ーーーてん 黄色い動物
雪ダルマの四兄弟が野球をしていると、ボールがぐんぐんと飛んでいきます。そのボールはてんの目の前に落ちます。ボールを拾ったてんは、雪ダルマのようちゃんに渡します。お礼をいうようちゃんでしたが、てんはだまっていってしまいます。
実は、雪ダルマの四兄弟が野球が始まった時から木の陰から見ていたり、夜中に木の枝をバットに見立てて素振りをしたりする程、野球が好きな、てんですが。
いきなり、仲良しではない人達の輪の中に入って、言葉をかけることの難しさ気まずさ。
ましてや一緒に野球をしたいと言えないというてんの様子が、私と同じだと想起されました。現在も人見知りではあり、人に話しかけるのには勇気がいりますが。
切なく感じつつも、勇気を出して話しかけて楽しんで欲しいとも感じてしまいます。
実際に私も今回のてんと同じ立場だったとしたら
自分が声をかけることで、仲良く遊んでいた状態を壊すのではないか?
自分が声をかけることなんか、望まれていないのではないか?
自分が一緒に遊ぶなんて、出来ないのではないか?
自分が声をかけると、嫌がられるのではないか?
などなど、マイナスな感情が浮かんでしまい、声をかけることの障壁を高くしてしまいます。
さらには、このまま野球をやっているところを、影から見ているだけでも楽しいのに、もしも私が声をかけて、野球をしているところを見られなくなるよりは、今のままで十分ではないか。
と、やらないこと、一歩踏み出せないこと、やりたいことに対して行動を起こさない事への言い訳を、都合の良いように生み出してしまいます。
向こうからもっと声をかけてくれれば、もって積極的に私を見つけてくれれば、なにかのキッカケがあれば等と、他人本位の考えに依存してしまった結果、自分の本心を消してしまっていたのではないかと感じています。
私自身がその様な状態でも、自分の子供には、他の子にはその様な負い目を感じずに、一歩前に踏み出せる勇気を持ち、自分のやりたい行動をおくれる生活をして欲しいと願ってしまいます。
そんな、心に響いた、感銘を受けた場面でした。
その様にてんの気になる様子は、山のずーっとずーっと奥の森の場面で起こりました。
その地には雪ダルマの四兄弟が住んでいました。一番上がひいちゃん、のっぽがふうちゃん、ふとっちょがみいちゃん、すえっこがようちゃん。ひいふうみいようの四人兄弟ですね。
朝ひいちゃんが皆に何して遊ぶと訊くと、ようちゃんはやきゅうと大きな声でこたえます。
他の皆も野球が大好きです。
野球日和のいい天気の中、雪ダルマの四兄弟の野球は始まりました。
その時ようちゃんは、木の陰にてんが居ることに気が付いていました。
そしてひいちゃんはホームランを打ちます。ボールはどんどん飛んでようちゃんを飛び越え、てんの目の前に落ちます。
てんはボールを拾い走ってきたようちゃんにボールを渡します。
ようちゃんが「ありがとう」とお礼を言うと
でも、てんは だまって いってしまいました。
ゆきだるまのようちゃんとてん より引用
その後、夜にようちゃんが家の中から外を見ると、てんが一人で木の枝をバットに見立てて素振りをしていました。
ようちゃんは、てんも野球が好きなんだと思います。
朝が来て今日も雪ダルマの四兄弟は野球をしています。今回はふうちゃんが強烈な当たりを飛ばします。
すると、ボールは氷の張った池へ。
そして氷の割れた部分から、ボールは水の上に落っこちてしまいました。
水に中に入ってしまったら、解けてしまうと言う雪ダルマの四兄弟。
困った困ったと、どうしていいのか分かりません、ようちゃんは泣き出しそうです。
するとその時、黄色い生き物が走ってきます、そしてボールめがけてジャンプしました。
それはてんでした
てんはボールを拾いようちゃんに渡します、ようちゃんがお礼を言いますが、てんのようすがちょっと変です。
池の水が冷たすぎた様子で、てんは倒れてしまいます。
雪ダルマの四兄弟はてんを家に連れていき、力を合わせててんを温めます。
そのかいあって、朝にはてんは元気になります。
その後の雪ダルマの四兄弟とてんの様子を知りたい場合や、今回の物語を直接読みたい場合は
ゆきだるまのようちゃんとてん 松川けんし 福音館書店
こどものとも年中向き 2019年12月号 通巻405号
をぜひ読んでみて下さい。
裏表紙の、ハンモックで寝ている皆のイラストが和みました。
皆様にはどの様な新しい響きがあるのか、楽しみです。
てんが雪ダルマの四兄弟と仲良くなれるキッカケ、野球を一緒にできるようになるキッカケが有って嬉しく感じます。
勿論キッカケを活かすことが出来たのは、てんが行動があってのことですが。
キッカケを活かすことの出来たてんを見習いたいです。
もしも
ボールを拾うのは自分じゃなくてもいいんじゃないか 余計な事はしないままが良い
とその場で縮こまっていたら、何も変わらない、困っていた雪ダルマたちを助けることが出来ませんでしたよね。
キッカケが有ればいつでも活かせるように準備し、もしかりにキッカケが無かったとしても取っ掛かりを見つけられるような行動ができる、人物になりたいです。
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