プールで急にトイレに行きたくなるのはなぜ?——『過活動膀胱』と水圧・冷えによる生理的利尿を解説
イマージョン・ダイウレシス(Immersion Diuresis/水中利尿)は、水圧や冷えで血液が体の中心に集まり、尿意が高まる仕組みを生み出す生理現象
市民プールで子どもの水慣れを見守っていたら、肩まで水に浸かった瞬間に「あ、トイレ行きたい…」。さっき行ったばかりなのに、どうして?
3秒で分かる結論
- 多くは正常反応:水の圧と冷えで体の中心に血液が集まり、利尿が進む=トイレが近くなる現象です。
- ただし要注意:我慢できない強い尿意が繰り返す/漏れるなどが日常でも続くなら、過活動膀胱(OAB)の可能性があり受診推奨です。
今回の現象とは?
こんな“あるある”、ありませんか?
- 肩まで入ると急に尿意。とくに冷たい水で強く感じる。
- ウォータースライダーの待ち列で冷え、いざ水に入るともう行きたい。
- 海や川など水温が低い場所ほど、最初の5〜10分でトイレに行きたくなる。
- シャワー後は平気なのに、プールで泳ぎ始めると急に近くなる。

この記事を読むメリット
- 結論がすぐ分かる(生理的な“水中・冷え利尿” vs 過活動膀胱)。
- 受診の目安やセルフケアが明確になる。
- 日常の工夫(入水前の行動・冷え対策・水分の摂り方)が分かる。
疑問が浮かんだ物語
家族で温泉ホテルの屋内プール。軽く体を温めてから入ったはずなのに、胸の奥がスッと軽くなった気がした瞬間、「あ、トイレ…」。
「さっき行ったのに、なんで?」——水の圧が体を包む感じ、ひんやりが肌に響く感じ。中心に血が集まるような不思議さに、胸がざわつきます。
「これって自分だけ? もしかして過活動膀胱?」
楽しみにしていた時間なのに、謎と少しの不安が混ざってしまう。
——でも大丈夫。この不思議には名前があり、理由があり、対策もあります。次へ進んで、いっしょに紐解きましょう。

すぐに分かる結論
お答えします。
- 大半は正常な体の反応です。水に入ると水圧と**(とくに低い)水温の刺激で体の中心に血液が集まり**、カラダは「水分が多い」と判断します。結果、利尿が進んで尿意が高まりやすくなる——これが**“イマージョン・ダイウレシス(水中利尿)”**です。
- ただし、我慢できない強い尿意が繰り返し起こる、日常でも頻繁、漏れてしまうなどがあれば、**過活動膀胱(OAB)**の可能性があります。OABは治療可能で、行動療法→薬→手術と段階的に対処できます。

ここまでが“結論の骨格”です。
「じゃあ、なぜ水圧や冷えで利尿が進むの?」
「OABとどう見分ければいい?」
「今日からできる対策は?」
今回の現象に「なるほど」と思った方も、「もっと知りたい」と感じた方も、どうして体がそんな反応をするのかを、この先でいっしょに探っていきましょう。
『過活動膀胱(OAB)』とは?
過活動膀胱とは?
**過活動膀胱(OAB:Overactive Bladder(オーバーアクティブ・ブラッダー)**とは、
「急にガマンできない強い尿意(=尿意切迫:にょういせっぱく)」が主な症状です。
さらに、
- 頻尿(ひんにょう):1日に何度もトイレに行く
- 夜間頻尿(やかんひんにょう):夜に何度も目が覚めてトイレに行く
- 切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん):ガマンできずに漏れてしまう
などを伴うことがあります。
大切なのは、尿路感染症や他の病気がないこと。
つまり、**「原因がはっきりしないのに、尿意が過敏になってしまう状態」**を指します。
誰が定義したの?
OABという言葉を整理したのは、
**国際禁制学会(ICS:International Continence Society)**という学会です。
2002年にポール・エイブラムス医師らが報告した文書で、
「世界共通の基準」として定義されました。
その後も2010年などに改訂され、現在の基準につながっています。

病気? それとも症候群?
ここで大事なのは、OABは**病名ではなく“症候群(しょうこうぐん)”**だということです。
「症候群」とは、原因が一つに決まらなくても、特徴的な症状がセットで現れる状態をまとめた呼び方です。
OABも、
- 膀胱(ぼうこう)が過敏に反応してしまう
- 神経の信号の乱れ
- 排尿筋(はいにょうきん:おしっこを出す筋肉)の働きのアンバランス
などが複雑に絡み合って起こると考えられています。
ガイドライン(診療の手引き)
米国の**泌尿器科学会(AUA)と女性泌尿器科学会(SUFU)**が2024年に出した最新ガイドラインでは、
- まずは問診・診察・尿検査で感染などを除外
- 必要に応じて**排尿日誌(トイレの回数や量を記録するノート)**を使う
- 治療は**生活習慣の工夫(行動療法)**が第一歩
- 改善がなければ薬物療法(抗コリン薬/β3作動薬)
- さらに必要ならボツリヌス毒素注入や神経刺激療法
という段階的な方法が示されています。
日本のガイドライン(2022年版)でも同じ流れで、まずは生活改善からとされています。
なぜ注目されるのか?
生活に直結する困りごと
OABが注目される理由は、
生活の質(QOL)に大きく影響するからです。
- 授業や仕事中にトイレが気になって集中できない
- 夜に何度も起きるため睡眠不足になる
- 外出や旅行を控えてしまう
といった影響は、年齢や性別を問わず深刻です。
「水圧や冷え」でトイレが近くなるのはなぜ?
これは生理的(せいりてき)な反応です。
- 水の中に入ると、**水圧(すいあつ)**で血液が手足から胸のほうに押し戻されます。
- すると心臓の上部(心房)が伸びて、**ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)**というホルモンが出ます。
→ 「体の水分が多いぞ、尿で外に出そう」と腎臓にサインを送ります。 - さらに、**抗利尿ホルモン(ADH:えーでぃーえいち)**など「水をためるホルモン」が減り、余分な水分を外に出しやすくなります。
- とくに冷たい水ではこの作用が強まり、入水直後に「トイレ行きたい!」となりやすいのです。
これが**“イマージョン・ダイウレシス(水中利尿)”**です。
ではOABとの違いは?
- 水圧や冷えで起こる尿意
→ 一過性で、プールやお風呂のときなど“特定の場面”で感じやすい
→ 陸に上がると落ち着くことが多い - OABによる尿意
→ 日常生活の中で繰り返し起こる
→ 「急に」「ガマンできない」強い尿意
→ 頻尿・夜間頻尿・尿漏れを伴うこともある
→ 尿検査で感染症が否定されることが前提
つまり、一時的な“冷え利尿”と、慢性的なOABは別物なのです。
薬とリスクについて
OABの治療薬には大きく2種類あります。
- 抗コリン薬(こうこりんやく)
膀胱の筋肉の動きを抑える薬。効果がしっかりある反面、口の渇き・便秘・眠気など副作用も出やすく、高齢者では認知機能への影響が観察研究で報告されています。 - β3作動薬(べーたすりーさどうやく)
膀胱をリラックスさせる薬。副作用が少なく高齢者にも使いやすいが、血圧が高めの人は注意が必要です。
どちらを選ぶかは年齢・体調・持病などをふまえて医師と相談します。
✨まとめポイント
- プールで急に尿意を感じるのは、多くの場合“水圧と冷え”による正常な体の反応。
- ただし日常で強い尿意や頻尿が続くなら、過活動膀胱の可能性がある。
- OABは恥ずかしいものではなく、生活改善や薬で十分にコントロール可能。
実生活への応用例(今日からできること)
A. プールやお風呂で「急な尿意」をやわらげるコツ
プールやお風呂に入ると起こる“急な尿意”は、水圧と温度変化で体の血液が胸の方へ集まり、
体が「水分が多い」と判断して尿を作りやすくなるためです。
この反応は**イマージョン・ダイウレシス(Immersion Diuresis/水中利尿)**と呼ばれます。
- イマージョン=水に浸かること
- ダイウレシス=利尿(尿がたくさん作られること)
今日からできる工夫
- 入る前に一度トイレへ行く
- いきなり肩まで浸からず、少しずつ体を入れる
- 長時間泳ぐときは休憩を計画
- 水分は“ちびちび”と摂る(脱水は避けること)
冷たい水で尿意が強まりやすい人もいますが、研究では温かい水でも利尿は起きることが分かっています。
つまり「水圧」が共通の大きな原因で、冷えは“人によって強く感じやすい追加要因”と考えられます。
B. OAB(過活動膀胱)が疑われるときのセルフケア
もし日常生活でも「急な強い尿意」が繰り返し起こるなら、**過活動膀胱(OAB:オーバーアクティブ・ブラッダー)**の可能性があります。
**行動療法(生活習慣の工夫)**が最初に勧められる対策です。
- 膀胱訓練:少しずつトイレの間隔を延ばしていく練習
- 骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操):尿を止める筋肉を鍛える運動
- 刺激物を控える:カフェインやアルコール、辛い食べ物は尿意を強めやすい
- 就寝前の水分を見直す:寝る直前に多く飲まないよう調整
こうしたセルフケアは、国内外のガイドラインでも**第一選択(最初にやるべき方法)**として推奨されています。
C. 医療での主な選択肢
セルフケアで十分でないときは、医療での治療を検討します。
治療の流れは「行動療法 → 薬 → 手技」と段階的に選んでいきます。
薬の代表例
- β3作動薬(ベータスリーさどうやく/例:ミラベグロン)
→ 脳や神経への副作用(眠気・混乱など)が少ない傾向。ただし血圧が上がることがあり、高血圧の人は医師と相談が必要です。 - 抗コリン薬(こうコリンやく/例:オキシブチニン)
→ 尿意を抑える効果が確立されています。口の渇き・便秘・眠気などの副作用が出やすく、高齢者では認知機能への影響が観察研究で示されています。ただしこれは“関連がある”と報告された段階で、因果関係は確定していません。
注意点や誤解されがちな点
誤解①:「プールで尿意がある=OABだ」
これは誤解です。
多くの場合は水中利尿による生理的な反応で、陸に上がれば落ち着く一時的なものです。
誤解②:「OABならすぐ薬を飲む」
これも誤解。
実際には、まず尿検査で感染症(膀胱炎など)を除外してから、**行動療法(生活習慣の工夫)**を優先します。
薬はその次のステップです。
誤解③:「抗コリン薬=必ず認知症になる」
これも誤解です。
観察研究で「認知症リスクとの関連」が報告されていますが、因果関係はまだ不確定です。
高齢者や基礎疾患のある人では、β3作動薬を優先するなど、個人に合った治療選択が可能です。
似たような症状との違い
膀胱炎(ぼうこうえん/UTI)
- 原因は細菌感染。
- 症状は「排尿時の痛み・しみる感じ」「血尿」「発熱」「濁った尿」。
- 治療は抗菌薬が中心。
過活動膀胱(OAB)との違いは、OABでは感染がないのに尿意切迫が繰り返すこと。
間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(IC/BPS)
- 膀胱がふくらむと痛みが強まり、排尿すると楽になるのが特徴。
- 主症状は「痛み」。OABは「強い尿意」で、ここが大きな違いです。
ストレス(腹圧性)尿失禁
- せきやくしゃみ、ジャンプなどお腹に力がかかったときに尿が漏れるタイプ。
- OABは「尿意に負けて間に合わず漏れる」ので性質が異なります。
受診の目安
- 血尿、発熱、下腹部の強い痛み、尿が出ない → 早めに医療機関へ。
- 日常で我慢できない尿意が続く/夜間に何度も起きる/漏れる → 排尿日誌を付けて泌尿器科へ。
まとめ
- プールでの「急な尿意」は多くの場合、生理的な利尿反応です。
- ただし、日常生活でも繰り返す強い尿意や漏れがあれば、**過活動膀胱(OAB)**を疑って行動療法や医療相談を。
- 膀胱炎など別の病気との区別も大切です。
👉※注意
この文章は、医学ガイドラインや信頼できる研究をもとにまとめています。
ただし、医療は進歩しており、新しい研究や発見で考え方が変わることもあります。
気になる症状がある方は、必ず医師に相談してください。
おまけコラム
「選手は本当にプールで…?」
——報道の真相と私たちが守るべきマナー
実は、オリンピックの競泳選手たちの多くがプールの中で排尿する、そんな報道が2024年にありました。
**ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)**の記事がきっかけで、米国のテレビ局やニュースサイトも次々と取り上げました。
なぜそんなことが?
選手たちが証言する理由はこうです。
- 競技用のスイムスーツは20分以上かけて着るほど脱ぎにくい
- レースや練習で大量の水分を補給している
- 競技の流れを途中で中断しにくい
つまり、競技特有の現実的な事情が背景にあるというのです。
もちろん、全員がそうしているわけではなく、否定するトップ選手もいます。
では、世間はどう受け止めたのでしょうか。
「現実的な事情として仕方ない」とする声もあれば、
「衛生やマナーの観点から好ましくない」と批判する声もありました。
ここで大切なのは、私たち一般の利用者は“まねしてはいけない”という点です。

衛生面から見たリスク
**CDC(アメリカ疾病対策センター)**は、明確に「プールで排尿しない」ことを呼びかけています。
理由は、尿に含まれる成分と塩素が反応すると、**クロラミン(Chloramine/刺激性化合物)**が生じるからです。
クロラミンは目や皮膚、呼吸器を刺激し、さらに本来の殺菌用の塩素が消費されてしまうという問題もあります。
私たちができる対策
- 入水前に必ずトイレに行く
- お子さんは1時間に1回は休憩してトイレへ
- 入水前にシャワーを浴びる(汗や化粧品を落とすことで塩素の消耗を防ぐ)
- 水分補給は“ちびちび”と(一気飲みは尿意を高めやすい)
こうした当たり前のマナーが、みんなにとって快適で安全なプール環境を守ります。
まとめ・考察
結論の再確認
- プールで急に尿意を感じるのは、水圧や冷えによって血液が胸の方に集まり、体が「水分が多い」と判断するためです。
- これはイマージョン・ダイウレシス(Immersion Diuresis/水中利尿)と呼ばれる生理的な反応で、ほとんどの場合は心配いりません。
- ただし、**日常生活でも強い尿意や頻尿、漏れが繰り返し起こる場合は「過活動膀胱(OAB:オーバーアクティブ・ブラッダー)」**の可能性があります。
考察
OABは「年のせいだから仕方ない」と片づけるものではなく、**治療可能な症候群(複数の症状の組み合わせ)**です。
診断の基本は、まず感染症(膀胱炎など)を除外する尿検査。
そのうえで、
- 行動療法(膀胱訓練・骨盤底筋トレーニング)
- 薬物療法(β3作動薬や抗コリン薬)
- ボツリヌス毒素注入や神経刺激療法
と、段階的に治療が用意されています。
名前が分かれば「怖さ」は減り、正しい対処を知れば「生活の自由」を取り戻せます。
読者への問いかけ
あなたはどの場面で尿意に困りますか?
- 通勤中?
- 会議の最中?
- 夜中に何度も起きてしまうとき?
今日からできる小さな一歩を、一つだけ試してみてください。
**「入水前に必ずトイレ」でも、「寝る前の水分を見直す」**でも構いません。
その一歩が、不安を減らし、生活をもっと快適にします。
更に学びたい人へ
この記事で「なるほど」と思った方や、もっと体系的に学んでみたい方のために、信頼できる実在の書籍を紹介します。
📘 初学者におすすめ
『過活動膀胱がわかる本 頻尿・尿もれはこうして治す』
(講談社 健康ライブラリーイラスト版/髙橋 悟 監修)
- 著者・監修者:髙橋 悟(たかはし さとる)氏は、日本泌尿器科学会に所属する泌尿器科専門医。
- 特徴:豊富なイラスト入りで、OAB(オーバーアクティブ・ブラッダー:過活動膀胱)の仕組みや治療を、医療知識がなくても理解できる構成。
- おすすめ理由:初めて学ぶ人でもスッと頭に入る解説。家族で共有しやすい内容なので、「自分もそうかも?」と感じている方の最初の一冊に最適です。
📗 実践に取り組みたい人へ
『自分で治す! 頻尿・尿もれ』
(関口 由紀 著)
- 著者:関口 由紀(せきぐち ゆき)氏は、横浜市立大学大学院医学研究科の女性泌尿器科分野で知られる医師。女性医療や排尿障害のエキスパートです。
- 特徴:日常生活でできるセルフケアに重点。骨盤底筋(こつばんていきん)トレーニングの方法や、飲み物の選び方など、今日から実践できる工夫がまとめられています。
- おすすめ理由:行動療法(こうどうりょうほう=薬に頼らない改善法)の第一歩を踏み出したい方に。図解で具体的に「やってみよう」と思える実用性があります。
📕 中級者・医療関係者におすすめ
『過活動膀胱診療ガイドライン 第2版』
(日本排尿機能学会・過活動膀胱診療ガイドライン編集委員会 編)
- 著者(編集):日本排尿機能学会は、OABや排尿障害の研究を専門とする国内の学会。
- 特徴:診断手順、治療の流れ(行動療法 → 薬物療法 → 手技治療)、エビデンス(科学的根拠)を整理。医療者向けにまとめられています。
- おすすめ理由:専門的な内容ですが、一次情報にあたることで「なぜその治療が選ばれるのか」を理解できます。患者としても「標準的な流れ」を把握しておけば、医師との対話がスムーズになります。
✅ まとめ
- やさしく学びたいなら → 髙橋 悟監修の入門書
- 実際に行動したいなら → 関口 由紀 著のセルフケア本
- さらに深く知りたいなら → 日本排尿機能学会のガイドライン
学びの段階に合わせて選ぶことで、理解と実践がより確かなものになります。
疑問の解決した物語
屋内プールでの「なぜ?」が解けたあと——。
あの不意に押し寄せた尿意は、多くの人が体験する**“水圧や冷えによる生理的な反応(イマージョン・ダイウレシス)”**だと分かりました。
「なるほど、体が水の圧で血液を押し戻されて、腎臓が働きやすくなるんだ」
そう理解すると、不安がスッと和らぎます。
さらに「もしも日常でも強い尿意が繰り返されるなら、それは過活動膀胱(OAB:オーバーアクティブ・ブラッダー)かもしれない」と知ったことで、必要なときは医師に相談すればいいという安心感も得られました。
その後は、入水前にトイレに立ち寄る、体を温めてからプールに入るといった工夫を実践。おかげで家族との時間をよりリラックスして楽しむことができました。
「不安の正体がわかれば、楽しみを手放さなくてもいいんだ」——そんな小さな学びが、大きな安心につながります。

さて、あなたならどうでしょう?
プールや日常生活で同じような不安を感じたとき、今回の知識をどう活かしますか?
👉 まずは今日から、「入水前にトイレに行く」や「水分のとり方を見直す」など、自分にできる一つの工夫を試してみてください。
✅ Q&Aセクション
Q1. プールに入るとどうして急にトイレに行きたくなるの?
A1. 水圧で血液が胸に集まり「体に水分が多い」と腎臓が判断するからです。さらに冷たい水だと利尿作用が強まります。この現象を「イマージョン・ダイウレシス(水中利尿)」と呼びます。
Q2. イマージョン・ダイウレシスと過活動膀胱(OAB)の違いは?
A2. 水中利尿は一時的で、プールやお風呂など“場面が限られる”現象です。
一方OABは「日常的に」「急に」「ガマンできない尿意」が繰り返され、頻尿や尿漏れを伴うこともあります。
Q3. 過活動膀胱(OAB)は治る病気ですか?
A3. OABは「治療可能な症候群」です。行動療法(膀胱訓練・骨盤底筋トレーニング)から始め、必要に応じて薬や医療的治療を組み合わせます。年齢のせいと諦める必要はありません。
Q4. プールに入る前にできる対策は?
A4. 入水前にトイレを済ませる、いきなり冷たい水に浸からず少しずつ入る、休憩を計画する、水分はちびちび摂る——これだけで「急な尿意」はぐっと減らせます。
Q5. 膀胱炎とOABはどう違うの?
A5. 膀胱炎は細菌感染が原因で「排尿時の痛み・血尿・発熱」を伴います。
OABは感染がなくても尿意切迫が繰り返されるのが特徴です。尿検査で見分けられるので、不安な場合は医療機関で相談しましょう。
Q6. 子どももOABになりますか?
A6. 子どもでも起こることがあります。特に「急にトイレ!」と頻繁に訴える、夜尿(おねしょ)が長引く、という場合は、小児泌尿器科での相談が勧められます。
Q7. OABに効果がある運動は?
A7. 骨盤底筋(こつばんていきん)トレーニングが代表的です。ケーゲル体操と呼ばれる方法で「尿を途中で止める筋肉」を鍛えます。毎日少しずつ行うことで改善が期待できます。
文章の締めとして
プールでの突然の尿意は、決して珍しいことではなく、多くは体の自然な反応です。
一方で、日常的に「我慢できない強い尿意」が繰り返されるなら、それは**過活動膀胱(OAB)**のサインかもしれません。
大切なのは、不安を抱え込まずに「知ること」と「小さな工夫から試すこと」。
正しい知識を持つだけで、今まで気になっていた不安がぐっと軽くなり、行動する勇気につながります。
注意補足
本記事は、著者が個人で調べられる範囲で、
信頼できる医療情報をもとに作成しましたが、
個々の症状・体質には差があります。
本記事は診断や治療の確定ではなく、受診のきっかけとしてご活用ください。
研究は日々アップデートされ、薬のリスク・ベネフィットに関する知見も変わり得ます。
🧭 本記事のスタンス
「これが唯一の正解」ではなく、読者が自分で興味を持ち、調べるための入り口になることを目指しています。異なる立場の視点もぜひ大切にしてください。
このブログが、あなたの疑問を解きほぐし、安心して毎日を過ごすための小さなヒントになれば嬉しいです。
このブログで芽生えた興味があれば、ぜひ次は自分自身で文献や資料に“浸かって”みてください。
水に入ると自然に流れ出すイマージョン・ダイウレシスのように、学びもまた深く浸るほどに、新しい発見が自然とあふれ出してきます。

最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました。
どうか、あなたの日々が「イマージョン・ダイウレシス」のように、心の不安を外へ流し出し、軽やかに過ごせる時間へとつながりますように。
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