マンションに4号室・4階がない理由は?数字の「4」を怖がる『テトラフォビア』と日本・アジアの忌み数のふしぎ

考える

数字の4が嫌われる本当の理由を、日本とアジアの文化・迷信・心理学からやさしく読み解くブログ

『テトラフォビア』とは?マンションに4号室がない理由数字の「4」が怖がられる本当のワケ

代表例

病院のエレベーターでフロア案内を見たら、
「3階の次が5階」になっていて、

「あれ? 4階どこ行った?」

と、不思議に思ったことはありませんか。

実際の構造では
1階 → 2階 → 3階 → 4階 → 5階 …(フロアはちゃんと存在)となっているのに(エレベーターや案内板から「4」を抜く)4階の表示だけない

マンションの部屋番号でも、
「304の次が305で、304号室だけない」
そんな、ちょっと変な並びを見かけることがあります。

30秒で分かる結論

東アジアでは、「4(し)」が「死(し)」と同じ音に近いため、縁起の悪い数字と考えられてきました。
この「4を避ける文化的な慣習・恐怖心」を、英語で
『テトラフォビア(Tetraphobia)』と呼びます。
その結果として、
マンションやホテルに「4号室」を作らない
エレベーターから「4階」を消す
といった”4抜き”の工夫がされている建物が存在します。

小学生にもスッキリわかるテトラフォビア

とても簡単に言うと、

「4(し)」という数字の読み方が「死(し)」と同じだからこわい

という考え方です。

日本語だけでなく、
中国語でも「四(スー)」と「死(スー)」がよく似た音なので、
中国・台湾・韓国など、漢字文化圏の国にも広く見られる考え方です。

「4の部屋はちょっとイヤだな…」
「入院するなら、できれば4号室と49号室は避けたい…」

そんな人が一定数いるので、
建物をつくる側も「トラブルを減らすために、最初から4を飛ばす」という選択をすることがあります。

このあとで、

  • もっと詳しい意味(定義)
  • 歴史的な背景
  • 脳と心のしくみ
  • 日常でどう付き合うか

まで深く見ていきますが、
まずは「あるある」から、あなたの体験とつなげていきましょう。

1. 今回の現象とは

「4号室がないのはどうして?」テトラフォビアあるある

キャッチフレーズ

「どうして4だけ飛ばされるの? テトラフォビア(4恐怖)ってなに?」

「あ、4だけない…」テトラフォビアあるある

こんな経験はありませんか?

  • マンションの郵便受けを見たら
    201/202/203/…/205 と並んでいて、「204」がない。
  • ビジネスホテルのエレベーターで
    3階→5階→6階… と表示されていて、「4階ボタン」がそもそも存在しない。
  • 病院で入院したとき、
    4号室・9号室・49号室は病棟に存在しないと言われた。
  • 新築マンションのチラシで、
    「404号室」が他の部屋より少し安い、あるいは最初から設定されていない。

こうした「4を避ける設計」は、
日本だけでなく、中国・韓国・台湾などの都市部でも見られます。

この記事を読み進めることで、

  • 「4号室がないのはなぜか?」が、文化的・心理的な面からスッキリ理解できる
  • 自分や家族が、数字に対して感じるモヤモヤの理由がわかり、
    不安やストレスを少し軽くできる
  • 「数字と文化の話」として、
    人と話すときの雑学ネタ・教養としても使える

ようになります。

次は、ちょっとした物語形式で、
あなたと同じ「不思議だな」という気持ちを味わってみましょう。

2. 疑問が浮かんだ物語

4号室の消えたマンション

小学生の高学年・ユウマさん。
近所の友だち・カナさんが、新しいマンションに引っ越してきました。

エレベーターに乗って、
カナさんが押したボタンは「5」。

ユウマさんはなんとなく、ボタンの並びを見ていて
ふと首をかしげます。

「あれ? 3の次が5になってる。
4階って、ないの?」

気になって、廊下の部屋番号も見てみると、

  • 501
  • 502
  • 503
  • 505…

やっぱり、504だけがありません。

「なんで4だけ、いじめられてるみたいに消えてるんだろう…?」
「4って、そんなに悪い数字なのかな…?」
「でも、テストで10点より40点のほうがうれしいし…変だな…」

モヤモヤした気持ちが、
胸の中でくるくる回り始めます。

カナさんのお母さんに聞いてみようか。
でも、「そんなことも知らないの?」と言われたらイヤだな…。

「どうして4号室だけないのか、ちゃんと理由を知りたい」
「この不思議なルールに、きっと名前がついているはず…」

ユウマさんの中で、
「4の謎を解きたい」という好奇心が、
だんだん大きくふくらんでいきました。

あなたにも、似たような「数字の不思議」を感じた経験はありませんか。
次の章で、ユウマさんの疑問にズバッと答えつつ、
だれでも分かる形で整理していきます。

3. すぐに分かる結論

お答えします。

マンションに4号室がなかったり、4階が飛ばされていることがあるのは、

『テトラフォビア(Tetraphobia)』

と呼ばれる「4という数字を嫌う文化・恐怖心」が背景にあるからです。

ざっくり一文で言うと

  • テトラフォビア = 数字の4を避けたり、怖がったりすること

です。

日本語では、

  • 「四(し)」と「死(し)」
  • 「九(く)」と「苦(く)」

のように、不吉な意味と同じ音の数字を「忌み数(いみすう)」と呼んで、昔から嫌う文化があります。

小学生にも伝わる言い方をすると…

「4」という数字そのものが危険なのではなく、
「4=死」というイメージがくっついてしまったことで、
こわく感じる人がいる、ということです。

  • 4を見た瞬間に「死」を連想してドキッとする
  • 大事な入試の日の受験番号が「4」だと、なんとなく縁起が悪いと感じる

こうした思い込みやイメージが積み重なった結果、
建物の設計や部屋番号の付け方にも影響している、というわけです。

ここまでで『テトラフォビア』ってそういうことか!と
ざっくりイメージはつかめたと思います。

3.5. Q&A/FAQ

ここまで読んで、

「じゃあ、うちのマンションの4階はどうなんだろう?」
「4号室を選んでもいいのかな?」
「本当に数字の4だけが特別なの?」

と、新しい疑問が浮かんできた方も多いと思います。

この章では、
テトラフォビア(数字の4を避ける文化・恐怖心)について、
よくある質問をQ&A形式でまとめてお答えします。

アコーディオン形式で整理していますので、

  • さっと答えだけ知りたいとき
  • 読んだ内容をもう一度確認したいとき

の**「理解のチェック&復習用コーナー」**として、
ぜひ気軽に使ってみてください。

テトラフォビアについてよくある疑問

Q1. 4階や4号室って、本当に存在しないんですか?

A.建物の「構造としての4階」は、ほとんどの場合ちゃんと存在します。
ただし、
エレベーターのボタン表示から「4」を抜く
部屋番号を「301・302・303・305…」のように付ける
など、“4という数字ラベルだけ”を意図的に避けているケースが多いです。
つまり、
「4番目の階」や「4番目の部屋」はあるけれど、
その階や部屋を“4”と呼ばない工夫をしている、というイメージです。

Q2. 日本では4と9、海外では13もよく聞きますが、何が違うんですか?

A.大きく分けると、こんな違いがあります。

日本・中国・韓国などの漢字文化圏
→ 4(し)=死(し)、9(く)=苦(く)など、
「音の似た言葉」の影響で避けられます。
欧米(キリスト教文化圏)
→ 13が「不吉な数字」とされ、
「最後の晩餐」「13日の金曜日」などの物語が背景にあります。

どちらも、「数字そのものが悪い」というより、
言葉の音や宗教的なストーリーがくっついた結果として嫌われている、と考えられます。

Q3. 4を気にするのって、変なことですか?

A.「変」とは言えません。

育った環境や家族の価値観によって、
まったく気にしない人
少し気になるけれど、そこまでこだわらない人
強い不安を感じて、どうしても避けたい人
まで、本当にさまざまです。
大事なのは、
「気にする人」を笑わない
「気にしない人」を責めない
というお互いへのリスペクトです。

Q4. マンションを契約するとき、4階や404号室は避けたほうがいいですか?

A.正解は「あなたがどう感じるか」と、「周りの価値観」で変わります。

自分や家族がすごく気にする → 可能なら避けたほうが安心
自分は気にしないけれど、将来の売却価格が気になる →
地域の慣習や不動産会社の意見も参考にすると良いです。
「絶対ダメな部屋」ではなく、 価格交渉や条件比較のときの“ひとつの要素”として考えるとバランスが取りやすくなります。

Q5. お見舞いやプレゼントで「4個入り」はNGですか?

A.相手の世代や価値観によりますが、
病院のお見舞い
結婚・新築祝い
などでは、4個入り・9個入りを避ける方が無難な場合が多いです。

迷ったら、
「念のため縁起のいい数にしておこうかな」
くらいの軽い気持ちで、
5個・6個・8個などを選ぶと安心です。

Q6. 数字を気にしすぎて疲れてしまいます。どう考えたらいいですか?

A.「絶対に気にしてはいけない」と自分を責めると、
かえって不安が強くなることもあります。

おすすめの考え方は、
「怖く感じてしまうのは、文化と心のクセのせい」と知識で理解する
「4は怖い数字」ではなく
「4を見るとちょっとドキッとしやすい自分がいる」と、一歩引いて眺める
「それでも大丈夫な自分」を少しずつ増やしていく
という少し長い目のスタンスです。
不安が強くて生活に支障が出る場合は、
無理せず専門家(心療内科・カウンセラー等)に相談するのも立派な選択です。

Q7. 科学的に見て、「4の日」や「4号室」は本当に危ないんですか?

A.医学や統計の研究では、
「4だから必ず悪いことが起きる」という
直接的な証拠は見つかっていません。

一部の研究で、
アジア系アメリカ人の心臓発作による死亡率が、
毎月4日にやや高くなる
というデータが報告されたことはありますが、
その原因や解釈については議論もあり、
「4という数字そのものが危険」とまでは言えない
というのが、現在の妥当な見方です。
「4だから悪い」のではなく、
「4で不安になる」 → ストレスが増える → 健康に影響する
という“心の反応”のほうが、現実的な影響が大きいと考えられます。

Q8. もっと深く学びたいときは、どこから始めるのがいいですか?

A.このブログで紹介した3冊は、どれもおすすめです。

迷信の全体像を知りたい → 『迷信の心理学』
恐怖や不安のメカニズムを知りたい → 『恐怖と不安の心理学』
「人はなぜ信じやすいのか?」を知りたい → 『人間この信じやすきもの』
まずは、一番「おもしろそう」と感じた1冊からで大丈夫です。
本を読んでからこの記事を読み返すと、
テトラフォビアの見え方がさらに深くなるはずです。

次の章では、

  • テトラフォビアという言葉の意味
  • どんな国で、どんな場面に見られるのか

を、もう少しじっくり深掘りしていきましょう。

4. 『テトラフォビア』とは?

定義

『テトラフォビア(Tetraphobia)』とは、

「4という数字を怖がったり、避けたりする傾向」のこと

を指す言葉です。

  • 語源はギリシャ語で
    • tetra(テトラ)=4
    • phobos(フォボス)=恐怖
      を合わせたものです。
  • 主に 中国、日本、韓国、台湾などの漢字文化圏 で見られる現象です。

「病名」ではなく、文化的な傾向

ここが大事なポイントですが、
テトラフォビアは、医療の世界で使う正式な病名ではありません。

  • アメリカ精神医学会の診断マニュアル(DSM-5)などには、
    「Tetraphobia」という病名の項目は載っていません。
  • そのため、文化を説明するための言葉として使われることが多く、
    医師が診断書に書くような「病名」とは少し性格が違います。

とはいえ、人によっては、

  • 4を見ただけで動悸がしたり
  • エレベーターで4のボタンに触れられない

というレベルで強い不安を感じる場合もあり、
その意味では「特定の数字に対する恐怖」が、
一般的な「恐怖症」の症状と似ているケースもあります。

よく見られる具体例

  • 建物の階数で「4階」「14階」などを飛ばす
  • 部屋番号・病室番号から4や9を除く
  • 不動産価格が、4を含む号室だけ微妙に安くなる
  • 車のナンバーで「4」や「49」「94」を避ける

ここまでで、『テトラフォビア』
「文化と心理が合わさった現象」であることが見えてきました。

次の章では、なぜこんなにも強く意識されるのか
背景と重要性を見ていきます。

5. なぜ注目されるのか?

背景・重要性

漢字文化圏と「言霊(ことだま)」の考え方

日本や中国では、
「言葉には力がある」=言霊(ことだま)
という考え方が古くから大切にされてきました。

  • 「死」を連想させる言葉は避ける
  • お祝いの席では、縁起の悪い表現をなるべく使わない

といった習慣があり、
そこに「四=死」という音の重なりが乗って、
数字の4が「忌み数」として特別扱いされるようになりました。

中国や韓国でも、同じように「4の音が死に近い」という理由から、
マンションや電話番号などで避けられることがあります。

グローバルビジネスへの影響

テトラフォビアは、
ビジネスの世界でも無視できない要素になっています。

  • 中国人・台湾人の顧客が多いマンションでは、
    4のつく部屋を安くしたり、そもそも作らなかったりする。
  • バンクーバーなど一部の都市では、
    消防や救急の混乱を防ぐために、4や13を飛ばす階数表示を禁止するルールが導入された例もあります。

数字のつけ方ひとつが、

  • 物件の売れ行き
  • 顧客の満足度
  • 安全対策

にまで影響してしまうため、
不動産・建設・観光業界では、
テトラフォビアを意識した設計が現実の課題になっています。

脳と心のしくみ:なぜ「4」がこわく感じられるのか?

恐怖や不安に関わる脳の中枢として、
**扁桃体(へんとうたい)**という部分がよく知られています。

恐怖症の人が、たとえばクモなどの「恐怖の対象」を見たとき、

  • 扁桃体
  • 前部帯状皮質(ぜんぶたいじょうひしつ)
  • 島皮質(とうひしつ )

といった領域が強く活動することが、
複数の脳画像研究(fMRI)で報告されています

『テトラフォビア』の場合、

  • 数字の4を見る
  • 「死」を連想する
  • 不安や緊張が高まる

という流れが、
くり返し経験されることで 「4=こわい」という回路が強化されていくと考えられます。

もちろん、
全員が「4を見ただけで扁桃体が暴走する」というレベルではありませんが、

「学校や家族から『4は縁起が悪い』と聞いて育つ」
→ 「なんとなく4を避ける」
→ 「避けるほど“悪い数字”だと感じやすくなる」

という学習のサイクルが、
脳の中の恐怖ネットワークを少しずつ形作っていく、とイメージすると分かりやすいです。

文化のレベルから脳のレベルまで、
テトラフォビアにはいろいろな「層」がありましたね。

次は、私たちの生活の中でどう役立てるかという視点で見ていきましょう。

6. 実生活への応用例

数字とうまく付き合うヒント集

テトラフォビアは「迷信」として片づけられがちですが、
うまく使えば、心の整理やコミュニケーションのきっかけにもなります。

① 自分や家族の「なんとなくイヤ」を言葉にする

たとえば、

  • 「4の部屋番号だと落ち着かない」
  • 「プレゼントに4個入りは避けたい」

という感覚があるなら、

「自分は、こういう理由で4を避けたいと思っている」

とあえて言葉にしてみると、
ただのモヤモヤだった不安が、“自分の価値観”として整理されていきます。

② 相手を思いやるマナーとして使う

ビジネスやお見舞いの場面では、

  • 入院患者さんへのお見舞いに「4個入りのお菓子」を避ける
  • 中国人のゲストを招くホテルで、できれば4号室をアサインしない

など、「相手の文化への配慮」としての使い方もできます。

③ “考えすぎ”にならないためのバランス感覚

一方で、

  • 4を極端に怖がるあまり、生活が制限されてしまう
  • 4に関係する数字を徹底的に排除しないと落ち着けない

という状態になると、
本人も周囲もとても大変です。

その場合は、

  • 「数字そのものが危険なわけではない」という事実を確認する
  • 不安が強いときは、認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)など、
    一般的な恐怖症の治療法が役立つ場合もある

といった現実的な対処も検討してよいでしょう。
(ただし、ここでは一般論にとどめます。具体的な治療は専門家への相談が必要です)

『テトラフォビア』を「ちょっとした数字のマナー」として見るか、
「自分を苦しめる思い込み」として見るかで、
日常の感じ方は大きく変わります。

次の章では、
誤解されやすいポイントと注意点を整理していきます。

7. 注意点と誤解されがちな点

「信じない人」を責める必要はない

  • 「4なんて全然気にしない」という人
  • 「非科学的な迷信は信じない」という人

も、当然います。

テトラフォビアは、あくまで文化的な傾向であって、
信じる・信じないは個人の自由です。

「4を気にするなんておかしい」
「4を気にしないあなたはデリカシーがない」

といった、お互いの価値観を否定する態度は、
人間関係を悪くしてしまいます。

「科学的に証明された“死の数字”」ではない

医学・統計の世界では、
「4だから必ず悪いことが起こる」という科学的な証拠は見つかっていません。

アジア系アメリカ人の心臓発作による死亡率が、
毎月4日にやや高くなるという有名な研究(いわゆる「バスカヴィル効果」)がありますが、
その解釈については、後続の研究者たちの間で議論もあります。

つまり、

「4はこわい」と感じる人が多い → ストレスや不安が増える
→ それが健康に影響する可能性はあるが、
「4という数字そのものが呪われている」というわけではない

という整理が、現在のところ妥当だと考えられます。

誤解しないためのチェックポイント

  • 4を怖がる気持ちは、「文化+個人の経験」によって生まれる
  • 数字そのものに超自然的な力があると考える必要はない
  • 不安が強くて生活に支障が出るときは、
    「迷信」ではなく「心のケア」の問題として扱う視点も大切

ここまでで、
テトラフォビアを「正しく怖がる」ための土台ができました。

次は、ちょっと気分を変えて、
西洋の“忌み数”トリスカイデカフォビアの話を、おまけとしてのぞいてみましょう。

8. おまけコラム

13がこわい『トリスカイデカフォビア』

日本や中国で『4』が嫌われるのに対して、
欧米では『13』という数字」を怖がる『トリスカイデカフォビア
(Triskaidekaphobia)』が有名です。

  • 語源はギリシャ語で
    • tris(トリス)=3
    • deka(デカ)=10
    • phobos(フォボス)=恐怖

つまり「3+10=13への恐怖」という意味です。

13が嫌われる代表的な理由

諸説ありますが、よく挙げられるのは、

  • キリスト教の「最後の晩餐」に13人がいた、という象徴的なイメージ
  • タロットカードで「13番」が死をテーマにしたカードであること
  • 「Friday the 13th(13日の金曜日)」が不吉な日とされる文化

などです。

その結果として、

  • ホテルやビルに「13階」が存在しない
  • 飛行機に「13番列」がない

といった、4のときと似たような現象も生まれています。

「4が怖い文化」「13が怖い文化」を見比べると、

「数字そのもの」ではなく、「その数字にくっついたストーリー」が
怖さの正体なのかもしれない

ということが見えてきます。

次の章では、
ここまでの内容をいったんまとめ、
「あなたなら、この現象をどう活かすか?」という視点で考えてみましょう。

9. まとめ・考察

数字の“怖さ”をどう受けとめるか

ここまでのポイントを、簡単に整理します。

  • テトラフォビア』は、
    「4という数字を、死などと結びつけて怖がる・避ける傾向」のこと。
  • 主に日本・中国・韓国・台湾などの漢字文化圏で見られ、
    建物の階数や部屋番号に影響している。
  • 背景には、「四=死」という音の重なりや、
    言霊の考え方、迷信の心理学的メカニズムが関わっている。
  • 数字そのものが「科学的に呪われている」わけではなく、
    文化+脳の学習の結果として、「4が怖く感じられる」場合がある。

私なりの高尚な(?)考察

  • 数字に意味を込めることは、
    本来、人間ならではの豊かな象徴文化の一部だと思います。
  • しかし、その意味づけが強くなりすぎると、
    自分を縛る鎖にもなりかねません。

「ほどよく信じて、ほどよく距離をとる」

このバランス感覚こそ、
テトラフォビアと付き合ううえでの、一番のポイントかもしれません。

ちょっとユニークな視点

  • あえて「4」のつく部屋に住んで、
    「ここで幸せに暮らせたら、4のイメージを自分で塗り替えられる」と考える人もいるかもしれません。
  • 数字の不吉さに敏感だからこそ、
    「じゃあ、どうやって自分の心を落ち着かせようか?」と工夫できる、
    心のトレーニング材料として使うこともできます。

あなたなら、この「4の怖さ」を、
どんなふうに日常生活で活かしてみたいですか?

――ここから先は、あなたの興味に合わせて応用編へ。
テトラフォビアという言葉をきっかけに、
数字と迷信についての語彙を増やし、
「自分の言葉」で語れるようになっていきましょう。

10. 応用編

自分の言葉で「今回の現象」を語れるようになる

ここでは、『テトラフォビア』をきっかけに、

  • 忌み数(いみすう)
  • 迷信(めいしん)
  • 恐怖症(きょうふしょう)

といった関連用語を、
「日常会話で使える言葉」に落とし込んでみます。

用語をやさしく言いかえる

  • 忌み数(いみすう)
    → 「避けられがちな数字」「縁起が悪いとされる数字」
  • 迷信
    → 「昔からなんとなく信じられている考え」「はっきりした証拠はないけれど、皆が気にしてしまう考え方」
  • 恐怖症(フォビア / phobia)
    → 「ある特定のものに対して、強い恐怖や不安を感じる状態」

自分の経験に当てはめてみる

  • 「うちの地域では、○○という数字が嫌われている」
  • 「祖父母がいつも、こういう言葉を避けていた」

こうした身近なエピソードと結びつけて考えると、
単なる用語暗記ではなく、
「自分の文化史」を言葉にする作業になっていきます。

応用編のしめくくりとして、
さらに深く学びたい人向けに、
書籍を紹介します。

11.さらに学びたい人へ

迷信・恐怖をもっと深く知りたい人のための3冊

どれも、迷信や恐怖・不安、そして「人はなぜ数字やジンクスを信じてしまうのか?」を理解するのに、とても役立つ本たちです。

① 『迷信の心理学』
G.ヤホダ(Gustav Jahoda)著/塚本利明・秋山庵然 訳

この本の特徴
「迷信」を単なるバカげたものとして切り捨てず、
人間の“宇宙観”や世界の見方の一部として位置づけている点が深いです。
民族誌的な視点も入り、文化による違いにも触れてくれます。

こんな人におすすめ
テトラフォビアのような「数字の迷信」を、
「心理学全体の中でどう位置づけられるのか」知りたい人
ちょっと専門寄りでもいいから、しっかりした本で学びたい大人の方

『恐怖と不安の心理学』
フランク・ファランダ 著/清水寛之・井上智義 監修/松矢英晶 訳

この本の特徴
図やイラストが多めで、「科学雑誌ニュートン」らしいビジュアルな解説になっています。
専門用語は出てきますが、ほとんどが丁寧に説明されていて、
心理学の専門書よりもずっと読みやすい構成です。

こんな人におすすめ
「テトラフォビアみたいな“怖い気持ち”って、脳や心のしくみとしてどう起こるの?」
 と、感情のメカニズムをしっかり理解したい人
迷信だけでなく、日常の不安や恐怖との付き合い方にも興味がある人

③ 『人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか』
トーマス・ギロビッチ(Thomas Gilovich)著/守一雄・守秀子 訳

この本の特徴
かなり本格的な内容で、ページ数も多いですが、
実験のエピソードが豊富で「読み物」としても面白いです。
「テトラフォビア」のような“数字の迷信”に限らず、
占い、噂話、陰謀論など、あらゆる“信じやすさ”の裏側を知ることができます。

こんな人におすすめ
「人間の“信じる”という行為そのものを、ガッツリ深堀りしたい」
 という中級〜上級者向け
読み応えのある心理学書を、一冊じっくり読み込んでみたい社会人・大学生の方

以上の3冊はどれも、
テトラフォビア(4恐怖)をきっかけに、「迷信と人間心理」をもっと深く理解したい人に、とても心強い味方になってくれます。

気になった一冊からで構いません。
本や実際の生活の中の「数字の扱われ方」に目を向けていくと、
今回の記事で扱った「4」の話が、
きっとさらに立体的に見えてくるはずです。

12. 疑問が解決した物語

──「4号室がない理由」を知った日

ユウマさんは、あの日からずっと
「どうして4階だけないんだろう…」と気になっていました。

家に帰ってから、タブレットで
「4階 ない 理由」と検索してみます。

すると、

「テトラフォビアとは?
マンションに4号室がない理由を解説」

という記事が目に入ります。

読み進めると、

  • 「四(し)」と「死(し)」の音が同じで縁起が悪いと感じる人がいること
  • その不安を減らすために、4階や4号室をあえて飛ばすことがあること

が、ていねいに説明されていました。

「やっぱり、ちゃんと理由があったんだ」
「4が悪いんじゃなくて、“そう感じる心”があるだけなんだ」

ユウマさんの胸のモヤモヤは、少しスッと軽くなりました。

数日後、またカナさんのマンションに遊びに行ったとき。

エレベーターの中で、
ユウマさんは思い切って話します。

「この前の4階がない理由、調べてみたよ。
 “テトラフォビア”って言ってね。
 4(し)が“死(し)”と同じ音だから、
 怖いって感じる人がいるんだって」

カナさんは、ボタンを見ながら言います。

「なるほどね…。
 安心できる人がいるなら、
 4を飛ばすのも優しさなのかもしれないね」

それからユウマさんは、4という数字を見ても、

「これは、怖い数字じゃなくて、
人の気持ちが映った数字なんだ」

と考えられるようになりました。

どうしても気になるときは、

  • 自分にとって前向きな意味をつけ直す
  • 不安なら、理由を話して相談してみる

そんな「選べる対応」があることも分かりました。

不思議だな、と感じたことを調べて、
自分なりの考え方にしていくことは、
いろいろな「怖さ」と付き合う力にもつながります。

あなたなら、
4という数字と、どんなふうに付き合っていきたいですか?
心の中で、あなた自身の答えをそっと描いてみてください。

13.文章の締めとして

ここまで読み進めてくださったあなたは、
「4号室がない」という、たったひとつの小さな不思議から、

数字の文化
人の心のクセ
そして、自分の感じ方との向き合い方

まで、ぐるっと一周してきたことになります。

最初は、「なんで4だけ飛ばされているんだろう?」という
ちいさな違和感だったかもしれません。

けれど、その違和感を放っておかずに、
「理由を知りたい」とここまで読み進めた時点で、
あなたはもう、“ただ怖がるだけの自分”から
一歩外側に出ているのだと思います。

数字の4に限らず、
私たちの周りには「なんとなく怖い」「なんとなく縁起が悪い」と
ラベルを貼られたものが、いくつもあります。

でも、その裏側には、
誰かの不安をやわらげたかったり、
誰かの心を守りたかったりする、
静かな願いが隠れていることもあります。

このブログ記事が、
「怖さ」や「不吉さ」をただ信じるのでも、
全部を笑い飛ばしてしまうのでもなく、

そっとほどいて、自分の言葉で受け止め直すための
小さな“よりどころ”

になれていたら、とてもうれしいです。

注意補足

ここで紹介した内容は、
信頼できる辞書・論文・解説記事・書籍などをもとにした、
筆者が個人で調べられる範囲での整理です。

テトラフォビアや数字にまつわる迷信については、
文化や地域、研究者の立場によってさまざまな解釈があります。
迷信・恐怖・脳科学の研究は今も進んでおり、
今後の研究によって、
新しい発見や、解釈の修正が起こる可能性も十分にあります。

🧭 本記事のスタンスとしては、

「これが唯一の正解です」と言い切ることではなく、
「あなた自身が興味を持って調べたり、考えたりするための入口を示すこと」
を目指しています。

このテトラフォビアの話が少しでも心に“4(し)”みこんだなら、
どうかここで終わらせず、文献や資料の世界へ一歩踏み出して、
「恐れ」ではなく「知(4)」を重ねながら、あなただけの深い理解を育ててみてください。

最後までお付き合いいただき、

本当にありがとうございました。

あなたのこれからの毎日が、テトラフォビアではなく「幸せを4倍(テトラ)に感じられる日々」になりますように。

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