『別れはいつだって思いよりも先に来る。』一場面から生まれる深遠な感慨

小説

ーーー老婦人 恋愛寫眞 もうひとつの物語

瀬川誠人里中静流が亡くなった後で、

静流の個展で、静流が撮った

誠人自身が写った寫眞を前にして目を潤ませます。

この時の、この楽しさが

続くものだと信じていた

ことを思い出し、

終りがあることを

想像もしていなかったと。

そのように感じている誠人

かけられた、老婦人の言葉です。

心に響いたこと

物語の中で、

里中静流が亡くなった後、

瀬川誠人静流が撮った自身の写真を見て

涙ぐむ場面が描かれます。

その時、老婦人が口にした言葉が心に残りました。

別れはいつだって思いよりも先に来る。

小説 恋愛寫眞 もうひとつの物語 より引用

この一言には、

人生の奥深い哲学が

秘められているように感じられました。

幸せな瞬間や楽しい時間にいるとき、

別れのことなんて忘れてしまいますよね。

その瞬間が永遠に続いてほしいと切望し、

別れの存在を意識することは

あり得ない存在のように感じます。

ところが、別れは避けられない運命。

ドラマティックにやってくることもあれば、

静かに現れることもあります。

その瞬間に初めて、

別れの可能性は

常にいつでもあったのだと

思い知らされるのです。

愛する人との別れを考えることは

辛いことですが、

その時になって初めて、

別れが訪れることの深刻さを

感じるのかもしれません。

それまで忘れていた現実が

一気に迫ってくる瞬間です。

老婦人の言葉には、

彼女自身の

経験や知恵が込められているように思います。

それはきっと、

何度も別れを経験してきた

彼女ならではの見識なのでしょう。

さようなら、またいつかまた会いましょう。

小説 恋愛寫眞 もうひとつの物語 より引用

という老婦人の言葉には、

どれだけの想いが込められていたのか気になります。

この言葉に込められた思いは、

どのような境地から生まれたものなのでしょうか。

そして、

別れが先にあるならば、

逆説的に

先に思いを巡らせることで、

再び会えたという、感覚や感情がうまれ

また巡り会える、

という思いが生まれるということを

示唆してくれていたのでしょうか。

存在を忘れなければ、いつでもその人に逢える

そんな意味が込められているのかもしれません。

この一場面から浮かび上がる奥深い感慨に、

私は心を打たれました。

心に響く、感銘を受けた言葉でした。

考えたこと

別れはいつだって思いよりも先に来る。

小説 恋愛寫眞 もうひとつの物語 より引用

この言葉には、

人生の流れにおいて

切っても切り離せない真理が

秘められているように思えます。

私たちが

幸せな瞬間や楽しい瞬間を過ごしているとき、

別れや終わりを考えることは

稀かもしれません。

喜びに満ちた瞬間には、

未来の終焉など

遠い先のことに感じられるからでしょう。

しかしそれでも、

別れや終わりは避けられない現実です。

人生の舞台には、

喜びとともに別れの瞬間も訪れるのです。

この言葉は、

時の流れや人生の移ろいに対する忠告として

捉えることもできます。

終焉が一歩一歩近づいてくると、

過去の喜びや大切な瞬間が

いかに尊いものだったかを思い知らされるのです。

また、

この言葉には経験から生まれた深い洞察が

込められているようにも感じます。

別れや離別を経験することで、

その先にある思いが

より強くなるのかもしれません。

それまで当たり前だった瞬間の

尊さに気づくことで、

未来の別れに対しても

心の準備ができるのかもしれません。

別れが避けられないことを理解し、

それでもなお、

今を大切に生きることの大切さを教えてくれます。

人生の移ろいと別れを受け入れつつ、今を大切に生きる

そんな哲学を込めているように思います。

未来の不確かさを受け入れながらも、

大切な人との瞬間を全力で楽しむことが、

人生の豊かさを感じる方法なのかもしれません。

物語の流れ

里中静流瀬川誠人が好きで、

瀬川誠人富山みゆきが好きだった。

そのような関係が続く中、

静流誠人は分かればなれになってしまいます。

大学を卒業し2年、誠人のアパートに

静流からと思われる手紙が届きます。

今度ニューヨークで個展を開くから来てほしいと。

けれども

誠人はニューヨークで静流には逢えず

みゆきに事の顛末を聴きます。

そして静流の個展を観に行き

自身が写った寫眞をみて

涙をためます、

終りがあるなど思えなかった、と

感じていた時の、出来事を思い出し。

その時に老婦人が言った言葉

みんなそうよ、みんなそう

そうやってみんな生きていくのよ。

別れはいつだって思いよりも先に来る。

それでもみんな微笑みながら言うの。

さよなら、またいつか会いましょう。さよなら、またどこかで、って。

小説 恋愛寫眞 もうひとつの物語 より引用

でした。

悲しみを共感しつつ

前を向かせてくれる、

そんな言葉でした。

この物語を直接読みたい場合

恋愛寫眞 もうひとつの物語 市川拓司 小学館

を、是非読んでみて下さい。

映画のタイトルは

『ただ、君を愛してる HEAVENLY FOREST』

です。

皆様にはどの様な新しい響きがあるのか、楽しみです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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