この言葉は、漫画『ONE PIECE』第3巻・第25話「ウソ800」に登場する屋敷の執事・クラハドールが、屋敷の主であるカヤに向けて放ったセリフです
言葉までの経緯
ルフィたちが訪れたシロップ村では、ウソップという青年が毎朝「海賊が攻めてきた!」と嘘をつき回っていました。村人は彼を追いかけるものの、根底では憎からず思っている様子が見て取れます。そんなウソップには、彼を慕う「ウソップ海賊団」と名乗る3人の少年たち、そして彼の話を楽しみに待つ少女・カヤがいました。
カヤは1年前に病気で両親を亡くし、屋敷に閉じこもりがちでした。ウソップはそんな彼女を元気づけようと、毎日面白い嘘をついて笑わせていたのです。しかし、この行為をよく思わない人物がいました。それが、カヤの世話をする執事・クラハドールです。
クラハドールは、カヤの両親から「娘を守ってほしい」と託されていました。かつて職を失い、路頭に迷っていた自分を救ってくれた恩人の遺志を果たすことが、彼の生きる理由となっていたのです。そのため、海賊の息子であり、村人からも「嘘つき」と評されるウソップがカヤに近づくことを良しとしませんでした。クラハドールはウソップに対し、「海賊は薄汚い存在」だと決めつけ、彼を侮辱します。カヤが止めようとしても、その言葉は止まりませんでした。そして、ついにウソップは「二度とここには来ない」と言い残し、屋敷を去っていきます。
その後、クラハドールとカヤは屋敷で話し合います。クラハドールは、ウソップに対して言い過ぎたことを認めつつも、カヤを守るために必要なことだったと主張します。カヤは、ウソップが悪い人ではないと訴えますが、クラハドールは決して受け入れません。
カヤが「あなたはわからず屋だわ!」と非難すると、
クラハドールは毅然と言い放ちます。
『ええ わからず屋で 結構っ!!』
漫画 ONE PIECE 第3巻 第25話 〝ウソ800〟 より引用
もしこの言葉の後に物語がなければ、この一言には、彼なりの信念と覚悟が詰まっていたとなるでしょう。単なるカヤを思いやるが少し意地の悪い言い方しかできない人物に映ったかもしれません。しかし。かれには裏の顔を物語の最後に覗かせていました。それは後述します。

心に響いたこと
クラハドールは、自分の言動がカヤを悲しませたことを理解していました。それでも、彼は「わからず屋」と呼ばれることを厭いませんでした。それは、自分の信念を貫くためです。
彼は、恩人であるカヤの両親に誓った「カヤを守る」という使命を果たすためなら、どんなに誤解されても、嫌われても構わないと考えていました。たとえその行動が、カヤの本当の気持ちとすれ違うものだったとしても、彼は手を緩めることはありませんでした。
この姿勢は、ある種の強さを感じさせます。人はときに、大切な人を守るために「嫌われ役」を買って出なければならないことがあります。相手のために良かれと思っていても、相手からすれば迷惑だったり、理解されなかったりすることもあるでしょう。それでも、自分が正しいと信じる道を貫くことは、並大抵の覚悟ではできないことです。
クラハドールの「わからず屋で結構」という言葉は、まさにその象徴でした。相手にどう思われようとも、自分が信じる正義を貫く。そのために嫌われることも厭わない。この言葉には、そんな強い決意が込められているように感じました。
しかし、
実は、クラハドールにはもう一つの顔がありました。彼はただ忠実な執事としてカヤを守ろうとしていたわけではなく、 自身のある目的のためにこの屋敷に仕えていた のです。彼の言葉や行動には、一見するとカヤへの忠誠心が感じられますが、その裏には もっと別の思惑 が隠されていました。
カヤを「守る」と言いながら、 彼が本当に守ろうとしていたものは何だったのか?
そして、彼がわざわざ「わからず屋で結構」とまで言い切ることで 得ようとしていたものは何だったのか?
この時点ではまだはっきりとは明かされていませんが、彼の言葉の裏には、 単なる忠誠心や恩義だけでは説明できない理由が隠されている ようにです。〝お嬢様暗殺計画〟という恐ろしい計画が。
考えたこと
人は誰しも、「相手のために」と思って行動することがあります。しかし、それが本当に相手のためになっているのか、独りよがりなものになっていないかを考えることはとても難しいものです。
自分の信念を貫くことは重要ですが、同時に相手の気持ちを尊重することも大切です。もしクラハドールが、カヤの想いをもう少し理解しようとしていたら、違う形で彼女を守ることができたかもしれません。
とはいえ、クラハドールの姿勢には学ぶべき点も多くあります。たとえ周囲からどう思われようとも、自分が正しいと信じたことを貫く覚悟。簡単に流されず、自らの信念に従い行動する姿は、現実世界においても大切な考え方だと感じます。
カヤとクラハドールは、互いに「わからず屋」と罵り合うような関係でしたが、実は心の奥底では互いを理解し合っていたのかもしれません。たとえ言葉ではぶつかり合っても、本当の意味で相手のことを思い合える関係性は、とても貴重なものなのではないでしょうか。
たとえクラハドールの真の目的が別にあったとしても、このやり取りから学べることは多いように思います。相手のためを思う気持ちと、それをどう伝えるか——このバランスを取ることの難しさを考えさせてくれたのではないでしょうか。
皆さんにとって、
この言葉はどう響きましたか?
もし少しでも新しい気づきがあったなら幸いです。
このシーンを直接読んでみたい方は、
漫画 ONE PIECE 尾田栄一郎 ジャンプ・コミックス 集英社
第3巻 第25話 〝ウソ800〟
読者の皆さんには、
どのように響いたでしょうか?
皆さんの感じたことも、ぜひ教えてください。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!

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