電話で『もしもし』と言う理由は?『申し申し』説を根拠別に整理

考える

結論:『もうしもうし』が縮んで『もしもし』に。辞書と電話史で確かめる

『もしもし』は本当に『申し申し』だった?電話で言う理由を「辞書×電話史」で深掘り

代表例

会社の電話が鳴って、受話器を取った瞬間に
思わず「もしもし」と言いそうになって、あわてて飲み込んだことはありませんか。
(ふだんは自然に出るのに、“仕事の電話だけは違う気がする”のが不思議ですよね。)

→ ではまず、なぜ「もしもし」が生まれたのか。結論から確かめていきましょう。

5秒で分かる結論

結論:『もしもし』は、もともと『もうしもうし』が変化した言葉です。
さらに、語源辞典系の説明として「もし=申し(もうし)の略」→「もしもし=申し申しが詰まった形」という整理も紹介されています。

※ここでいう「変化」は、むずかしく言うと音変化(おとへんか)=“言いやすくなるように音が変わること”です。

次は、小学生にもスッキリ分かる言い方に直します。

小学生にもスッキリ分かる答え(噛み砕き版)

むかしの日本語で、だれかに声をかけるときに
**「もうし、もうし(=呼びかけ)」**みたいに言うことがありました。

それが、だんだん短く言いやすくなって
**「もしもし」**になった、というわけです。

(つまり「もしもし」は、いきなり電話のために生まれた言葉というより、もともと“呼びかけ言葉”として存在していた可能性が高い、という点が大事です。)

→ ここから先は「じゃあ、なんで“電話で”だけ残ったの?」を順番にほどきます。

1. 今回の現象とは?

電話に出るとき、なぜか口が勝手に『もしもし』と言う。
この“自動発動”みたいな感じ、かなり多くの人が経験しています。

このようなことはありませんか?(あるある例)

  • 知らない番号でも、とりあえず「もしもし」で出てしまう
  • 相手の声が小さいと「もしもし?」と確認してしまう
  • 対面で「もしもし」と言うと、ちょっと照れる(変な感じがする)
  • 仕事の電話では「もしもし」がNGと聞いて、焦る(でも理由が分からない)

キャッチフレーズ(疑問を“言葉”にして固定する)

「『もしもし』は、どうして電話だけで使う言葉になったの?」
「『もしもし=申し申し』って本当?どこまで確かな話?」

この記事を読むメリット

  • 「もしもし」の語源を、辞書と図書館情報で確かめてスッキリできます
  • “電話だけに残った理由”を、**明治の電話の仕組み(交換手)**と一緒に理解できます
  • 「仕事の電話で避けるべき?」など、使い分けのモヤモヤも整理しやすくなります

次は、同じ疑問を持った人が「ある日ふと気づく」物語で、気持ちを一度あたためます。

2. 疑問が浮かんだ物語

休日の夕方、家でのんびりしているとスマホが鳴りました。
画面には、久しぶりに連絡してきた友だちの名前。

私は反射的に言います。
「もしもし」

通話が始まった瞬間、ふと頭の奥がムズムズしました。
“今の、なんで言った?”
だれに教わったわけでもないのに、体が勝手に出した感じがする。

友だちと普通に話しているだけなのに、最初だけ“特別な合図”みたいに「もしもし」。
どうして電話だけ、この言葉が残ったんだろう。
そして、前に聞いたことがある――
「もしもしは、もともと『申し申し』だった」って話。

でも、それって本当?
本当だとしたら、いつ、どんな理由で、そうなったの?
ちゃんと確かめたくなって、私は検索窓に「もしもし 語源」と打ちました。

次は、結論をはっきり言います。ここで一気にスッキリさせましょう。

3. すぐに分かる結論

お答えします。

あなたが感じた「なんで電話だけ?」の答えは、まずここです。
『もしもし』『もうしもうし』が変化した呼びかけ言葉で、辞書でもそう説明されています。
さらに語源辞典系の説明として、**「もし=申し(もうし)の略」→「もしもし=申し申しが詰まった形」**という整理も紹介されています。

ここまでを、超かんたんにまとめると——

  • 「もしもし」は“電話専用語”というより、元は呼びかけ言葉だった
  • それが電話の場面で特に相性がよく、電話のあいさつとして残りやすかった(※ここから先で理由を説明します)
  • 明治の電話は、今と違って**交換手(こうかんしゅ)**が回線をつないでいました

そして大事なポイントを1つだけ先に。
辞書の例では「もしもし」は電話が登場する前の用例も示されています。
つまり「電話ができたから生まれた」ではなく、
**“元からあった言葉が、電話で生き残った”**可能性が高いんです。

ここから先は詳しい解説に入りますが、
その前に「よくある疑問」をQ&Aでまとめました。

3.5. 『もしもし』のモヤモヤをここで解決

気になるところだけ読んでもOKです。
読み終えたら、続きで“理由の深掘り”に戻れます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 結局『もしもし』の語源は何ですか?

A. 辞書の説明では、『もしもし』は『もうしもうし』が変化した言葉として整理されます。
(“言いやすく短くなる変化”として説明されることが多いです。)

Q2. 『もしもし』は本当に『申し申し』だったの?

A. “同じ系列の説明”と考えると分かりやすいです。
「申し(もうし)」を重ねた形(申し申し/申申=もうしもうし)→短くなって「もしもし」
という整理をする資料があります。

ただし、「誰がいつ決めたか」まで言い切れるほど確定している話ではなく、
語源(言葉の形)と、電話での定着(広まり方)は分けて読むのが安全です。

Q3. いつから電話で『もしもし』と言うようになったの?

A. “いつ頃から完全に定着したか”は、はっきり断定できない部分があります。
資料によっては「よく分かっていない」と説明されることもあります。
この記事では、断定できる範囲(辞書の定義・電話史の事実)と、諸説を分けて紹介しています。

Q4. なぜ“電話だけ”で『もしもし』が残ったの?

A. 電話は、対面と違って「聞こえたか」「つながっているか」を確認しやすい合図が必要だから、と考えると自然です。
電話では表情も口の動きも見えないので、最初の呼びかけが“儀式化”しやすいんですね。

Q5. 『もしもし』を2回言うのは、昔の電話が聞こえにくかったから?

A. “そう説明されることはある”一方で、史料として確定しきった説明とは限りません。
ただ、実感として「聞こえない時に確認で繰り返す」のは今でも起きます。
なので記事では、合理的な説明(起こりやすさ)として扱い、断定しすぎない形にしています。

Q6. 対面で『もしもし』と言うと変に感じるのはなぜ?

A. 『もしもし』が“電話の場面に固定された定型表現”になっているからです。
本来は呼びかけでも、現代では電話の印象が強く、対面だとズレて感じやすいんですね。

Q7. ビジネス電話で『もしもし』は失礼ですか?

A. “失礼=禁止”というより、カジュアルに聞こえやすいので避けるのが一般的という整理が近いです。
相手に安心感を出すなら、
「お電話ありがとうございます。○○の△△です。」
のように名乗るほうが無難です。

Q8. 仕事で『もしもし』と言ってしまったら、どう挽回すればいい?

A. すぐに名乗り直せば十分です。
例:
「失礼いたしました。○○の△△でございます。」
過剰に謝りすぎるより、落ち着いて切り替えるほうが印象が整います。

Q9. 『もしもし』の意味は「これから話します」ってこと?

A. イメージとしては近いですが、厳密には“呼びかけ”として捉えるのがズレにくいです。
語源・辞書の説明は「呼びかけ語」として整理されることが多く、
「これから話します」は理解を助ける“意訳(言い換え)”と思うと安全です。

Q10. 『ハロー(Hello)の代わり』説って本当?

A. “そう書く語源辞典がある”という形で紹介されますが、定説として断定はしにくい部分です。
このブログでは、そうした話を「諸説」として位置づけ、
辞書の定義(より土台が強い情報)と混ぜないようにしています。

Q11. 脳や神経の話まで出てくるのはなぜ?

A. 『もしもし』が“口ぐせのように自動で出る”感覚を、読者が納得しやすい形にするためです。
ただし脳の話は、言葉の語源そのものを証明するものではありません。
記事では「説明として自然かどうか」という補助線として扱っています。

Q12. 『もしもし』に似た、勘違いされやすい言葉はありますか?

A. あります。ポイントは“場面に固定された定型表現”です。

例:メール冒頭の「お世話になっております」
自動音声の「ただいま電話が混み合っております」
チャットの「了解です/承知しました」

どれも、対面より“特定の場面”で強く定着しやすい言い方です。

Q13. この記事を読んだあと、何を調べれば理解が深まりますか?

A. まずは辞書(国語辞典・語源辞典)→次に電話史(明治の仕組み)がおすすめです。
記事内で紹介している書籍・施設は「深掘りの入口」として役立ちます。
気になった言葉を1つ選び、辞書で同じ読み方で追うだけでも理解がぐっと深くなります。

疑問がほどけたところで、
ここから先は「辞書の定義」と「電話史」を軸に、根拠を積み上げていきます。

ここから先は、
なぜ電話だと残ったのか?(明治の電話の仕組み)
『申し申し』説はどこまで確実で、どこからが“説”なのか?
を、根拠を分けて一緒に学んでいきましょう。

4. 『もしもし』とは?

定義と概要

まず、いちばん確実な土台は辞書の定義です。
『もしもし』は、もともと人に呼びかける言葉(感動詞)で、形としては『もうしもうし』が変化した語と説明されています。

そして辞書には、用途が2つはっきり書かれています。

  • ① 呼びかけ:「もしもし(=もうしもうし)」
  • ② 電話:電話の最初の呼びかけ/通じているかの確認

ここで大事なのは、辞書の例に電話より前の用例が出ていることです。
(つまり「電話が生まれたから誕生した言葉」ではない可能性が高い、ということです。)

ついでに:よく出る用語ミニ辞典

  • 感動詞(カンドウシ):あいさつや呼びかけなど、感情・反応をそのまま出す言葉(例:あっ、ええと、もしもし)
  • 「申し申し(もうしもうし)」:辞書では「申し」を重ねた呼びかけで、「もしもし」と同義、と説明されています。

→ 次は、いよいよ本丸。
**「なぜ“電話で”だけ強く残ったのか?」**を、明治の電話史と一緒に見ていきます。

5. なぜ注目されるのか?

背景・重要性

明治の電話は「今のスマホ」と別物だった

日本で電話が事業として始まったのは、1890年(明治23年)12月16日
この日に東京・横浜で電話が開通し、電話交換業務が始まったことが、NTTの年表で確認できます。

当時はまだ、電話そのものが珍しく、仕組みも今と違いました。
(年表には、創業時の設備として「交換機」が明記されています。)

ここがポイントです。
「もしもし」が電話で定着した理由を考えるとき、当時の電話は

  • 音が今ほどクリアではない
  • “通じたかどうか”が不安
  • まず相手を呼び、反応を確認する必要が高い

…という環境だった、と想像しやすくなります。

当時の電話は、いきなり相手に直通しません。
受話器を上げてハンドルを回し、まず電話局に合図。
交換手が出たら「○○番へお願いします」と伝え、
交換台でコードを差し替えて相手回線につないでもらう仕組みでした。

明治の電話がつながるまでの流れ(超わかりやすい版)

創業当時(1890年前後)の基本イメージは、こうです。

受話器を上げる(「電話を使います」の準備)
電話機のハンドルを回して発電し、電話局(交換機)へ合図する
 → これが「呼び出し」になります(磁石式)。
交換手が応答(つなぎ役が出る)
発信者が“相手先(番号や相手名)”を伝える
交換手が交換台でコードを差し替え、相手回線へ接続
交換手が相手を呼び出し、つながったら通話開始

そして当時は電話自体がまだ珍しく、創業開始時点の加入者は
東京155・横浜42(合計197)、さらに電話所(公衆電話的な拠点)16という規模でした。
この“特別な道具感”も、「最初の呼びかけ」が儀式として残りやすい背景になります。

交換手の役目(何をしていた人?)

交換手は主にこの3つを担っていました。

呼び出しに応答する(電話局側で「発呼が来た」ことを受ける)
誰につなぐかを聞き取り、交換台で回線を接続する(接続紐=コード操作)
相手側を呼び出す(ベルを鳴らす)→通話を成立させる(手動で“つなぐ”)

※交換手の仕事は「動作や頭の働き」を体験できる展示があるほど、当時の通信の要でした。

こうして「まず呼びかけて、反応を確かめる」必要が強かったからこそ、“もしもし”が電話で定着した、と考えると腹落ちしやすくなります。

「いつから“もしもし”になったか」は、実は確定していない

子ども向け解説ですが、学研の説明には重要な一文があります。

いつごろ「もしもし」に変わったかについては、よくわかっていない

つまり、ここは断言しすぎると危険な部分です。
語源記事で信頼を落とすのは、だいたいここ(=“決めつけ”)です。

「申し申し(申し申し説)」はどこまで確かな話?

図書館のレファレンス協同データベース(NDL)には、こう整理されています。

  • 『日本語源辞典』の項目では
    **「もし=申し(もうし)の略」→「もしもし=申し申しが詰まったもの」**という説明
  • さらに「加藤木氏が“ハロー”の代わりとして考えた」とする記述がある、という紹介

※「加藤木」とは?
加藤木重教(かとうぎ しげのり)は、明治〜昭和前期の電気技術者で、電信・電話の技術研究や普及に関わった人物です。
世界大百科事典などで、電気試験所で電話機や電話交換法の研究に従事し、のちに渡米してウェスタン・エレクトリック社で電話交換機について実習したことなどがまとめられています。
国立国会図書館(NDL)の展示資料でも、加藤木重教は「電話機の改良と普及に貢献した技術者」と説明されています。

日本語には、丁寧な自己表現としての 「申す(もうす)」 があり、呼びかけとして「もうし、もうし」と言うのは言葉の形として自然です。
この「呼びかけ(もうしもうし)」が、電話の冒頭の用途と相性がよく、結果として「もしもし」に縮まって残った——という筋は、語源説明とも整合します(ただし、“誰が最初に決めたか”は別問題です)。

ここでの安全な言い方はこうです。

  • 辞書(国語辞典)の主流
    「もしもし」は 「もうしもうし」からの変化
  • 語源辞典系の整理
    「もし=申し(もうし)の省略」と見て、「申し申し→もしもし」と説明するものがある

つまり「申し申しだった」は、**“語源辞典の整理としては筋が通る”**一方で、
いつ・誰が・どの場面で定着させたかは、確定しきっていない部分が残ります。

さらに納得:電話は「音の幅」が狭い(だから短い反復が強い)

電話には、いわゆる電話帯域(デンワタイイキ)という標準があります。
電話の音声は、基本的に300〜3400Hz
の範囲で扱う前提で規格化されています。

難しく言うと、
「聞こえる音の全部」を送るのではなく、会話に必要な範囲に絞って送る仕組みです。

だからこそ、短くて聞き取りやすい呼びかけを2回繰り返すのは、合理的なんですね。
(「聞こえた?」の確認にも使える、と辞書にも書かれています。)

脳・神経から見る「口が勝手に“もしもし”と言う」現象

ここからは脳科学で“断言しすぎない”説明をします。

  • 人の行動は、繰り返すほど**習慣(しゅうかん)**になりやすい
  • 習慣化には**基底核(キテイカク)**などが関わる、という研究の流れがある
  • 電話に出る瞬間は「状況の合図(キュー)」が強いので、
    “いつもの定型句”が自動で出やすい、と考えると自然です(これは解釈です)

また、会話の理解には
**上側頭回(ジョウソクトウカイ:STG)**など音声処理に関わる領域が重要、とされます。
視覚情報も含めて処理する仕組み(音声+口の動き等)も研究されています。

電話は視覚情報がないぶん、
「聞き取りに集中→確認したくなる」が起きやすい、という説明にもつながります。

→ 次は、今日から使える実用編。
**“言っていい場面/避けたほうがいい場面”**を、具体例で整理します。

6. 実生活への応用例(使い分けでモヤモヤを消す)

日常:もしもしは「普通にOK」

家族・友人・配達員など、日常の電話なら
「もしもし」は自然で、相手との距離も近く感じられます。

仕事:なぜ避けると言われるのか?

ビジネス電話では「もしもし」を避けるのが一般的、という解説が複数あります。
理由としては、主に

  • カジュアルに聞こえる
  • 略語っぽく見える(丁寧さが弱い)

といった整理がされます。

仕事の電話:そのまま使える置き換えテンプレ

受電(電話に出る)

  • 「お電話ありがとうございます。〇〇(会社名)△△です。」
  • 「はい、△△でございます。」

聞こえにくいとき(“もしもし?”の代替)

  • 「恐れ入ります、少しお電話が遠いようです。」
  • 「申し訳ございません、もう一度お願いできますでしょうか。」

電波が不安定なとき

  • 「一度切って、かけ直してもよろしいでしょうか。」

メリットとデメリット(正直に)

メリット

  • “場に合う言葉”が選べると、第一印象が安定する
  • 緊張してもテンプレがあると事故が減る

デメリット

  • 形だけ真似ると、声が硬くなって不自然になることもある
    → テンプレは「土台」、最後は自分の声で整えるのが最強です

→ 次は、「語源の誤解ポイント」をきっちり分けます。
ここを丁寧にやると、記事の信頼度が跳ね上がります。

7. 注意点・誤解されがちな点(ここが信頼の分かれ道)

誤解①「もしもし=電話ができてから生まれた」

辞書には、電話以前の用例が示されています。
なので「電話のために突然生まれた」と言い切るのは危険です。

誤解②「もしもし=申し申し、は確定」

「申し(もうし)」を重ねた**「申し申し」**という語が辞書にあり、同義とも説明されています。
一方で、「いつごろ“もしもし”へ定着したか」は不明点が残る、とも説明されています。

なので安全な結論はこうです。

  • 語の系統としては:「もうしもうし」→「もしもし」の音の変化が有力
  • 説明のしかたとして:「もし=申しの略」→「申し申しが詰まった形」と整理する語源辞典がある
  • ただし:定着の経緯(いつ誰が決めたか)は“諸説の領域”

誤解③「もしもしは失礼」

日常では問題ありません。
ただしビジネスでは避けるのが一般的、という整理が広く見られます。

悪用・危険性(安全のための注意)

電話は、詐欺の入口にもなりやすい媒体です。
警察庁や国民生活センターは、不審な電話は一旦切って相談するよう繰り返し注意喚起しています。

困ったときの窓口はこの2つが覚えやすいです。

  • 警察相談:#9110(緊急ではないが不安なとき)
  • 消費者ホットライン:188(いやや)

→ 次は、おまけなのに満足度が上がる“寄り道”。
語源を「体験」に変える場所と、知識が伸びる話を入れます。

8. おまけコラム(“知識が体験になる”小ネタ)

「電話の歴史」を実物で見られる場所がある

もし東京近郊なら、NTT技術史料館がかなり刺さります。
一般公開は木・金の午後で、予約不要・無料と案内されています。

語源って、文字だけ追うと「へぇ」で終わりがちです。
でも電話の展示を見ると、

  • 受話器の形
  • 交換の仕組み
  • 当時の“通じにくさ”

が肌感で分かって、「もしもし」が生き残った理由に体温が出ます。

『もしもし』は“化石”みたいな言葉かもしれない

学研の説明にもある通り、
『もしもし』は今では電話以外でほとんど使われません。

でも、辞書上は「呼びかけ語」として存在していた。

つまり『もしもし』は、
昔の呼びかけが“電話の中だけ”に残った化石みたいな存在、という見方もできます。

おまけ:実は「もしもし」の“広まった理由”には諸説がある

ここまでで、「もしもし」は辞書では 「もうしもうし」から変化した言葉と説明されるのが土台だと見てきました。
ただし――

「じゃあ、なぜ電話で“あいさつ”として定着したの?」という部分になると、
“起源話(きげんばなし)”がいくつか語られています。

ポイントは、**語源(ことばの根っこ)**と、**定着の物語(広まり方)**は別物だということです。

説①:交換手の「おいおい」を置き換えた説(電話草創期の話)

電話が始まったころ、交換手が「おいおい」と呼びかけていた――
それを「乱暴に聞こえる」と感じた人物が、代わりの呼びかけとして「もしもし」を広めた、という起源話が紹介されています。
同じ紹介の中で、
「男性交換手は『おいおい』が多く、女性側は使いにくいので話し合って『もしもし』にした」といった話も併記されています。

説②:「Hello(ハロー)」の代わりとして整えた説(技術者・加藤木重教の話)

図書館の調査事例では、語源辞典の記述として
「電話創業期に、米国の“Hello”に当たる日本語として“もしもし”を考えた」という説明が紹介されています。
ただし同じ事例の中で、電話で使うようになった“経緯”まで書く資料は限られるとも整理されています。
なので、ここは記事内でも「一説」として扱うのが安全です。

説③:妖怪・幽霊が関わる“民間の言い伝え”(読み物としての説)

もうひとつ、民間信仰として
「妖怪は一声だけで呼ぶから、山では二声続けて呼ぶ」といった話が知られています(例:一声呼び)。
これが「もしもしは二回言うと安心」という説明に結びつけて語られることもありますが、
これは **辞書が示す語源説明とは別枠(民間説・読み物の説)**として楽しむのが無難です。

ここまでの“おまけ”を一言でまとめるなら、こうです。

語源の土台は辞書で確認しつつ、
定着のストーリーは「諸説」として分けて眺めると、ブレません。

→ 次はまとめ。
知識を一枚に畳んで、あなたの生活に戻せる形にします。

9. まとめ・考察

今日の結論(もう一回だけ短く)

  • 「もしもし」は辞書では 「もうしもうし」からの変化と説明される
  • 「申し申し(もうしもうし)」という語もあり、同義で説明される
  • 電話創業は明治23年(1890年)12月16日。明治の電話環境が定着を後押しした可能性が高い
  • ただし、いつから統一されたかは確定しない部分がある

高尚な考察:言葉は「便利な場所」に居残る

言葉は“正しさ”より先に、
便利な環境に根を張ることがあります。

「もしもし」は、電話という不安定な媒体で
短く・確認に使え・礼も保てる。
だから居残った——そんなふうに見えます。

ユニークな考察:「もしもし」は“脳の起動音”かもしれない

電話に出た瞬間、スイッチが入って
脳が「会話モード」に切り替わる。

その起動音が、
あなたの口から勝手に出る「もしもし」なのかもしれません。

あなたはどうですか?
家族には言うのに、仕事だと飲み込む。
この“切り替え”に、自分のルールが見えたりしませんか。

――ここから先は、興味に合わせて 応用編 へ。

「もしもし」の周りには、似ているのに意味や立場がちがう言葉がいくつもあります。
それを知ると、日常のモヤモヤを “自分の言葉で説明できる” ようになります。

たとえば、
「もし=申し(もうし)の短い形?」
「申し申し(もうしもうし)って辞書にあるの?」
…みたいな疑問が、スッと整理できます。

では次章で、語彙(ごい)を増やしながら
「もしもし問題」を“言語化”できる頭にしていきましょう。

→ まずは、近い言葉を並べて「何が同じで、何が違うのか」を見える化します。

10. 応用編:似た言葉・間違いやすい言葉まとめ

まずは“近い言葉”を増やす(語彙カード)

ここからは、似ている言葉をあえて並べて、違いをつかみます。
(辞書に載る「定義(ていぎ)=公式な意味」をベースにします)

  • 申し(もうし)
    もともと「申すこと」という名詞の意味もありますが、
    人に呼びかける感動詞としての用法も辞書にあります。
  • 申申(もうしもうし)/申し申し(もうしもうし)
    「申し(もうし)」を重ねた呼びかけで、
    “もしもし”と同じ扱いで説明されています。
  • もし(モシ)
    そもそも「もし」は、「もうし」が変化した語として説明されます。
  • もしもし
    「もうしもうし」が変化した語で、
    「呼びかけ」だけでなく、電話で“通じているか確認する時”にも言うとされています。

この並びで見えてくるのは、こういう骨組みです。

「申し/もうし」系の“呼びかけ”
→ それを重ねた「もうしもうし(申し申し)」
→ さらに言いやすく短くなった「もしもし」

この整理ができるだけで、
「申し申し説って本当?」が“ふわっとした噂”から一段進んで、
辞書の言葉で説明できる状態になります。

→ 次は、ここで多くの人が混ぜてしまう「間違いやすいポイント」をほどきます。

間違いやすいポイント3つ(ここが混ざる)

間違い①:「もしもしは電話のために生まれた」と思い込む

辞書の例では、電話より前の用例が示されているため、
「電話ができたから発明された」だけでは説明しきれません。

大事なのはここです。

  • 元から“呼びかけ言葉”があった
  • 電話という場面で“特に定着した”

この順番で考えると、ズレにくくなります。

間違い②:「もしもし=申し申し」は“完全な断定”だと思う

図書館のレファレンス事例では、語源辞典(『日本語源辞典』)の説明として
「もし=申しの略」→「もしもし=申し申しが詰まった形」
という紹介がされています。

ただしこれは、**“語源辞典の説明として紹介されている”**という位置づけです。
国語辞典側の「もうしもうしが変化した語」という説明とも矛盾しませんが、
“どの資料がどこまで言っているか”を分けて読むのが安全です。

間違い③:「仕事で“もしもし”は絶対ダメ」と決めつける

ビジネス電話では「もしもし」を避ける、というマナー説明は確かに多いです。
ただ、これは **言葉の正誤(正しい/間違い)**というより、
**場の印象(カジュアルに聞こえる可能性)**の問題として説明されることが多いです。

つまり、

  • 日常:自然に出てもOK
  • 仕事:会社名+名乗りが優先(結果的に“もしもし”を言わない)

…という整理にすると、無用な罪悪感が減ります。

→ 次は、「似たタイプの“電話・メディア限定語”」を知って、応用力を上げます。

同じタイプの現象:なぜ“その場面だけ”で言葉が残るの?

「もしもし」って、ふだん対面ではあまり言いません。
でも電話だと出てくる。

これ、言い換えると――

“場面(メディア)に貼りついた定型表現(ていけいひょうげん)”
になっている、ということです。

似たタイプの例を挙げると、こんな感じです。

  • メール冒頭の「お世話になっております」
    対面では言わないのに、文章だと自然に出る
  • 店の自動音声の「ただいま電話が混み合っております」
    ふだんの会話では使わないけれど、電話の世界では定番
  • チャットの「了解です」「承知しました」
    口頭よりも“文字の場”で固定されやすい

ポイントはこれです。

人は、同じ状況を何度も経験すると
その場に“決まった言い方”を作って、脳の手間を減らす

だから「電話に出た瞬間、口が勝手に動く」みたいな感覚が起きやすいわけです。

→ では次章では、もっと確実に学べる資料(辞書・歴史・展示)へ進みましょう。
「調べ直せる導線」があると、記事が“読み捨て”になりません。

11. さらに学びたい人へ(おすすめ書籍・縁の地・体験スポット)

※開館日・休館日は変更されることがあります。お出かけ前に、必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。
(郵政博物館は「重要なお知らせ」で休館予定日を告知しています。/NTT技術史料館も急きょ休館の可能性が明記されています。)

おすすめ書籍

① 初学者・小学生にもおすすめ
『日本語語源辞典 第2版』(学研辞典編集部)

  • 特徴:日常で使う言葉を中心に、語源を広く扱うタイプ。故事(こじ)・文化・外来語なども含めて「語源って面白い」を体感しやすい構成です。
  • おすすめ理由:本文で出てきた「もしもし」みたいに、身近な言葉を“調べて確かめる”習慣を作る最初の一冊として相性が良いです。

② 中級者向け(語源を筋道立てて追いたい人へ)
『新明解語源辞典』(小松寿雄 編/鈴木英夫 編)

  • 特徴:日常語を中心に約4,500語を選び、語源・由来・歴史を簡潔に整理。諸説あるものは諸説として紹介する方針が明記されています。
  • おすすめ理由:「どこまでが確定で、どこからが説なのか」を分けて読みたい人に向きます。今回の“申し申し説は一説として扱う”という読み方とも相性が良いです。

③ 全体におすすめ(読み物としても沼れる)
『語源海』(杉本つとむ 著)

  • 特徴:東京書籍の紹介では「決定版・語源大辞典」として位置づけられ、項目を“読む辞書”として楽しめるタイプです。
  • おすすめ理由:記事を読み終えたあと、「他の言葉も同じ視点で深掘りしたい」と思った人が、次の一歩として手元に置きやすい一冊です。

→ 次は、文章だけでは掴みにくい「電話の仕組み」を“体験で腹落ち”させる場所をご紹介します。

縁の地・体験できる場所

NTT技術史料館(東京・武蔵野)

  • 見どころ:通信技術の歴史が展示され、体験コーナーもある公式案内があります。
  • 開館の目安:一般公開は 毎週 木・金 13:00〜17:00、予約不要・無料(祝日・年末年始除く)。急きょ休館の可能性も明記されています。
  • おすすめ理由:「もしもし」が“電話というメディア”に残った理由を、展示(交換機など)で具体的に想像しやすくなります。

郵政博物館(東京スカイツリータウン・ソラマチ9F)

  • 見どころ:郵便だけでなく、通信の歴史に触れられる博物館として公式案内が整っています。
  • 開館の目安10:00〜17:30(入館は17:00まで)、入館料の案内あり。休館日は「不定休」とされ、臨時休館もあり得ると明記。
  • おすすめ理由:言葉の由来を“歴史の現場”に接続すると、知識が記憶に残ります。行く前に公式の「重要なお知らせ」で休館予定日を確認できるのも安心です。

この章まで読んだあなたは、もう「もしもし」を“知っている”だけではなく、
辞書で確かめ、歴史とつなげて語れるところまで来ています。

12. 疑問が解決した物語

記事を読み終えたあと、私はもう一度スマホを手に取りました。
「もしもし」は、電話のために急に生まれた言葉ではなく、もともと“呼びかけ”としてあった「もうしもうし」が縮まって残った――そう理解できたからです。

なるほど。
だから電話に出た瞬間、口が勝手に動いたんだ。
私は急に恥ずかしくなくなって、少しだけ嬉しくなりました。

その日の夜、また友だちから電話が来ました。
今度も、最初の一言はやっぱり「もしもし」。
でも前みたいに“謎の合図”じゃありません。

「もしもし。聞こえる?」
そう言いながら、私は心の中で確認します。
――これは、昔からの呼びかけが、電話という場面で生き残った言葉。
そして、つながっているか確かめる意味でも使える言葉なんだ。

数日後、会社の電話が鳴ったときは、少し違いました。
「もしもし」と言いそうになる口を、今度は焦らずに止められます。
代わりに、深呼吸してこう言いました。

「お電話ありがとうございます。〇〇の△△でございます。」

“言ってはいけない言葉”だから我慢したのではなく、
場に合う言葉を選べるようになっただけ。
それが、なんだか大人になったみたいで気持ちが良かったんです。

教訓は、たぶんこれです。
言葉は、正しい・間違いだけじゃなくて、
**「どこで使うと一番ちょうどいいか」**で生き残っていく。
だからこそ、知るほどに、毎日の会話が少し楽になる。

さて、あなたはどうでしょう。
次に電話に出るとき――
「もしもし」を、ただのクセとして言いますか。
それとも、「昔から続く呼びかけの名残」として、少しだけ意識して言ってみますか。

文章の締めとして

「もしもし」は、ただの口ぐせではなく、昔の呼びかけが電話の中で生き残った“小さな名残”でした。
その背景を知ると、いつもの通話の最初の一言が、少しだけ丁寧で、少しだけ愛おしく感じられます。

言葉は、便利さだけで残るのではなく、
人の気持ちや距離感を調整するために、形を変えながら残っていくのかもしれません。

次に電話が鳴ったら、あなたの「もしもし」は、昨日より少しだけ意味のある一言になっているはずです。

補足注意

本記事は、辞書・資料など、著者が個人でが確認できる範囲の信頼できる情報をもとに整理した内容です。
ただし語源や定着の経緯には、資料の残り方によって**断定できない部分(諸説)**もあります。

また、研究や資料公開が進むことで、
「いつ頃どの層に広まったか」などの理解が更新される可能性もあります。

🧭 本記事のスタンス
この記事は、「これが唯一の正解」ではなく、
読者が自分で興味を持ち、調べるための入り口として書いています。
さまざまな立場からの視点も、ぜひ大切にしてください。

もしもしの奥にある“申し申し”が、少しでも面白いと思えたなら。
次は辞書や文献の中で、あなた自身の手で「もう一度、申し申し」と確かめてみてください。

最後まで読んでいただき、

本当にありがとうございました。

それではまた、あなたの“申し申し”が優しく届く場所でお会いしましょう。

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