クロの言葉
『オレの計画を成すためのコマにすぎない』──冷酷な言葉の奥に見えた、計画遂行の信念
リード文
静かな林の中、砕け散る木々の音とそのけたたましい音にも負けないほどに威圧されるような一言が放たれました。
漫画『ONE PIECE』第5巻、第36話「追え!!」に登場する、クロのこの言葉。
冷徹そのもののセリフでありながら、なぜか心の奥深くに残る、不思議な余韻を感じました。
今回は、この言葉の背景にある物語と、私が受け取った意味、そしてそこから考えたことをお伝えします。
読者の皆さんの視点にも、新たな気づきが生まれるかもしれません。
言葉が発せられるまでの経緯
舞台はシロップ村。
ルフィたちとウソップが、カヤを守るため、クロネコ海賊団と戦っています。
ウソップは、子どもたちにカヤを連れて逃げるよう指示します。
たまねぎ・ピーマン・にんじんがカヤと林を逃げるその最中、ジャンゴのにより四人は危険な状況に見舞われます。助けに行きたいウソップでしたが、眼の前には冷静かつ残酷な男・クロが控えています。
ウソップが「情はないのか」と問いただすと、クロは静かに、しかし断言するように
クロはこう答えるのです。
『無い』
漫画 ONE PIECE 第5巻 第36話 〝追え!!〟より引用
『言った筈だ カヤは オレの計画を成すための コマにすぎない』
『死んで初めて 感謝の一つもしよう・・・・・・』

その言葉を聴いて一層の焦りをつのらせたウソップは満身創痍の身体にも関わらず動き出します。
その状態を観察したクロの言葉が
『まだ 動けたのか 立派なもんだ』
漫画 ONE PIECE 第5巻 第36話 〝追え!!〟より引用
でした。
この言葉は、単なる悪の象徴では終わりませんでした。
言葉に出会ったときの感情や状況
はじめは「ひどい」「冷たい」としか思えませんでした。
しかし読み進めるうちに、ただの悪党として片付けられない強さや信念がにじみ出ていることに気づいたのです。
クロは3年間、自らの野望のためにクラハドールという偽りの名前で過ごし、自信にとっては耐え難い日々を生きてきたと語ります。
それでも、その計画の要として、カヤを“駒”と断じたその言葉は、あまりにも非情です。
しかしそこに垣間見えるのは、「結果を出すこと」への圧倒的な執念。
感情を削ぎ落とし、計画を完遂するという一点に自らを縛りつけていた姿でした。
言葉から考えたこと・学び
「感情を抜きにした判断力」──それは現実でも時に必要なものです。
クロの行動や発言は許されるものではありませんが、
計画を成功させるためには、無駄な情を断ち、全体を見通して行動する視点が必要になると気づかされました。
また、自分の手を汚してでも先陣を切るその姿は、ただ命令を下すリーダーとは違います。
「俺がやる」と自分がリスクを背負っている。その覚悟には、皮肉ながらも学ぶ部分があると感じました。
そして、敵であるウソップの行動を見て、
『まだ 動けたのか 立派なもんだ』
と評したクロの一言。
感情は切り離しつつも、事実に対する冷静な評価は、人間としての芯の強さすら感じさせます。
皮肉もも混じっていたのかもしれませんが・・・。
今回の言葉から教えてくれること
この言葉は、
目的を持って計画を立てたのならば、その目的を達成することを最優先に考えることの重要性
を教えてくれているのではないでしょうか。
優しさや共感が大切にされる現代においても、
結果を出すために時に感情を手放す決断が必要な場面があります。
その冷徹さと覚悟を、どう自分の生き方に取り入れるか。
クロの言葉は、そんな問いを私たちに投げかけています。
読者へのメッセージ
『コマにすぎない』──あなたはこの言葉をどう受け取りますか?
感情を無視して動く冷酷さなのか。
はたまた、どこまでも結果を求める覚悟の現れなのか。
立場や視点によって、言葉の意味は大きく変わって見えるものです。
ぜひ皆さんも、改めてこのセリフを読み返し、ご自身なりの解釈を深めてみてください。
気になった方は、
漫画 ONE PIECE 尾田栄一郎 ジャンプ・コミックス 集英社
第5巻 第36話 〝追え!!〟
ぜひご自身で原作を読んでみてください。
セリフの重みやキャラの背景が、もっと深く胸に刺さるはずです。
物語の中のたった一言でも、私たちの心を揺さぶり、人生のヒントをくれることがあります。
このブログが、そんな言葉との出会いの場になれたら嬉しいです。
また次回も、皆さんの心を刺激する「言葉」を紹介していきますね。
お楽しみに。
今回の言葉を英語で言うとしたら
📘 英訳:
“Nothing but a pawn to accomplish my plan.”
🔤 読み方・発音(カタカナ表記):
ナッスィング・バット・ア・ポーン・トゥ・アカンプリッシュ・マイ・プラン

📝 元の日本語:
「オレの計画を成すための コマにすぎない」
Nothing but ~:ナッスィング・バット
→「~にすぎない」「単なる~だ」という意味。強調の否定表現。
a pawn:ア・ポーン
→ チェスの「ポーン(兵)」=「使い捨ての駒」「利用される存在」。ここでは「手段」「道具」のニュアンス。
to accomplish:トゥ・アカンプリッシュ
→「成し遂げる」「達成する」など。目標に向かって何かをやり遂げること。
my plan:マイ・プラン
→「私の計画」
💡 訳の工夫ポイント:
✅ 直訳:
「私の計画を成し遂げるための、単なるポーン(駒)だ。」
✅ なぜ「Nothing but」で始めたのか?
原文の「~にすぎない」というニュアンスを最も強く、自然な英語で表現するには、 英語では “nothing but”(〜しかない/〜に過ぎない) が最適です。これによって、軽蔑や道具として扱っている響きが伝わりやすくなります。
🎯 他の英訳バリエーション(参考)
“Just a piece in my plan.”
→ よりソフトな言い回し。戦略の一部というニュアンス。
“Merely a pawn for my scheme.”
→ “scheme” を使うことで「悪だくみ」感が強調されます。
“You’re only a tool to carry out my goal.”
→ 直線的で冷酷さが強めの表現。
🗣️ 総評:
「Nothing but a pawn to accomplish my plan.」は、
原作のクロの冷静で計画的、かつ人を道具として扱う非情さを、英語でもよく表している翻訳ではないでしょうか。
発音もシンプルで印象に残りやすく、英語圏の読者にも意味が通じやすい構成になっていると思います。
機会があれば使ってみてください。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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