じゃなくて、助詞の“は”なんだ)
(音は「わ」に聞こえても、文法のしるしだから「は」で残る――だから迷って当然だったんだ)

翌日の昼休み。
私は同じ席でスマホを開き、昨日と同じように取引先へのメールを書きます。
書き出しの「こんにち…」まで打ったところで、今度は親指が止まりませんでした。

「こんにちは。」
迷いなく確定して、続けて一文を足します。
「今日はお忙しいところ、ご対応いただきありがとうございました。」

送信ボタンを押したあと、見返してみても、もう不安は湧きません。
“正しい表記”が分かっただけじゃなくて、
「なぜそれが正しいのか」を自分の言葉で説明できるからです。

その夜、子どもが宿題のノートを持ってきました。
そこには元気よく「こんにちわ!」。

以前なら「違うよ」で終わらせていたかもしれません。
でも私は、怒らずに言いました。

「音は“わ”に聞こえるよね。
でもね、これは『今日は(きょうは)…』の“は”と同じ“しるし”なんだ。
だから書くときは『こんにちは』って“は”で書くんだよ。」

子どもは一瞬きょとんとして、次に目を丸くして笑いました。
「へえ! じゃあ『こんにちは』って、続きがあったんだ!」
そう言いながら、自分で「こんにちは」に直していました。

そこで私は、ひとつだけ“自分ルール”を決めました。
迷ったら、相手に見せる文章では「こんにちは」。
もし親しい相手に砕けた雰囲気を出したいなら、
表記で遊ぶより、言葉の続きで柔らかさを足す。
「こんにちは。今日はどう?」
――それなら、伝えたい空気も、礼儀も、どちらも守れるから。

小さな2文字が解けたら、
文章全体が少しだけ気持ちよく書けるようになりました。
“知っている”が“わかっている”に変わると、
言葉はこんなに頼もしいんだな、と。

あなたはどうですか?
次に「こんにちは」を書くとき、あなたなら
「正しさ」を優先しますか?
それとも「親しさ」を足したいですか?
その答えが、あなたの文章の“らしさ”を作っていくはずです。

14. 文章の締めとして

「こんにちは」の最後の一文字が、ただの“表記の決まり”ではなく、
昔の会話の入口――「今日は…」の名残だと思うと、
いつもの挨拶が少しだけ立体的に見えてきます。

耳で聞こえる音と、文字として残る形。
そのズレに戸惑った瞬間があったからこそ、
私たちは言葉を“なんとなく使う”ところから、
“理由を知って使う”ところへ一歩進めたのかもしれません。

明日、誰かに「こんにちは」と書くとき。
そこにはきっと、正しさだけじゃなく、
相手と気持ちよく繋がろうとする小さな気遣いも乗ります。

言葉は、知った分だけ固くなるのではなく、
知った分だけ、やさしくもできる。
そんなことを思い出せる記事になっていたら嬉しいです。

補足注意

この記事は、著者が個人で確認できる範囲の信頼できる資料をもとにまとめました。
ただし、言葉の歴史には諸説や解釈の幅があり、ここに書いた内容が唯一の正解というわけではありません。
今後の研究の進展や新資料の発見によって、説明が更新される可能性もあります。

🧭 本記事のスタンス
この記事は「これが唯一の正解」ではなく、「読者が興味を持って自分で調べるための入り口」として書いています。
さまざまな立場からの視点も、ぜひ大切にしてください。

このブログが“入口”になった今日『は』、本や一次資料で、昔の「今日は…」の続きを探しに行ってみてください。調べた分だけ、あなたの「こんにちは」は深くなります。

最後まで読んでいただき、

本当にありがとうございました。

それでは、今日『は』あなたにとって、よい一日になりますように。

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