ねじを まわしてみたけれど、オルゴールの おとは もう ならなかった。

絵本

ーーーくじゃくしんし

身だしなみも整って旨を張って歩く、家の中もきれいに掃除をしているくじゃくしんし。骨董市で見つけたお気に入りはバレリーナの人形が踊るオルゴール。何度も通い詰めて譲ってもらったオルゴール。満月の日には開かないと約束したのですが、満月に気付かずにネジを回してしまった孔雀紳士。

約束を守れなかった事で残った物は、音が鳴らなくなってしまい箱だけとなったオルゴール。 

それでも、絵本に描かれた孔雀紳士の表情や目からは、満足そうにしていると感じられました。

その後に続く、音はもう鳴らなかったという言葉も、孔雀紳士の切なさや、約束を守らなかったことへの罰としての意味合いではなく、オルゴールとしての役目を終えた後の箱が有るという事実のみを説明しているだけに過ぎないと感じられるほどに、孔雀紳士の眼差しは潔く、また孔雀紳士の生き方は後悔をしていない、自分の心に自分の気持に寄り添った生き方をしたと、考えているであろうと読み取れた場面でした。

勿論、骨董市で出会った店主のおばあさんとの約束を破ったことはいけないことですが。

それでも孔雀紳士は、骨董市で見つけたお気に入りのオルゴールが約束を守らなかったことで、音のならくなってしまった、踊るバレリーナがいなくなってしまったオルゴールになってしまった事に対する感情は、今まで自分オルゴルーを手にした事で感じられた事、経験できた事を反芻し満足している達観しているようにも感じられました。

確かにオルゴールのバレリーナが月の光の中に消えてしまった事で、オルゴールとしての機能は無くなってしまい箱だけの物体となってしまいましたが、しかし孔雀紳士は自分の喜ぶことが分かっている、自分が必要なことはどのような事なのかを知っている、自分という事を理解しているからこそ、今自分が行動したいことに事に向き合えるのですね。

今回のように、今オルゴールの能力を最大限に引き出し自分を楽しませることが出来たことへの対価が、今後オルゴールとしての機能が使えなる事だったとしても、孔雀紳士は今までのようにオルゴールが動く状態であり続けるよりも、今回満月の日にオルゴールを開くことによりバレリーナと孔雀紳士本人が踊れた事が、自分にとってはより価値があるとじ考えられ、オルゴールを失うという後悔よりも、今の充実感大切に出来たことに対する喜びを感じているのではないでしょうか。

いっときの感情をのみを優先し、その感情に溺れたのではなく、未来も踏まえて一番自分が喜ぶ方法を秤にかけ行動できる、そんな孔雀紳士なのではないかと感じられた心に響いた感銘を受けた言葉でした。

最後まで孔雀紳士の目が自信に満ち溢れていたので、この様な解釈になりましたが、最後の孔雀紳士の言葉は、「今日は満月だった」と言っているので、後悔はしていたのかも知れないと考えることもできるのですが。

それ以上に、自分のことをよく知っている孔雀紳士のように、私も自分の喜ぶことを。自分が本当にしたい事を明確にしたい、見習わなければという思いが募る考えを考察としました。

その様な生き方をしているのは、ピカピカの靴にパリッとした服で胸を張り歩く、いつもおしゃれお洒落な孔雀紳士。

美しい物、珍しいものが大好き、毎日うっとり眺めている。食事も掃除も買い物の時も優雅な動き。

土曜日はお楽しみの日、骨董市が開かれるから。

今回の骨董市では、素敵なオルゴールを発見します、人目で虜になった孔雀紳士。

しかし、素敵なオルゴールは売り物ではないと言われてガッカリする孔雀紳士。

けれども自分の心を知っている、気持ちに正直な孔雀紳士はオルゴールを諦められません、毎日お店に通い懇願します。

どのようなことに時間を使うのが自分にとって有益なのかが、分かっているのも自分の喜ばせ方が分かっている証拠ですよね。

その意気込みに、店主のおばあさんはオルゴールを譲ることにしてくれます、1つの約束を守ることを条件に。

その条件は、満月の日にオルゴールを開いてはいけない、との事でした。

勿論守ると約束した孔雀紳士。

やっとの思い出素敵なオルゴールを手にした孔雀紳士、良い気分の孔雀紳士。毎日バレリーナに会えるとご満悦。

毎日毎日ご機嫌に過ごす孔雀紳士、今日もお気に入りのオルゴールのネジを回すと

「ああ! きょうは まんげつだった」と孔雀紳士その後にテーブルの上のオルゴールは

ねじを まわしたけれど、

オルゴールの おとは もう ならなかった。

絵本 くじゃくしんしとオルゴール より引用

のでした。

音もならず、バレリーナもいなくなってしまったオルゴールに対して、孔雀紳士は満足感を得られたのでしょうか、それとも約束を守れなかったことへの後悔と、お気に入りのオルゴールを失ってしまった事への喪失感が渦巻いているのでしょうか?

元のオルゴールの持ち主の店主は、どの様な意味で満月の夜にオルゴールを開かないように約束させたのでしょうか?

オルゴールが使えなくなることに対しての警告として伝えたのでしょうか?それとも約束を守らなかった罰として、バレリーナは飛んでいくように細工を施したのでしょうか?

皆様はどのように考えでしょうか?孔雀紳士とオルゴールを巡る話を直接読みたい場合は

くじゃくしんしとオルゴール 伊藤夏紀

こどものとも年中向き 2022年9月号 通巻438号 福音館書店

を是非読んでみてください。

皆様にはどの様な新しい響きがあるのか楽しみです。

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