ーーートマト 夏野菜
暑い夏の夜、トマトとナスとキュウリが涼を求めて野菜の洗い場へ。水道をひねり、たらいに水を溜めると、皆で飛び込み一息つきます。そこでトマトは勝負を挑みました。
一番長く潜っていられたのは、言い出しっぺであるトマト。自分の強みを理解しているのですね。
ナスとキュウリ相手ならばトマトが一番潜っていられると観察したのか、トマト自身が一番得意な事で勝負をしたかっただけ、なのかは判断が付きませんが、自分の得意なこと、自分が秀でている事で、勝負に挑む事が勝つための秘策ですね。
この分野ならば周りと勝負できる、この方法ならば得意だ、といった自分の強みが分かっていれば、自分の興味のある分野をキチンと理解しているということは、勝負の前から他者にたいして一歩以上リードしていると言っても良いのかも知れませんね。
自分が興味を持てることが見つけられれば、その事柄に対して多くの時間を使うことが出来、人生の時間の使い方を豊かにしてくれるのではないでしょうか。
興味もなく、自分にとって合わないことに時間を費やしてしまう事は、時間が勿体ないうえに無駄な努力となってしまうかも知れません。
生活する上で、苦手でも身につけておくべき事が存在するのは確かかもしれませんが、何もかもを必要以上に自分自身で身につける必要はないのかもしれませんよね。
嫌なことに費やす時間を、少しでも好きなことに費やすことで結果的に社会に貢献できたならば、自分にとっても周囲にとっても良い結果となるのではないでしょうか?
嫌なことを続けて不機嫌な人生を過ごしてしまい、周囲にも不機嫌な雰囲気を伝染させてしまうくらいならば、できる範囲ででも自分にとって好きなことを見つけられれば、自分も周囲も雰囲気が良くなる事につながるのではないでしょうか。
そのように人生を送れればこんなにも良いことはないですよね。
好きなことでだけで生きていくのは難しいのですが、せめて少しでも早くに自分が得意な事、興味を持てることを見つけたいです。
そして、今回のトマトとナスとキュウリの関係のように、他人の一番輝いていることを認められる、自分が一番輝いていることを、素直に認めてもらえるような関係性を持てる仲間と繋がりたいと、感じられた心に響いた感銘を受けた言葉でした。
私もそんな時間を費やせるように、強みを見つけたいです。
そんな素敵な仲間と水浴びをするトマト達の物語は、真っ赤に熟したトマトが夏の夜が暑くて暑くてやりきれないと枝から降りたところから始まります。
涼む場所を探しているとナスを見つけます。
トマトはナスに涼しい場所を訊きますが、ナスもその様な場所が何処にあるのかわからない様子でした。
二人で座っていると、キュウリが現れ一緒に座り込みます。
三人は汗とホコリをながしたい、水風呂に入りたいと考えます、それならば野菜の洗い場があるはずと周囲を見渡します。
すると蛇口を発見しました。
一目散に蛇口に向かう三人。
三人が力を合わせて蛇口をひねると、たらいには水が溜まり、我先にと溜まった水に飛び込みます。
三人が力を合わせているイラストと、水に飛び込んだときの三人の表情のイラストが可愛いです。力を合わせる事の大切さと、目的が達成できたときの喜びが表されていると感じられました。
一息ついたところでトマトは
だれが ながく もぐっていられるか きょうそうだ
絵本 トマトと なすと きゅうりの なつ より引用
と言いました。
長く潜っていられたのは、トマトでした。
自分の強みを生かしたルールで勝負する、上手いやり方ですし自分に強みがあるからこそ実践できる事ですよね、見習いたいです。
一番潜っていられたトマトを称賛できるナスとキュウリも素晴らしいですし、その様な仲間がいるトマトも素晴らしいですよね。
それだけでは終わらない三人、次はキュウリが泳ぎの競争を持ちかけます。
一番はキュウリ、トマトとナスは手を叩いて称賛します。
次はナスが飛び込みの勝負を提案をします。
素晴らしい飛び込みを披露したナス、トマトもキュウリも、ナスが一番だと称賛します。
トマトもナスもキュウリも、それぞれに自分が得意な事を知っている、勝負できる技術を持っているからこそ、相手へリスペクトを怠らないし、相手の素晴らしいところを素直に褒めることができるのでしょうね。
その後も三人で遊んだトマトとナスとキュウリ、その後三人はどうなったか気になり直接読みたい場合は
トマトと なすと きゅうりの なつ 文 木村晃彦 絵 小池壮太
こどものとも年中向き 2019年8月号 通巻401号 福音館書店
を是非読んでみてください。
皆様にはどの様な新しい響きがあるのか、楽しみです。
トマトの「暑さ有ってのこの楽しみ」という言葉もお気に入りです。
何かを乗り越えたからこそ、ご褒美がある。
乗り越えたからこそ、楽しめることがあるのだと、心に染みました。
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