ーーーおみつさん おくさん
イノシシのひこざさんは食いしん坊ですが、菜の花の蕾を食べようとしません。菜の花の綺麗な花が咲いたらお花見がしたいと考えていたのです。しかし、ある日ついに一口食べてしまいます、するとその美味しさにお花見の為に我慢していた蕾も摘んでしまいました。肩を落とすひこざさんですが、おくさんのおみつさんはお弁当を作り二頭で仲良くいいところのに出かけていきました。
そんな仲良しなふたり(2頭)のイノシシ夫婦の物語です。
おくさんのおみつさんが、内緒の良い所と言いながらふたりは出かけて行き、素敵な花見を堪能します。ひこざさんの楽しみにしていた、お花見も、おみつさんが好きな食事も、両方共にふたりで一緒に楽しめます。
ないしょ、と言うことで、ひこざさんに驚きもサプライズ、そしておみつさんも好きな菜の花を食べられる。
勿論食いしん坊のひこざさんも、菜の花の料理に大喜び、おみつさんも菜の花をみてにっこりです。
こんなにもお互いが楽しく幸せになれる、内緒の場所を相手を喜ばせようと調べてき、事前に言わないで内緒にしておけるなんてとても素晴らしい考えの持ち主ですね。
相手が喜ぶだろうと行動していること自体も楽しいですし、その行動の結果相手が喜んでくれれば嬉しいなと思えることも楽しい時間ですよね。
相手を思いやれる時間が、自分にとっても幸せに思える時間なのかもしれませんね。
そのような素敵な行動ができるおみつさんが、一緒にいたいと考えられるような存在の、ひこざさんも素敵なイノシシなのでしょうね。
ところでおみつさんはどの段階で、秘密の場所が必要になると感じていたのでしょうか?
食いしん坊のひこざさんが、菜の花の蕾を我慢している姿を見ていつかは我慢できなくなって食べてしまうであろうと、今までの経験から早い段階から予想していたのでしょうか?
それとも、春になり蕾が開いて綺麗な花が見られることを、楽しみにしていつつも、食いしん坊であるひこざさんが我慢している姿が忍びなくなり。
我慢を続けなくても平気なように、内緒の場所を探しておき、内緒の場所に招待できる準備が整い次第、お花見できる場所が他にも有る事をひこざさんに伝えて、遠慮せずに美味しい菜の花料理を食べてもらえるようにと、準備をすすめておいたのでしょうか?
それとも、おみつさんが自分だけ美味しい菜の花料理を食べているのが申し訳ないと感じており。
菜の花を使った美味しい料理をひこざさんにも食べてほしくて、美味くできあがった料理をひこざさんに幾度もなく勧めることで、ついに一口食べた後にひこざさんが、「春の大ごちそうだ」と言った言葉と態度から、次の日にはひこざさんが、菜の花のお花見をするために残しておくべきの、蕾の事も忘れてしまい、大量に菜の花の蕾を摘んでしまうことを予想して、秘密の場所を即座に探したのでしょうか?
それとも、ひこざさんとおみつさんのやり取りは毎度のことで、今回も秘密の場所が必要になると分かっており、お花見のできる場所をすでに用意していたのでしょうか?
どの様な筋道であろうとも、どの様な状況でも一切慌てることのないおみつさん、自分のやりたいと願った事に良くも悪くも夢中になれるひこざさん、お互いの良いところを見習いたいです。
そして物語の間中ずっとお互いの事を、お互いの考えを尊重しあい、お互いを大切にして生活している姿には、これが夫婦の有るべき姿ではないかとも考えさせられました。
こんなにも長くの間、自分の意見を活かしつつ相手の主張も生かした生活は、自分には出来ないのではないか恥じいってしまう、心に響いた感銘を受けた言葉でした。
少しの間ならば相手も立てて自分も立てる行動は取れるのですが、自分と相対する主張が出てしまうと、気になってしまい、こちらの意見をぶつけてしまう事が多々ある自分にはできない、懐の深さをふたりからかんじられました。
相手が悲しんでいる時に、ないしょないしょのいい場所を、提供できる存在でありたいなと、そのような存在になれるように精進したいと思います。
そんな素敵な家族のふたり(2頭)のお話は、
まだ冷たい風が吹く日、ひこざさんが首をすくめながら、暖かくなったら菜の花も咲くと言っていた所に、奥さんのおみつさんは、もう蕾はふくらんでいるから春はきていますよ、と言いつつ蕾を摘みます。
その姿に驚いたひこざさんは止めようとしますが、ごちそうだと言いつつ手を止めないおみつさん。
その菜の花でおひたしを作り美味しそうな音を立てて食べるおみつさん、ひこざさんは気になりながらも蕾を食べることはしませんでした。
それは菜の花でお花見がしたかったからでした。
そこでひこざさんは、お互いの主張を対立させないためにも、菜の花を食べる用とお花見用に半分に分けました。
お互いの気持ちをきちんと理解でき、対立しないように行動できる、ひこざさんと。
どちらが正しいと争うのではなく、それぞれの考えている事が実現できるように最大限の譲歩をできる関係性が出来ている二人が素敵だと感じられました。
その後も、美味しそうに見える菜の花を前にぐっと堪えるひこざさんと、菜の花の美味しい料理を紹介するおみつさん。
その美味しそうな料理とおみつさんの優しい声かけでついにひこざさんも一口料理を堪能します。
お互いに嬉しくなった夫婦は明日も菜の花料理にすることになりますが、我慢していた時間が長かったせいか、おみつさんの作った菜の花料理が美味しすぎたせいか、ひこざさんは大量に菜の花を摘んできてしまいお花見する分がなくなってしまいました。
肩を落としたひこざさんですが、おみつさんは、大量の菜の花を楽しそうに料理し、お弁当にして、おでかけしましょとひこざさんにいいます、そして出かける場所をひこざさんに問われたおみつさんが楽しそうに言った言葉は
ないしょ ないしょの いいところ
絵本 ひこざさんと なのはな より引用
でした。
食べることも花見をすることも、両方どりを叶えられる場所、叶えられる素敵な二人が微笑ましくなる場面でした。
お互いの行動を認めあっているからこそ、お互いの違った行動をしつつも、相手の行動を見守り続ける事ができるのでしょうね。
そして、最後は臨機応変な行動で全てを円満に過ごせる、不敵な関係ですね。
この様な関係の夫婦の行動を直接読みたい場合は
ひこざさんと なのはな 作 木村晃彦
こどものとも年中向き 2019年3月号 通巻396号 福音館書店
を是非読んでみたください。
皆様にはどの様な新しい響きがあるのか楽しみです。
コメント